はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

悩みました

2008-09-24 21:58:36 | はがき随筆
 午後のお茶を飲みながら新聞を読む。見出しに「介護で離職 年14万人」とあり、海外から応援隊が来たとのこと。先日60代に突入した自分に、質問されたとしよう。
 「みてもらうとしてら家でですか。それとも施設でですか」
 ああ、どうしよう、どうしよう……。答えは、家で家族に頼りたい、だ。しかし、施設で外国の人に世話を受ける時代かも。だとしたら、言葉が通じるか心配だし、自分のことながら見当をつけられない。
 時計は5時前。夕ご飯の準備をしなくちゃ。多分、長生きしてごらん、ということかな。
   いちき串木野市 奥吉志代子(60) 2008/9/24 毎日新聞鹿児島版掲載

事故米

2008-09-24 12:46:35 | かごんま便り
「ジコマイ? 何だそれ?」──。かびや残留農薬のために食用にできない米が加工食品に使われていた今回の問題。農水省発の一報が支局に届いたのは5日夕だった。元凶の「三笠フーズ」は大阪の業者だが工場は福岡県内。九州の焼酎会社に流れた可能性は高い。
 当初は「鹿児島は芋焼酎。(米焼酎の)球磨地方を抱える熊本は大変だな」と考えた。だが麴(こうじ)の原料は米である。もしやと思っていたら同日夜、農水省が流通経路を明らかにし、県内企業への転売が判明。いやな予感は的中した。
焼酎を巡る問題だけに酔客の関心は高い。なじみの飲み屋で話題になったのは、転売先となった焼酎会社の対応の違い。率先して名乗り出た会社の一方、公表に同意しない会社もあったからだ。転売先と報じられた後に会見した後者の社長は、公表の遅れを釈明する以前に三笠フーズへの怒りをぶちまけていたが、違和感を禁じ得なかった。いかに被害者とはいえ、これでは消費者軽視と言われても仕方なかろう。危機管理のあり方を考えさせられた一件だった。
 やがて問題は拡大の一途。菓子や学校給食への波及も明るみに出たのはご承知の通り。近年、食にまつわる不祥事が絶えないが、日本人の倫理観はいつから、ここまで地に落ちたのだろうか。
◇   ◇
 内輪の教訓を1つ。12日の本紙朝刊社会面「アサヒ焼酎に事故米」で、日当山(ひなたやま)醸造(霧島市)の小牧一郎社長からご指摘があった。代表銘柄「アサヒ」と勘違いされたという。記事を読めばアサヒビールのことと分かるし、新聞の見出しにはしばしば略記が登場する。だが早合点とはいえ誤解が生じたのは遺憾だ。情報の送り手として記事の内容は当然だが、見出しの表記にも慎重な心配りが必要だと再認識した。言うまでもないが日当山醸造の焼酎は事故米とはまったく無縁である。
鹿児島支局長 平山千里2008/9/22 毎日新聞掲載