はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆8月度入選

2008-09-22 23:00:43 | 受賞作品
 はがき随筆8月度の入選作品が決まりました。

▽出水市武本、伊尻清子さん(58)の「怨霊」

▽同し上知識町、年神貞子さん(72)の「光るさなぎ」(15日)

▽鹿児島市城山1,竹之内美知子さん(75)の「変身」(24日)

──の3点です。

 8月は「はがき随筆・夏の特集」が企画され、例月よりもたくさんの作品が掲載されました。消夏法についての内容も多く、昔話あり現代風ありでいろいろでした。みなさん夏の過ごし方には工夫なさっているようですが、その夏も終わろうとしています。
 伊尻さん「怨霊」は、通夜の晩に「父の怨霊」を見た話ですが、あまりお世話をしなかったことかたたり?として現れたようで不気味です。「石に布団は着せられず」とはよく言うことです。
 年神さんの「光るさなぎ」は題名がいいですね。植木鉢についた腹部の光るさなぎが羽化するのを楽しみにしていたが、たまたま外出した時に、羽化して飛び去ってしまった。<「夕方まで待ってね」と声をかけて>いたのに、残念。さなぎとの交感がほほ笑ましい。
 竹之内さん「変身」は、「はがき随筆」の一編をまねて変名を思いつき、<何かドラマが起き>るのを期待していたら、起こった「ドラマ」は、娘さんに、2人のお孫さんの夏休みの宿題の先生役を押しつけられた、というユーモラスな内容です。次に印象に残ったものを紹介します。
 下市さん「『老い』に挑戦」は、79歳で初老の次の「老い」が来たという実感は、少しお元気過ぎる気もしますが、その老いの現象を八つあげて、さつま狂句や川柳で老いに挑戦しているという内容です。笑いは知性からくるといいますから、いい挑戦だと思います。久野茂樹さん「私泳げません」(22日)は、納涼に海でもと人はいうが、水が苦手で、母親には、おぼれた牛の生まれ変わりだと川からかわれたり、父親のスパルタ教育に耐えたり、一生悩み続けたという、別の意味で海が涼しくしてくれた話です。清水昌子さん「涼夜」(22日)は、夕涼みがてらに近くの港にタコ釣りに行った話です。涼風の中の釣りは幸いタコに禍を及ぼさず(釣れずに)終了。負け惜しみのなかの夕涼みでした。
(2音近代文学会評議員、鹿児島大学名誉教授・石田忠彦)

係から 入選作品のうち1編は27日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。
   2008/9/22 毎日新聞鹿児島版掲載


子育て今と昔

2008-09-22 22:30:04 | はがき随筆
 夏休みに入って、大学1年と小学3年の、ちょっと年の離れている兄弟を連れて、長男の嫁がやって来た。
 大学生はすぺてがマイペース。親の立てた予定より、朝食後のシャワーが優先する。小学生は食事中に母に反抗する。それでも母親はしからない。昔なら怒鳴りつけているところだ。
 今の若い親たちが子供をしかりつけないのは、幼少のころ自分のされてきたことに対する反動か。嫁の、孫に対する態度を見ていて、私たちがやってきた時には体罰をくわえたような子育ては間違っていたのか……。
そんなことを考えさせられた。
   西之表市 武田静瞭(72) 2008/9/21 毎日新聞鹿児島版掲載
   写真は武田静瞭さん提供

はてさて?

2008-09-22 22:24:33 | はがき随筆
 60年代最後の誕生日を迎えた。平均寿命まで生きても後10年、だからといって「はい、そうですか」という訳にはいかない。
 「エージシュート」を目指して米寿までゴルフを続ける予定で、その手は着々と打ってある。日々12㌔の散歩、そして500回の腹筋運動とスクワット。声を出して毎日新聞を読めば脳の活性化も保障される。当然、妻も放ってはおかない。豊富なメニューに気配りの味つけ、肥満への配慮も万全である。
 しかし、問題がある。ゴルフの腕が一向に上がる気配がないことである。百まで生きれば何とかなるかしら……?。
   志布志市 若宮庸成(69) 2008/9/20 毎日新聞鹿児島版掲載