岩国市 会 員 横山 恵子
田舎に住む叔母夫婦が、毎年コンニャクイモを届けてくれる。母はその芋で刺し身こんにゃくを作り、知人に珍しがられ、喜ばれている。
私も挑戦してみようとインターネットで調べてみた。色々な作り方はあるが、手下ろしで作るとひと味違うと書かれていた。水の中で芋を下ろし金ですり、火にかけ15分くらい弱火で練り込む。書いてある通りに作ったつもりだが、混ぜ方が足りなかったのか、いま一つの出来だった。
母は「初めてにしては上出来よ。最初から上手には出来んよ」と慰めてくれた。何度か作ってみて、何とか納得のいく物が出来た。
父によると、祖父はコンニャクイモを薄く切って竹ざおに干し、水車で粉にしていたという。母は「おじいちゃんは、孫がこんにゃくを作ったと聞いたら喜ぶじゃろうね」と言う。
こんにゃく作りから、亡くなった祖父母の話で盛り上がった。2人の優しい眼差し。時を超えて、その思い出とぬくもりは私の心に生き続けている。
(2011.02.03 朝日新聞「声」掲載)岩国エッセイサロンより転載
田舎に住む叔母夫婦が、毎年コンニャクイモを届けてくれる。母はその芋で刺し身こんにゃくを作り、知人に珍しがられ、喜ばれている。
私も挑戦してみようとインターネットで調べてみた。色々な作り方はあるが、手下ろしで作るとひと味違うと書かれていた。水の中で芋を下ろし金ですり、火にかけ15分くらい弱火で練り込む。書いてある通りに作ったつもりだが、混ぜ方が足りなかったのか、いま一つの出来だった。
母は「初めてにしては上出来よ。最初から上手には出来んよ」と慰めてくれた。何度か作ってみて、何とか納得のいく物が出来た。
父によると、祖父はコンニャクイモを薄く切って竹ざおに干し、水車で粉にしていたという。母は「おじいちゃんは、孫がこんにゃくを作ったと聞いたら喜ぶじゃろうね」と言う。
こんにゃく作りから、亡くなった祖父母の話で盛り上がった。2人の優しい眼差し。時を超えて、その思い出とぬくもりは私の心に生き続けている。
(2011.02.03 朝日新聞「声」掲載)岩国エッセイサロンより転載