はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

彼岸花と祖母

2006-10-21 08:07:02 | はがき随筆
 「ばあちゃん、彼岸花で首飾りを作ったよ。つけてあげるね」。その時、小学生の私は二つ違いの弟と、燃えるように咲いていた彼岸花を摘んで遊んでいた。夕暮れ時になると、心配して待っている祖母の所に走り、彼岸花で作った首飾りをプレゼントした。祖母は、そんな私と弟をいつもしっかりと抱いてくれて、「ありがとうね。うれしいよ」と、まあるいお月さまのような笑顔で言った。彼岸花の首飾りをつけたばあちゃんは、本当にに可愛くてステキだった。彼岸花が咲くころになると、そのシーンを懐かしく思い出す。彼岸花は私の大切な思い出の秋の花である。
   鹿児島市 萩原裕子(54) 2006/10/21 掲載
写真はバセさんからお借りしました。