はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

お昼寝ウサギ

2011-01-04 17:26:04 | ペン&ぺん

 ご存知、イソップ童話「ウサギとカメ」。それを少し書き直し、換骨奪胎してみたい。
 スタートから一気呵成(いっきかせい)でトップのウサギ。追うカメは全力疾走。だが、動きはスローVTRを見ているよう。カメの頭は汗まみれ。粉骨砕身、足を運ぶのに、差は開くばかり。いつまでたっても前途遼遠(ぜんとりょうえん)。
 ところが、ウサギはゴールに着く前、大胆不敵に「休んでいくか」と一時休憩。半覚半睡のうちに、ふっと睡魔に襲われて、夢の中へ。ウサギがお昼寝している間に、カメは一心不乱。全身血液フル回転で、息切れし疲労困憊(ひろうこんぱい)しながらもフィニッシュする。
 それが原作。油断大敵という教訓だ。
 リライトすれば、こうだ。
 カメがゴールする直前、ウサギはパッと目を覚ます。「ヤバい」。お昼寝して体力回復、気力充実したウサギ。前にも増して速度倍増。勇往邁進(ゆうおうまいしん)走り出し、ゴール直前でカメを振り切る。電光石火の早業で、お見事、1等賞。
 教訓。休む時は、ちゃんと休みましょう。
   ◇
 多事多難だった2010年。冬季五輪があったのは2月。銀盤の女王争いで「真央ちゃん惜しくも銀メダル」に日本中が切歯扼腕(せっしやくわん)。6月はサッカーW杯。桜島出身の遠藤選手が八面六臂(はちめんろっぴ)の大活躍。開催地の南アフリカとの時差から、地元の応援も昼夜兼行。
 徳之島は、ふってわいた基地誘致。官房長官の鹿児島入りは5月。
 7月に参院選挙。秋には阿久根で解職請求、奄美で集中豪雨。あれやこれやで記者派遣。記者たちは、まさに東奔西走、南船北馬。
 でも、ちょっと、疲れました。
  ◇
 今年はウサギ年。あくせくして跳びはねるだけでなく、時には、ゆっくり休んでパワーを充電することも考えつつ、1年を過ごしたいものです。
  鹿児島支局長 馬原浩 2011/1/4毎日新聞掲載
  

見つめる時か

2011-01-04 15:40:24 | はがき随筆
 1月睦月。受験生にとっては1月根性。寒中に耐え、開花に寄せる気持ちは強い。中学3年生。どの生徒も必死な姿。中学時代を振り返る。
 健康ではなく、欠席がちなところもあった。還暦までの寿命か。あと45年どう生きるか。どう鍛えるか。苦しみ悩んだ。成績も、そう出来すぎたものでもなかった。創作することは、ほど遠い存在だった。いま、会長職に。自分が不思議に見える。
 半年ちょっとで満72歳。2011年。やるべきことがいっぱいある。焼酎も創作(随筆・詩・ひろば……)も旅行も……。その中で自分を見つめる時か。
  出水市 岩田昭治 2011/4 毎日新聞鹿児島版掲載