はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「点の記憶」

2009-09-10 15:14:34 | 岩国エッセイサロンより
 大連港を出た引き揚げ船は佐世保港に着いた。岸壁に立つや否や、頭にDDTの真っ白い粉をかけられた。

 長い行列を作って汽車に乗る。客車は窓の上まで荷物でいっぱい。その上にかがみこんだ。早朝、岩国駅に着いた。黒く底の見えない池を縫うようにして家に向かって歩いた。

 岩国の空襲は終戦の前日、8月14日だったという。あとわずか一日を待たず、五百余名の命が散った。あの池は数千発の爆弾穴だったことを後になって知った。

 5歳児にとっての敗戦は、線にならない点の記憶。不気味なまん丸い水たまりは、今でもはっきりと覚えている。
 岩国市  岩国エッセイサロン会員 沖 義照(2009.08.14 毎日新聞「はがき随筆」掲載)





一足お先に

2009-09-10 14:40:20 | アカショウビンのつぶやき










 私たちの教会では、毎年、手作りのプレゼントを70歳以上の方々に贈ります。
 今年のプレゼントは「時代の流れに逆行かなあ…」などと、つぶやきながら、スーパーのレジ袋を入れる可愛い袋を作りました。毎週金曜日の会堂清掃後、少しずつ作り、80個のプレゼントは9月始めにようやく完成、お一人お一人に心を込めて書いたお便りを添えて、全国に発送しました。
 
 今年は9月の第一日曜礼拝後に、80歳以上の方々をお招きして敬老祝会を持ちました。教会員全員が集まり、ささやかな会ですが、楽しい会となりました。
 
 聖書の中に「白髪は栄えの冠…」と言う言葉があります。ご高齢の方々に感謝と祝福を祈りつつ、喜びあうひとときでした。

とら焼き?

2009-09-10 13:07:24 | アカショウビンのつぶやき
 友人から佐賀のお土産をいただきました。それは「とら焼き」。

えっ、どら焼きじゃないの…。

でも、よく見ると、ほんとに「虎焼き」。
シマシマに焼けた模様が虎なんです。村岡総本舗 「とら焼き 宗歓」 とありました。

目先を変えて興味をそそる…。
長く続くものもあるでしょうし、いつの間にか消えてしまうのもいっぱい。

自民から民主へと世の政治も180℃転換しましたが、小沢チルドレンと騒ぎたてられる新人代議士さん、しっかりお勉強して下さいね。
これからがお手並み拝見…です。

ブドウ狩り

2009-09-10 12:28:44 | はがき随筆
 種子島生活13年目にして初めてブドウ狩りに行ってきた。中種子の納官という集落にある、ハウス栽培のブドウ園だ。
 千葉県の船橋市に住んでいたころは隣の鎌ケ谷市にブドウ園があり、今は亡き母が来た時も連れて行ったものである。その時□にしたブドウは酸味があったが、納官のは甘味が勝った。
 入園は無料だが、もいだ分を買い取るシステム。調子に乗って5㌔以上ももぎ取った。
 家に帰り着いてカミさんは早速、神棚へ。「母さんは甘いほうが好きだったわよね。たくさん食べてね」。真夏の″よきブドウデー″ではあった。
  西之表市 武田静瞭(73) 2009/9/10 毎日新聞鹿児島版掲載
  写真は武田さん提供

熱戦

2009-09-10 12:20:40 | はがき随筆
 今年の夏はスイカでにぎわった。5月に植えた苗があれよあれよという間に成長。7月にはポッチャリと愛らしい実をあちこちに付けた。毎日のぞき込む。
 8月には熟れごろをポンポンと音で確かめながら収穫。甘くて水分たっぷり。ところがこの時期にカラスにつつかれ、夜は何者かが皮だけ残して平らげる始末。あわててネットを張りさくを作って撃退作戦。しかし敵もさる者。夜な夜な現れ、あの手この手で立ち向かうも功を奏さず。ついには早めの取り入れでご近所へ夏休みの孫たちへとせわしく届ける。知恵比べの白熱戦にもやっと幕がおりた。
  出水市 伊尻清子(59) 2009/9/9 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はふみちゃんさん

人生の味を

2009-09-10 12:16:23 | はがき随筆
 8月23日、満70歳になった。古希の言葉がのしかかる。今までの人生、基礎固め、基礎づくりであった。神仏人の恩恵でこの時まで生きることができた。すべてのものに感謝の一言に尽きる。自分一人では到底、無理な人生であっただろう。
 今からが人生の勝負である。こつこつと喜寿までには、と思う。喜寿に至るまでは、今まで以上に喜怒哀楽を味わうことも多々あろう。辛抱・我慢の一途で生きようと思う。
 その後の傘寿、米寿は「快さ・惚れ・憧れ・愉しみ」の人生か。ひとつひとつ出会うことによって、人生の味を味わうか。

  出水市 岩田昭治(70) 2009/9/8 毎日新聞鹿児島版掲載

バランス

2009-09-10 11:36:39 | かごんま便り
 夏の嵐のような衆院選から1週間。民主、自民両党は4年前の「小泉郵政選挙」の裏返しの結果となり民主が大勝。伝統的に自民支持が根強い鹿児島県でも、5小選挙区のうち二つで自民が議席を明け渡した。

 民主が県内で初めて小選挙区で勝利した鹿児島1区を例に有権者の投票行動を振り返ってみる。まずは小選挙区。前回約2万4000票差で勝利した自民・保岡興治氏は今回、民主・川内博史氏に逆に約2万3000票差で及ばなかった。

 鹿児島支局が期日前投票を含めて実施した出□調査(有効回答650人)によると前回、保岡氏に投票した人のうち今回も保岡氏に投票したのは65%。34%は川内氏に票を投じたと答えた。保岡氏から「離反」したのは「支持政党なし」の人々だけでなく、自民支持層も少なからず含まれていた。一方、前回川内氏に入れた人の96%は、今回も川内氏を選んでいた。

 比例代表はどうか。回答者の支持政党は自民39%、民主26%の割合だったが、投票先は自民24%に対し民主49%。自民支持層の3分のIは自民ではなく他の政党(多くは民主)に投票していた。

 いわば身内からも「ノー」を突きつけられた自民党。民主の勝ちよりむしろ自民の負けが印象として際立った背景はこういうことだったのだ。

 個人的に興味深かったのは、自民退潮、民主躍進の流れの中、やや違った投票行動に出た人たちの存在である。小選挙区では民主の候補に投票しながら、比例では他の政党を選んだ回答が思いの外あり、それは「自民離反組」だけでなく民主支持層にも散見された。

 自民にはいいかげん退場願いたいが、かと言って民主の独走も困るということだろう。前回の自民大勝への反省からか、2大政党制への抵抗感なのか、いずれにせよ2票をバランスよく行使したい有権者が少なくないことを改めて感じた次第。

鹿児島支局長 平山千里 2009/9/7 毎日新聞掲載