はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

幸せの10円

2009-09-23 08:30:30 | 岩国エッセイサロンより
     岩国市  岩国エッセイサロン会員   貝 良枝

 ビールの空き瓶2本の処分に困っていた。が、ついに近所の店で「空き瓶引き取って」と頼んだ。娘さんは「ちょっと待って」と言う。

 だめかと思いきや「はい、空き瓶代」と10円玉をくれる。この店で買ったものではないので断った。でも、当然のように手渡してくれる。笑顔のおまけ付き。「幸せの10円かもね」ともらって帰った。

 が、私のものにするにははばかられる。いいことを思いついた! カレンダーを見れば明日は大安、ますますいい。出雲までは行けないがこの10円をお賽銭に神社へ参って、彼女の良縁を願おう。余計なお世話かしら?
  (2009.09.23 毎日新聞「はがき随筆」掲載)










連載小説

2009-09-23 08:11:05 | はがき随筆
 新聞連載中の「下流の宴」は今が佳境にあるようだ。
 若い2人の思い、生活、行動の様子は私の過ごした時代とは余りにかけ離れているが、むしろ羨望に近い感情が行間にあふれている。
 珠緒が、噴出する感情で突然に「小さい平凡な幸福論」を捨て、強い意志で壁に近い「医学部入学」に体でぶつかっていく。無謀に挑戦する勇気に、私は拍手を送りたい。これからの展開に興味津々、楽しい。新しい世代に一歩近づく思いがして老いの私に夢をくれることを期待する。窓からはケイトウの花が読書の時を告げているようだ。
  鹿屋市 小幡晋一郎(76) 2009/9/23 毎日新聞鹿児島版掲載