灯台守の夫婦を描いた「喜びも悲しみも幾年月」。10歳の頃、学校の講堂の巡回映画で見た。
観音崎に新妻を連れて来るシーンで始まる。離島へき地での灯台守の仕事の過酷さ、夫婦の哀歓に感動した。が、子ども心に「灯台守は自分には絶対無理や」と思った。
私の「幾年月」は室戸岬に妻を連れていくシーンで始まる。電電公社の無線屋として転々とし、離島勤務も2度した。
カミさんと子どもたちがいて、何とかやってきた。本物のような情感豊かな盛り上がりはないけれど、終わる時にはパチパチ拍手しよう。私の映画、総天然色だ。
宮崎市 柏木正樹(72) 2021/8/3 毎日新聞鹿児島版掲載