はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

健全育成

2007-01-18 19:41:45 | はがき随筆
 わが国は60年前の敗戦から立ち上がって、現在の繁栄と平和を築いた。ところがその日本が、最近さまざまな面でおかしい。それらの中で、私が心を痛めていることの一つが、子どもたちの問題である。いじめや自殺、盗みなどは日常的であり、子どもが親を殺す事件にいたっては、まったく理解に苦しむ。子どもたちは次代を担う国の宝。今こそ教育の問題を国の重点課題として、子どもたちの健全育成に努めたい。それなくして、国の繁栄もありえない。まず大人社会が身を正し、さまざまな力を結集して、これらの問題に真剣に取り組んでいきたい。
   南さつま市 川久保隼人(72) 2007/1/18 掲載

うれしい電話

2007-01-17 19:34:17 | はがき随筆
 心待ちしていた孫娘・N子からの電話が鳴った。弾んだ声で「受かった!うれしい……」「よかったね。おめでとう」。受話器を握る妻の頬に涙が一筋。私は「やったぁー」とガッツポーズが出る。
 N子が受験したのは福岡にあるS学院大学法学部・国際関係法学科。自己推薦枠4倍の難関を乗り越えての合格だけに、家族は大喜びである。
 N子の将来の夢は、海外で飢えや病気に苦しむ人たちのために働くことだ。N子はその望をかなえる第一歩を踏み出した。電話の後、尊敬する緒方貞子さんの本を買いに行くという。
   出水市 清田文雄(67) 2007/1/17 掲載

偉大なる発見

2007-01-16 13:00:22 | はがき随筆
 車で遠出をすると「道の駅」に妻は寄る。中に入るともう出てこない。仕方なく外のベンチで見るともなく見ていると男と女の違いを発見!
 トイレへの出入りが男と女は違うのだ。駆け込みながら入るのは圧倒的に女性だ。男は手をポケットに余裕を感じさせながら中へと消える。が、そそくさとハンカチで手を拭きながら、いかにも用を足し、手も洗いましたよと言わんばかりなのが男性。
 それに比べて女性は何事も無かったかのごとく、先ほどの駆け込み姿など微塵も見せず、颯爽と出てくる。という偉大なる発見をした。
   肝付町 吉井三男(65) 2007/1/16 掲載

春の歌

2007-01-15 16:53:01 | アカショウビンのつぶやき
 信愛コーラスの練習が今日からスタート。
2月に二つのステージが予定されており、またまた多忙な練習が待っているけれど、今日は軽く歌って、あとはティータイム。

「今日は春の歌を歌いましょう」と、発声練習を兼ねた「春のうた」競演。
二つのチームに分かれ、相手のチームが選んだ、春の歌を一緒に歌う。
歌ってる間に次に歌う我がチームの歌を考えなければならない。

「さくらさくら」から始まって「はるがきた」「春の小川」「早春賦」「チューリップ」「楽しいひなまつり」と、次々浮かんだが、ネタがつきる頃には「これも春の歌だよねぇ」と「仰げば尊し」…。
先生も「まっいいかっ」。

そして、川村昇一郎編曲の「春の小川」を、明るく軽やかに「さらさら♪♪♪♪さらさら♪♪♪♪」と音取り。
あとは、先生手作りの美味しいそばケーキを
「いただきまーす」。
     アカショウビンのひとりごと

