はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

クヌギ割り

2011-02-08 16:44:14 | はがき随筆
 裏の畑に父が植えたクヌギがある。大きくなったので昨年末に7本切り倒した。シイタケ栽培を楽しむためだ。枝も、たくさん出た。この枝を約40㌢に切りそろえ、太い枝は割って小屋の北側に積んでおく。この割る作業が難しく、オノが真ん中に当たるとポーンと割れるが、ちょっとでもはずれると何度もオノを振ることになる。今度こそと狙いながら割る。すると体はポカポカ温まってくる。切る、割る、積む。この一連の作業は寒い冬を暖かくしてくれるし、風呂の燃料としても最高だ。今夜も父は重い足を引いて風呂を楽しんで寝た。
  出水市 畠中大喜 2011/2/8 毎日新聞鹿児島版掲載

2人旅

2011-02-08 16:37:57 | はがき随筆
 ロンドンとスペインのバルセロナを娘と2人で旅した。ロンドンでは、運良くバッキンガム宮殿の交代式も見ることが出来た。古代美術のコレクションで世界屈指の大英博物館は圧巻。
 バルセロナではガウディ建築を堪能した。浄財のみで建築されているサグラダ・ファミリア。曲線美に魅せられたカサ・ミラやグエル公園。
 思えば、娘が高3の夏。高校と大学は、日本と米国の両方の教育を受けたいと1人で机上の人となる娘を夫と見送った。
 毎回充実した2人旅が出来るのも、娘の留学経験の賜物と思う旅でもあった。
  垂水市 竹之内政子 2011/2/7 毎日新聞鹿児島版掲載

あっ、まさか!

2011-02-08 16:31:56 | はがき随筆
 夕食後、決めた所に置いたはずの前3本の義歯がない。
 妻に「また始まった」と軽口をたたかれ、意地になり探す。
 鏡に映る義歯なしの顔は、我ながら薄気味悪く早く見つけたいとくまなく探すが、ない。
 焦る私の気持ちをよそに、還暦を過ぎた愛犬のミニダックスフント、クロはコタツからちょんと首を出してスヤスヤと寝入っている。
 近く、竹馬の友5人が集う。「若いぞ」と歯の抜けた姿などは彼らに絶対に見せられない。
 翌朝「こたつの中で、ガリガリ音が!」と妻がびっくり声で2度叫んだ……。
  鹿児島市 鵜家育男 2011/2/6 毎日新聞鹿児島版掲載

自分へのケア

2011-02-08 16:26:15 | はがき随筆
 もう決して若くない自分を、ケアすることを毎日の暮らしの中で心がけてみたい。
加齢による体力的な衰えと、外見の変化は心にまで影響を及ぼす。年を取ったという自覚のないままに、無理を重ねると、心も体もバランスを崩してしまう。生活の質を改善し、食事に気をつけ、体を動かし歩くようにする。睡眠を十分にとり、規則正しい生活をする。自分へのケアが行き届いている人は、生き生きして見える。日々の暮らしの小さな事柄や自然を愛おしく思い感動する。残り少ない人生を、もっと豊かで味わい深く精いっぱい生きてゆきたい。
  出水市 橋口礼子 2011/2/5 毎日新聞鹿児島版掲載

記念同窓会

2011-02-08 16:19:08 | はがき随筆
 教え子たちは、平成22年正月から企画を始めた。思い出の残る、しかも満50歳記念同窓会にと心をはせてきた。
 校章、校名入りのハンカチやDVDも作り、1人でも多くの同窓の出席を切に願っていた。私にも20分ほどの話が組み込まれていた。A4判2㌻に満50歳のころの生き方や現在の姿を詰め込んだ。心に食い込むことを表そうと必死であった。「先生の生き方をマネして生きていきます」と話してくれた教え子。互いに人間として睦まじく語り合った。還暦祝いの再会を誓い合った。教え子よ、ほんとうに嬉しかったよ。
  出水市 岩田昭治 2011/2/4 毎日新聞鹿児島版掲載