はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

共通の瞬間

2011-01-01 10:40:07 | はがき随筆
 食事の材料を買いに行く途中、下校時の小2ぐらいの男の子と出会った。「帰りは今ですか?」と声をかけるとしばらく沈黙していたが、急に空高く響く声で「ハーイ」と返事。
 純粋さと元気さに驚いた。自転車で通行中の御婦人もつられてにっこり笑い。
 見知らぬ人同士で、共通の瞬間だった。思いつきの一言が感動の波となり、さわやかな風の中に、いつまでも余韻が残る。きっと今ごろ家に帰り着いて「ただいま」とお母さんに大声で言っていることでしょう。
 明日も、また元気で登校し勉強や運動に精を出して下さい。
  肝付町 鳥取部京子 2011/1/1 毎日新聞鹿児島版掲載

「花が咲いとる」

2011-01-01 10:36:35 | 岩国エッセイサロンより
2010年12月30日 (木)
岩国市  会 員   貝 良枝

 生け垣に直径5㌢ほどの白い花が3個。「この木にこんな花が咲くのか」。いたずらかと思って枝を見るが、確かに咲いている。通りがかりのご老人も見上げ「ありゃ、花が咲いとる」。

 「そうなんですよ。花が咲いているのが不思議で……」と言った時、形の違う葉が見えた。「あっ、サザンカですね。生け垣に混じったサザンカです」

 するとご老人は「そうじゃろ。ヒイラギに、こねえな花は咲かん。咲いたらびっくりじゃ」。

 「ですね」。謎が解けて知らない人とあっはっは。サザンカ3個で笑いが起きるほど、ほっこり温かい冬の午後だった。
  (2010.12.30 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載