はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

碁敵

2006-07-19 10:47:20 | はがき随筆
 下手の横好きで囲碁を愛している。上達なし。でも楽しい。千変万化の石の流れに石の生き死にだけでなく、相手の意図や気持ちを読むことにも味わいを感じることがある。
 いつの間にか碁友も増えた。優しそうな人柄が戦闘的であったりする。中に若い牛飼いのWさんがいて、彼はなかなかの長考派だ。待ちくたびれる。エイ、と失礼して書物を開き横目で盤上を眺めて対抗する。
 Mさんは剽軽(ひょうきん)だ。彼は絶対に負けない戦術を披露する。ほとんど敗勢となると、下を向き沈思黙考を始める。私は居眠り狸さんと対座のはめになる。