それはもう随分以前の出来事ではあるけれども毎年、梅雨の雨の日になると、つい昨日のことのように思い出されて胸が熱くなる。大雨の日の夕方であった。法事を済ませて帰宅の途中、前方のタイヤがパンクしてどうにもならない。車を道路の端に止め法衣を着たまま傘をさして思案していた。衣を脱いでスペアタイヤに替えようと意を決したその時、ダンプが止まり運ちゃんが声をかけた。降りてきて「どら」と一言。降りしきる雨の中、タイヤを取り換えてくれてさっさと立ち去ってしまった。あのときの運ちゃんの後ろ姿は菩薩様に思えて合掌した。
志布志市 一木法明(71) 2007/7/11 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はkenさんからお借りしました。
志布志市 一木法明(71) 2007/7/11 毎日新聞鹿児島版掲載
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