はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

野良仕事

2021-08-14 21:22:29 | はがき随筆
 蔓を大方切った郁子の下、藪柑子が枯れた。が、今年は芽吹き小花がつく。郁子の葉が繁り、遮光して元の環境が戻ったからだ。小さな庭にも相関作用はある。草木の素性を知らず弄ると、傷めると分かった。最近、自然環境の本を読み、不耕栽培を知った。雑草と作物、害虫も益虫も相身互いで共存する。これまで私は草取り、水やり、肥料をやって耕し、整えるのを優先してきたが、多少荒れても、自然に任せた。不耕起の野良仕事に目から鱗であった。計画性、持続性、忍耐、そして学習とが必要な不耕起の方が、よほど難しいのである。が、面白い。
 熊本県阿蘇市 北窓和代(66) 2021/8/14 毎日新聞鹿児島版掲載