はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

母を思う

2008-07-28 21:41:27 | はがき随筆
 子供たちと帰省すると、母は大釜でトウキビを炊いて待っていてくれた。あのうまかったこと。腹いっぱい食べては近くの山をカブトムシを求めて探検し、アブラゼミからからもの悲しいカナカナの声に変わるころ家路につくと風呂の煙が一面に漂っていた。
 あたり前だったあの光景も年月がたち、子供たちが巣立ち、そして母が逝き、遠い遠い夏の思い出となった。母の忙しくたち振る舞う姿、故郷の家。そう言えば自分もあのころの両親と同じ年になっている。
 大好きなうた。
 <日向の国むら立つ山のひと山に住む母恋し秋晴れの日や>
   指宿市 有村好一(60) 2008/7/25 毎日新聞鹿児島版掲載

プールにて

2008-07-28 19:17:54 | はがき随筆
 かごしま健康の森公園。広大な敷地の一角に屋内プールがあり、その監視業務に従事した。そこで、とにもかくにも驚いたのは、80歳のご婦人が700㍍泳いだ後、500㍍の水中歩行をノルマにし「老人会の会長である私が老け込むわけにはいかない」と凛としている。
 プールは元気はつらつの親子連れも多い。老年組は体の機能老化防止や体力回復に励み、若者たちは更なる泳ぎ込みで体力強化を目指す。
 スタッフ一同は事故防止に万全を期し、屋内清潔、親切応対をモットーに、ご利用の皆様を大切にお迎えしている。
   鹿児島市 鵜家育男(63) 2008/7/24 毎日新聞鹿児島版掲載