花ごよみ

映画、本、写真など・

炎の塔  五十嵐貴久

2016-12-25 | 本 あ行(作家)

炎の塔

地上高450メートル、
100階建ての超高層ビル「ファルコンタワー」の
オープンセレモニー中に火災が発生。
この日タワーには、
様々な背景を持つ人々が訪れていた。

最上階には1000人もの人達が
取り残されていた。
女性消防士神谷夏美が任務を担う。

2代目社長の横柄さ、
請負業者の無責任工事、
防火設備の破綻、
パニックに陥った人々、
登場人物たちの人間模様も
リアリティたっぷりに描かれています。

極限点まで追い詰められた消防士たちが
残された人達の為に命を懸けて
消火、救助活動に挑みます。

一風変わった解決法。
可能なのかな?

タワーリングインフェルノに
インスパイアされて執筆というこの作品。

タイトルだけ見ても
おおよその内容は想像できます。

本を読みながらまるで映画のように
情景が浮かんできます。
臨場感、緊張感もたっぷり、
引きこまれました。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恩讐の鎮魂曲  中山七里

2016-12-25 | 本 な、は行(作家)

恩讐の鎮魂曲

御子柴礼司シリーズ3作目。

介護をする仕事に就いていた者が
自分の命惜しさに、
他人の救命胴衣を奪い、
緊急避難という無罪判決を勝ち取る。
そして高齢者の虐待行為。

そんな人物が殺害された。
御子柴の少年院の元教官稲見に容疑がかかる。

違和感を感じ取る弁護士・御子柴。
そして介護施設を調査。

被告人と弁護士という関係で、
再会を果たした稲見教官と御子柴。

罪に問われた恩師稲見の弁護を
強引に買って出ます。

稲見の尊い自己犠牲の精神、
恩師の為に心を砕く御子柴。

救いたい恩師なのに恩師はそれを望まず
進んで罪に服すことを願う、
それを弁護する御子柴。

今回の依頼人は思い通りにいかない厄介すぎる依頼人。
贖罪を望む稲見の心に反して
無罪になるように弁護を進めます。

真実に近づいていくにつれ
稲見教官の潔癖な信条があぶり出されます。
判決後は無力感に苛まれる御子柴。
人間味を増した御子柴でした。
今回はいつものどんでん返しがなかったような。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

南極点のピアピア動画  野尻抱介

2016-12-25 | 本 な、は行(作家)

南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)

4編からなる連作短編集。
最後の編では登場人物が全て登場。

この本では動画投稿サイトの
ニコニコ動画ではなくピアピア動画。
近未来を描いています。

宇宙に旅立つ恋人達。
軌道エレベーターをクモの糸によって作ります。
深海の旅でクジラと会話
宇宙から送り出されたロボットとの交流。
動画共有サイトピアピア動画と
ボーカロイドによって
壮大な宇宙開発プロジェクトを推進。
そして実現。
ピアピア動画が人を集めていきます。

なって欲しいと思える、
無限の可能性に満ちた
明るい希望に満ちた未来。
発想が愉快です。

悪い人もいないし、戦いもないし、
のどかで楽しいストーリーです。
暗さを全く感じない、
前向きでスケールの大きな物語でした。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする