はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

喜寿の贈り物

2006-07-21 22:23:00 | はがき随筆
 勤務などの都合で、1週間早く私の喜寿の祝いに、娘と息子の夫婦が工夫した食品などを携えて集まった。
 久しぶりに子らも集い、喜寿の祝詞に続いてよもやま話で盛り上がり、時間を忘れる程だった。それぞれ公務員と会社員として誠意をもって勤務し、お陰で家庭生活に一抹の不安も感じさせない。ところで幼少のころの話しに及ぶ。かねてめいり勝ちな妻が、戦後11~12年ごろ生まれた子らの思い出多い苦労の暮らしの話に、始終笑みを浮かべ、時に一緒に話題を膨らませ、いささかの疲労を感じさせない様子。最高のプレゼントだった。
   薩摩川内市 下市良幸(76) 2006/7/21 掲載

梅雨の晴れ間

2006-07-21 12:03:09 | はがき随筆
 久しぶりの晴天に、夫は待ち構えていたかのようにシャンプーを始めた。トムは情けない顔をして、なされるがままだ。
 午後、予防接種のため動物病院へ。
 「先生、今日は、シャンプーしてきれいになって来ました」
 いつも汚れていて、申し訳ない思いで面倒をみてもらっていたが、今日はトムも私も鼻高々。
 「トムもおじいちゃんになったねぇ。私たちも年を取るはずですよね」
 そうしみじみ言われても、私より随分若くて美人の先生なのです。
 相づちの打ちようが無いよね、トム。
   出水市 清水昌子(53) 2006/7/21 掲載