はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

公費の使い方

2013-06-03 20:57:27 | ペン&ぺん

 県は利用者減が続く定期航空路、上海(中国)─鹿児島線の利用促進を図ろうと、県職員1000人を上海に派遣する経費1億1800万円を今年度一般会計補正予算案に計上した。3泊4日の日程で、50人のグループを20回に分け、上海のインフラ整備や教育、文化施設などを視察し、国際感覚を養ってもらうことなとが狙いという。食事代やパスポート申請費も、県が負担する。
 上海─鹿児島線の誕生の経緯や一度なくなった定期航空路の復活が厳しいこと、人的、物的交流や観光など経済面への影響─と理解できないわけではない。ただ、これらは公費。識者からも厳しい指摘があった。利用が少ない路線を公費で支援する必要があるのか。研修が終われば、再び利用者数は減るが、どうするのか。一時しのぎではないのか? このご時世に納税者(県民)の理解は得られるのかと。
 新聞の読者が減り、広告収入も今ひとつ。経費カットや人員削減にうめき、仕事をしている私にはうらやましい限り。民間なら「自分のお金でおやりなさい」で片付く。利用率が低いのは需要が少ないから。仮に、新聞の読者離れの理由が「読む魅力がないから」としても、誰も「言論機関を守れ」と言って、公費で支援などはしない。
 全国市民オンブズマン連絡会議の児嶋研二代表幹事は「1億円もあれば、どれだけ多くの県民にサービスができるだろう。極めて時代錯誤と言わざるを得ない」と厳しい。さて県議会はどんな議論をするのだろうか。地元紙も全国紙も大きく紙面を割き、上海研修を読者に伝えた。「え~、なぜ」「おかしい」と反発する県民も多いはず。民主党政権時、事業仕分けで税金、公金の使い方が注目されたが、納得できれば、誰も疑問など呈しない。経費の財源となる納税者の皆さんは、どう思いますか。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2013/6/3 毎日新聞鹿児島版掲載

最新の画像もっと見る

コメントを投稿