はがき随筆・鹿児島

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バランス

2009-09-10 11:36:39 | かごんま便り
 夏の嵐のような衆院選から1週間。民主、自民両党は4年前の「小泉郵政選挙」の裏返しの結果となり民主が大勝。伝統的に自民支持が根強い鹿児島県でも、5小選挙区のうち二つで自民が議席を明け渡した。

 民主が県内で初めて小選挙区で勝利した鹿児島1区を例に有権者の投票行動を振り返ってみる。まずは小選挙区。前回約2万4000票差で勝利した自民・保岡興治氏は今回、民主・川内博史氏に逆に約2万3000票差で及ばなかった。

 鹿児島支局が期日前投票を含めて実施した出□調査(有効回答650人)によると前回、保岡氏に投票した人のうち今回も保岡氏に投票したのは65%。34%は川内氏に票を投じたと答えた。保岡氏から「離反」したのは「支持政党なし」の人々だけでなく、自民支持層も少なからず含まれていた。一方、前回川内氏に入れた人の96%は、今回も川内氏を選んでいた。

 比例代表はどうか。回答者の支持政党は自民39%、民主26%の割合だったが、投票先は自民24%に対し民主49%。自民支持層の3分のIは自民ではなく他の政党(多くは民主)に投票していた。

 いわば身内からも「ノー」を突きつけられた自民党。民主の勝ちよりむしろ自民の負けが印象として際立った背景はこういうことだったのだ。

 個人的に興味深かったのは、自民退潮、民主躍進の流れの中、やや違った投票行動に出た人たちの存在である。小選挙区では民主の候補に投票しながら、比例では他の政党を選んだ回答が思いの外あり、それは「自民離反組」だけでなく民主支持層にも散見された。

 自民にはいいかげん退場願いたいが、かと言って民主の独走も困るということだろう。前回の自民大勝への反省からか、2大政党制への抵抗感なのか、いずれにせよ2票をバランスよく行使したい有権者が少なくないことを改めて感じた次第。

鹿児島支局長 平山千里 2009/9/7 毎日新聞掲載

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