春の色

2007-01-15 16:18:49 | かごんま便り
 暖かな日差しに鮮やかな色が映えていた。同じ種類のボタンでも、鉢が違えば微妙に色合いも違っていることに気づいた。仙厳園で開かれている「島津牡丹展」。白色や黄色の花もあったが、特に赤色系の花をより観察してしまった。春を迎え、視覚でも暖色を求める気持ちが強かったせいかもしれない。
 さて牡丹の赤い花の色は、一律に牡丹色でくくれるものではなかった。比べて見ると、朱色や紅色に近いものもある。自然の植物が表現する色は美しく、神秘的なものを感じる。しかし、植物は枯れれば鮮やかな色もあせてしまう。
 昔の人はこの色を残そうと植物で染色したり、さらに神秘的な力を得ようと染めた布を肌身につけた面もあるだろう。赤色系の代表的な色の一つ「紅」の染料となる紅花が中国から渡来したのは5世紀とされている。中国では、紅花を精製して高貴な女性たちの化粧品にも利用されていたという。
 以前、読んだ本に、中国では染料の総称を「藍」と言い、呉の国から伝わった色ということで「くれのあい」になり「くれない」になったと書いてあった。色の名に伝わった国の名が入っているのが面白い。
 万葉集には「紅の花にしあらば衣手(ころもで)に染めつけ持ちて行くべく思ほゆ」とある。あなたが紅の花であったなら、袖に染め付けて持って行きたいとの心情が歌い込まれていて、愛されていた色のようである。
 メモ帳を手にボタンを観賞しながら一句ひねろうとしている人も多かった。カメラで撮影する人もいた。こちらは、とりとめのない事を考えながら園内を散策した。日本で初めて移植された孟宗竹がある江南竹林の葉にも春の色を見つけた。若竹色よりも薄く黄味が濃い。この色を記憶して、支局に帰ってから色図鑑と照らし会わせてみた。似ているらしい色は「鶸萌黄(ひわもえぎ)」だった。鶸色と萌黄色の中間色とある。鶸色も萌黄色も単色で、もやっとした色。そこにまた中間色があり、ちゃんと名まであるのには驚き、日本語の繊細さを改めて感じた。
 よく地図やガイドブック、植物図鑑を持って散策に出掛けているが、色図鑑を携えての散策も一興かもしれないなと考えた。四季折々で必ず変化があり、まだまだ知らない色の名も覚える事ができるから。
   毎日新聞 鹿児島支局長 竹本啓自 2007/1/15 掲載

ほどほどに

2007-01-15 15:37:18 | はがき随筆
 正月気分も薄らいで、やっと世の中の歯車が平常に回り出した。私の趣味や体力作りも始動し出した。
 ところが年末年始を風邪に見舞われて少し体力の限界を感じる。12月は、時を走り過ぎた気がする。
 気分は若いつもりでも、実年齢は確実に年を重ねている訳であ。こんな簡単なことを自覚しないで、突っ走ったつけが来るのである。
 反省している。何事もほどほどにを心がけて、私なりの時を過ごさなくてはと肝に銘じる。
 自分の時間を持てる身を幸せに思いながら。
    霧島市 口町円子(67) 2007/1/15 掲載

こちらに福音を

2007-01-14 20:56:25 | はがき随筆
 電話の相手は数日前の彼女の声。先日は、ご都合が悪かったのでと言う。化粧品のセールスである。仕方なく聞く事に。1週間でシミ、シワが消えるという。女性にとって福音と製品の説明を早口でしゃべりまくる。私は割り込んで、シミもシワもない事をまことしやかに言う。「お若い声ですね」と更に続ける。鹿児島は日差しが強いからシミになりやすいのにと追いかけて話す。「しっかりUVケアをやっております」と、こちらも頑張る。福岡からの女性。声のトーンが下がり電話は切れた。〝こちらに福音を〟と、受話器を置き、鏡をのぞき込みニヤリ。
   鹿児島市 竹之内美知子(72) 2007/1/14 掲載

重ねる年に誓う

2007-01-13 19:05:43 | はがき随筆
 新年に当たり「このまま晩年を迎えていいのか?」と自問自答、胸がざわめき出した。38年勤めたのだからこれからは夢に描いていた四季折々の写真を撮り少年野球に指導が思う存分出来るぞ。いやもっと働きゆとりのある生活を楽しみたいなど煩悩が頭を掻き乱すのである。考えた末、晩年にはまだ時間がある。「自分に正直に生きよう」との思いが沸き上がった。
 現役時代のデスクワークの仕事ではなく、額に汗して太陽の下で身体を動かす仕事に従事したい。
 新年に宣言し、自分を奮い立たせ磨き直してみたい。
   鹿児島市 鵜家育男(61) 2007/1/13 掲載

