東十条探偵団2

明日は何を撮りに行こうかな?

吉原弁天とサルスベリ

2019-08-02 | 日記
  ちょっと時間があったので吉原弁天を覗いてみた、
  あれサルスベリが
  こんなところにサルスベリが咲いている。
  まだ小さな小さな木だけど花だけは一人前のサルスベリ。


  

     吉原弁天にサルスベリかぁ、映画「五番町夕霧楼」を思い出す。




          

          丹後の寒村に生まれた夕子は家庭の事情から
          京都の色街・五番町夕霧楼に自ら売られて遊女となる。
          一年後には夕子は五番町で一、二を争う売れっ子になっていた、
          だが夕子には同郷の幼友達であり恋人である青年僧の正順がいた、
          幼い時からずっとサルスベリの木の下で会っていた正順が。




  

     吃音者であった正順は僧になるべく京都の寺で修行していたが
     夕子のことを聞いてひそかに会いに行く。
     吃音のため誰からも話しかけられない正順、極貧の家の娘夕子、
     お互いの心を開き合えるのは二人だけだった。




  

     だが二人にはこの現実をどうすることもできなかった、
     ただ身を寄せ合って辛い時を過ごすのが唯一出来ることだった。




  

     そんなときかねてから夕子を妾にしたいと言い寄っていた金持ちの甚造は
     郭で密かに夕子と会っていた正順を寺の住職に密告してしまう、
     一方夕子は病気になり入院せざるを得なくなっていた。




  

     そして正順は信徒の浄財で豪遊する寺の高僧たちの姿を見て
     修行に幻滅を感じていた、ある日住職と衝突した正順は
     幻滅と怒りから寺に放火し逮捕されたのち留置場で自殺する。
     新聞で事件を知った夕子は病院を抜け出し
     故郷へ戻り昔二人で会っていたサルスベリの下で自ら命を絶った。
     正順さんのところへ行こう、私にできるのはただそれだけ。


     貧しい山村から京都の遊郭へ売られていった夕子と
     幼馴染の正順の純愛を描いた映画。
     舞台は遊郭、夕子の「水揚げ」の旦那との艶事も背景に描き、
     映倫ともかなり揉めたらしいがそれが逆に清純さを盛り上げ
     とても感動的な映画になっている。

     1963年東映作品、監督は田坂具隆。
     主演は佐久間良子、そして脇を固めるのは
     河原崎長一郎、小暮三千代、岩崎加根子、千秋実たち。




  

     夕子が思い出すのは、
     故郷の海から見上げた丘に咲くさるすべりの花、
     いつも正順と会っていたところに咲いていたさるすべりの花。


     いつ見た映画だろう、さるすべりの花のシーンは
     未だに鮮明に覚えている。
     原作は水上勉でこれは代表作の一つ、
     1956年に出た三島由紀夫の『金閣寺』へのアンサーとして書いた。

          data: EOS70D/EF17-40mm 1:4。 撮影 7月30日 吉原弁天
          
コメント (2)
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