天地明察(上)
9月に公開する映画の原作と知り
読み始めました。
徳川家綱の時代、
日本独自の暦を作るという、
プロジェクトが開始する。
その当時の暦である宣明暦は、
ずれが出始めていた。
この物語は暦を作るという計画と、
渋川春海=(安井算哲)個人の歴史を、
交差させ描いています。
碁打ちの名門として、
将軍家仕えていた渋川春海。
算術にはまり、
改暦という大仕事を成しえる。
渋川春海という純粋な男の生き様は
読んでいても爽やかな気分になります。
関孝和や磯村塾の村瀬など、
春海の周りの人達も、
渋川春海と同様にまっすぐな人達。
強さと優しさをもって、
主人公を支えた妻の姿。
その他の彼を取り巻く人々も、
悪い人は登場していなくて、
それぞれが魅力のあるいい人達ばかり。
改暦を成し遂げるまでに出会った、
多くの人々の彼を見るまなざしの、
優しさを感じることができ
不安を感じることなく、
読み進めることができました。
ちょっとインパクトに欠けるというか
起伏の少ないストーリーとも
思えましたが
時代物独特の重さがなくて、
ふんわりとした軽やかさが、
心地よい物語でした。