「あなたの宝物は?」と問われても即答ができない。ときに「何かなあ」と思うが、これというものがない。ところが、ふとしたことから「私の宝物」を発見した。
仕事に追われて、肉親から届いた手紙も用件だけ読んで片付け、いつかゆっくり読もうと思っていたが、何時の間にかすっかり忘れ、どこかへ押し込んでそのままだった。八十路を過ぎ、身辺の整理をと思い立った。押入の奥から手紙の束が出てきたので見ると、亡き兄弟姉妹の懐かしい筆跡、情愛にあふれた文面に涙を覚え「これこそ私の宝物」と、また文箱に収めた。
肝付町 竹之井 敏(81) 2006/10/23 掲載
仕事に追われて、肉親から届いた手紙も用件だけ読んで片付け、いつかゆっくり読もうと思っていたが、何時の間にかすっかり忘れ、どこかへ押し込んでそのままだった。八十路を過ぎ、身辺の整理をと思い立った。押入の奥から手紙の束が出てきたので見ると、亡き兄弟姉妹の懐かしい筆跡、情愛にあふれた文面に涙を覚え「これこそ私の宝物」と、また文箱に収めた。
肝付町 竹之井 敏(81) 2006/10/23 掲載