2010年9月12日 (日)
岩国市 会 員 片山 清勝
8月上旬、体調を崩して気分のすぐれない妻が「今朝もたくさん咲いて色もきれい」と見ていた。梅雨のころ、苗に添えられた写真を見て買った数株のアサガオ。それが盛りと咲いていた。その様子が妻の気分を癒やしてくれたようだ。
「花からは、もの言わぬ生命力が伝わります」という病床記を読んだことを思い出す。妻は、それに似たことを感じたようだ。すると、自由気ままに伸びているように見えるアサガオのつるにも、何か力を感じる。
盆過ぎに体調が戻ってからも、妻は起床するとアサガオを眺めた。アサガオも妻の視線に応えるようによく咲いてくれた。水当番の私は、いい花が一日でも長くたくさん咲くよう、気持ちをこめて水をまいた。
「来年は、このアサガオの種を植えたい」と妻は言う。それは花に癒やされたという感謝の気持ちからだろう。暑い暑い夏だったが、これまでにない、よい夏の終わりになりそうである。
(2010.09.12 毎日新聞「みんなの広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載