共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

エリック・サティとその時代展

2015年07月08日 23時12分45秒 | 音楽
今日も午後から雨模様になった中、渋谷の東急Bunkamuraザ・ミュージアムで今日から開催される《エリック・サティとその時代展》に行ってきました。

エリック・サティ(1866~1925)はよく『異彩の作曲家』などと呼ばれることがあります。彼の音楽は従来の法則性や美意識を超越して、後に活躍するドビュッシーやラヴェルの音楽に大きな影響をあたえました。彼無くしては印象派音楽は有り得なかったと言っても過言ではありません。

会場に入ると分かりますが、今回の展覧会には音声ガイドがありません。その代わり会場内には《3つのジムノペディ》をはじめとしたサティの音楽が随所で流され、一角には《ジムノペディ第2番》の自筆譜が展示されるなど、音楽家を特集した展覧会ならではの工夫が凝らされていました。

特にサティが音楽を担当し、シャルル・マルタンが挿絵を担当して1914年に発表した《スポーツと気晴らし》が全20曲プラス序文の計21曲全てが額装されて並んでいたコーナーは圧巻でした。サティの手書き譜はそのまま読めるくらいに綺麗に書かれているので、楽譜を眺めているだけでも十分展覧会として楽しむことができます。最終ブースでは、ピアニストの高橋アキさんの演奏によるこの作品のフランス語朗読付き全曲演奏が映像と共に流されていて、独特のサティワールドを堪能することが出来ます。

また、1917年に発表されたバレエ音楽《パラード》についての展示も興味深いものでした。これは当時知り合ったジャン・コクトーが台本を書き、サティが音楽を、ピカソが舞台美術を手掛け、ディアギレフが上演したという、現代の我々から見たらとんでもないビッグネームの面々が関わった問題作です。会場には舞台美術や衣装案の他に、2007年に蘇演した時の映像も一部紹介されていました。

この他に、生前彼が使っていた帽子やステッキなども展示されていて、人と成りも垣間見えるなかなか面白い展覧会でした。また1点だけ、サティが五線譜に描いた、生涯で唯一付き合った女流画家シュザンヌ・ヴァラドン(彼女とはたった半年で同棲を解消し絶交してしまいます)のカリカチュア風肖像画も展示されていて、サティの思わぬ才能に触れることもできます(因みにヴァラドンはサティの前にミゲル・ユトリロという画家と関係をもって男の子を儲けますが、この子が後のモンマルトルの巨匠と呼ばれるモーリス・ユトリロです)。8月30日まで開催されていますので、是非足を運んでみて頂きたいと思います。

サティの代表作《3つのジムノペディ》と《6つのグノシエンヌ》の演奏画像を転載しました。梅雨時の夜に、ちょっと気怠いサティの音楽に浸ってみては如何でしょうか。

3 Gymnopedies, 6 Gnossiennes -AT G SZ
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