はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

空に泳ぐあひる

2010-09-05 16:19:19 | はがき随筆
 猛暑に降灰のおまけつき。夏場の東風は、鹿児島市街地の悩みのタネだ。花も熱中症でしおれている。ひと雨ほしいところ。夕方たっぷりの水を与えると、みな生き返った表情。高く伸びてる樹木に放水していると、面白い雲を発見。だ円形の雲が三つ重なっている。眺めていると先頭の雲が上に伸び、先の方で曲がった。あっ。「あれ、あひるの首だ」。残る二つは子供かなと、一人はしゃいでいる間にだんだん形が変わり、それぞれの雲は自由に揺れて広がって消えていく。
 木の間を通る風が、ひんゆりと涼しい。
  鹿児島市 竹之内美知子(76) 2010/9/5 毎日新聞鹿児島版掲載