はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

炬燵番

2011-01-22 13:09:30 | はがき随筆
 三寒四温というが、暮れから寒い日が続いている。南の里でこんなに寒い日があるのも珍しい。暖房があっても寒い。
 昔の家には囲炉裏があって今も懐かしく思い出させる。すき間だらけの家だったから、あれで良かったのだろう。家族が多くて、そこか゜一家団欒の中心であった。
 今日核家族とかで、肉親の絆も薄く弱くなっているように思われる。一人暮らしの老人が増え、さびしさを嘆く人がおおい。このままではゆくまい。
 連休で休診の朝、一人暮らしの私も、そんなことを考えながら炬燵番をしている。
  志布志市 小村豊一郎 2011/1/22 毎日新聞鹿児島版掲載

カニサボテン

2011-01-22 12:55:38 | 受賞作品
 玄関の靴箱の上で、ひときわ綺麗な赤紫色のカニサボテンの花。一昨年12月、病室で私の目を楽しませてくれた。咲き終わるとご用済みとばかりに主人が自宅の庭の樹の下に置いたのを思い出させたのは、徳島の従姉妹から届いた写メール。見事な花をつけたカニサボテン。どうしてた? と安否を問うように我が家のカニサボテンを見てみると私が心配するまでもなく、しっかり蕾をつけていた。
 この1年間与えられた命のエネルギーを貯えて花を咲かせるべく頑張っていたのだ。私も、踏みだしたこの年を替え向きに生きてゆこうと心に誓った。
  鹿屋市 田中京子 2011/1/21 毎日新聞鹿児島版掲載