華やかで気品漂うバラは花の女王と呼ばれ、甘い香りは不安な気持ちを静め幸福感をもたらしてくれるという。
梅雨の合間に、鹿屋のバラ園を訪ねた。雨上がりのここちよし風が芳香をはこび、色とりどりのバラがそれぞれに美しさを誇っている。
心ひかれたのは燃えるような真紅の「リリー・マルレーン」。戦場でいとしい恋人を思う兵士の心情を、マレーネ・デートリッヒが切なく歌うシーンと重なる。
情熱的な赤いバラがふっと寂しげでひそやかに優しく咲く姿に、しばし目を奪われていた。
姶良町 中村頼子(62) 2007/7/13 毎日新聞鹿児島版掲載