「幻夜」は2年ほど前に、
半分位読み終えてそのままにしていました。
半分だけしか読めていないのはなぜかというと、
図書館の返却期限が来てしまい、
次に借りる人の予約が継続して入っていたので
やむなく断念したままになっていたんです。
そしてそのまま放置していました。
今、考えると自分の記憶の中では
2つの小説「白夜行」と「幻夜」が
一つにまとめられたストーリーになってしまっていました。
記憶というのはあやふやなもので、
(単に私の頭の問題かも?)
「白夜行」がテレビでドラマ化された時、
あれっ、本と違うなと思ったんです。
テレビは「白夜行」だけが原作で「幻夜」はそこには
混じってはなかった訳で・・・
でも一つにまとめたとしたところでも
別に違和感を感じない物語でもあるんですね。
今回また最初から「幻夜」を読み直しました。
「白夜行」は絶望的で救いようのない破滅的な暗さ。
汚してしまった手はエスカレート。
悪事を重ねた亮司の先には破滅があるのみ。
「幻夜」の雅也も悲しすぎる人生。
出来るなら雅也は最後まで捕まらないで
欲しいと願いながら
読んでいました。
対する美冬は人間味のない冷酷さ、
自分勝手な悪女ぶりが鼻につく。
美冬が願ったのは自分の成功、
人生の勝利者になる為には
どんな手段もいとわない残酷さ。
美冬がどうしてこんな人生を選んだのか?
この本だけじゃ不明のままで物足りなく感じます。
やはり「白夜行」の雪穂を
引き継いでいるのでしょうか?
理解の範疇を超えてしまうほどの
不気味で冷酷な女性を
描いていました。
雅也と美冬、初めは二人三脚だったのに
最終的には各自一人で歩いている。
「白夜行」の雪穂には、
少しの人間の心は残っているが、
美冬には心はもうなくなっている。
たとえ少しだけでも人間性を取り戻して欲しかった。
最初途中まで読んで本を返却する時点で、
結末だけは気になるのですでに読んでいました。
なので、そこに到達するまでの過程に、
関心があったのですが、
終盤は思ったよりもあっけなく感じました。