私がGB部に入部したときM部長と同じ程度の長いGB歴をもっていた90歳をこえたAさん(女性)がいました。GB部設立者の一人だったと聞いています。審判資格もなく、GBを大いに語るという風でもありませんでしたが、週3回のGB練習試合が始まるちょっと前、GBをやっている公園広場の南側の階段の上に必ず姿を現しました。頑健な方で練習試合を休んだことがありませんでした。スティックを持ち、階段の上に立つAさんは、映画の一シーンを見るようでした。彼女はしばらく階段の上に立ち、広場で私達が準備をしているのを見下ろしていました。
若い部員が、GBについて消極的なことを言うと、「迷わず続けることね」とよく諫めました。そんな彼女ですが、歳には勝てず、打撃ミスをよくしました。その時の彼女の言動は純真な子供のようでした。「わっ、はずしちゃった」と大声で言ってじだんだを踏んでくやしがりました。M部長とともにGB部を引っ張ってきた人だなと思いました。
94歳ごろだったと思いますが、公園の段差で躓き、倒れました。Aさんは起き上がれませんでした。片足が折れていました。全然痛がらないので不思議に思いました。すぐ町の福祉団体の車がきてくれて彼女を病院に運びました。
手術をして骨を接合し、リハビリをした結果、歩けるようになったのですが、ご家族の方が、また骨折するからと言ってGBを禁じてしまいました。
その後はヘルパーと一緒によく公園に来、ベンチに座って私達のGB練習試合を見ていました。100歳を過ぎてからは歩けず、現在は特別養護老人ホームに入所しています。