写真は秋風ゆうさんよりお借りしました。

首がまわらん

2007-01-12 16:30:47 | アカショウビンのつぶやき
 そりゃそうでしょう! と言われそうですが、ほんとに回らないんです。
短い首をカラーで固定して…。

去年の秋、自宅前で転倒し満身創痍となったとき、周囲から沢山の忠告をいただいき、「もうやるまいぞ!」と決心したのですが…。

昨日、あわてて階段を踏み外し転倒、壁に頭をぶつけて首をひねったらしく、軽いむちうちなんだそうです。

両側にある手すりをなぜつかんでいなかったのか、小さな不注意が大事故を引き起こすんですよね。


ドクターにはあきれた顔で「今度はなにやったの」と笑われました。

病院では、私と同じような年齢の患者さんが、膝をさすり腰をさすりなが、お互いに慰め合っています。

皆様今年もお怪我なく過ごされますよう祈ります 
アカショウビンのぼやき

宝くじ

2007-01-12 16:01:57 | はがき随筆
 気持ちとは裏腹に嫌がおうでも新年の準備に追われていた年の瀬。昔はときめいていたのにと主婦役を降りたい我が儘を何かが支えてくれてるのだが……。
 去りゆく年に感謝し迎える年に平和と幸をと、お蕎麦を食べていると賑やかな声は宝くじの話題。そうだ、これだったとにんまり。しかし、どこになおしたか思い出せない。こんなのに限って当たりだったりしてと、膨らんだ胸を枕に元日を迎えた。やっと探し出すと夢はやっぱり夢だった。20枚が600円に化けた初めての宝くじ。もう買うまいと今は思うのだが。
   薩摩川内市 田中由利子(65) 2007/1/12 掲載

孫娘の門出

2007-01-11 15:53:28 | はがき随筆
 孫娘が結婚して2月で1年になる。当時、披露宴のことでアドバイスをしたいと思い、長男宅に電話すると孫娘が受話器を取り、新郎と打ち合わせて私たちで準備しますから安心してと言う。若干不安を感じながらも当日、披露宴に参列した。まず驚いたのは参列者の多い事だった。宴もたけなわ。新郎のサッカー服の背番号が光る。驚異な技法でボールを扱う姿には皆が感動。孫娘は両親に贈る手紙の朗読。涙には強い両親だが、感動は隠せない。新居は新郎のご両親の計らいで新築一軒家。感謝の気持ちを忘れるなと声を出したい。ご夫婦笑顔で幸せに。
   姶良町 谷山潔(80) 2007/1/11 掲載

万両

2007-01-10 21:40:32 | はがき随筆
 冬枯れの庭に、万両の実が一際鮮やかに写る。小鳥からの贈り物です。
 数年前、見事に熟れたキンカンを誰かのいたずらかと思う程、木の辺りに落とし散らかしていた。離れて眺めているとヒヨドリ2羽が入れ替わりキンカンをつついて落としたり、くわえて飛び立ち、またつつきに来ていた。
 いつしかこの事を忘れて庭の草取りをしていた時、キンカンの根元一面に硬い葉をした苗が育っていた。それが昨年の夏、白い花の後球果を結んだ。それれも赤い実と白い実。小鳥さんありがとう。この実があることで冬の庭が生きてきた。
   出水市 年神貞子(70) 2007/1/10 掲載

写真はバセさんよりお借りしました。

空き巣騒ぎ

2007-01-09 14:54:53 | はがき随筆
 南さつま市のはずれに、祖父が建てた実家がある。引っ越しの時に必要なものだけ運んで、がらくたを残した。加世田の勤務後、家に寄り少しずつ片付けていたのだが、鹿児島市内に転勤になったため、今は週末に通っている。
 ある日、2週ぶりに帰った夕方のこと。明かりをつけた室内がいつもと違う。足の踏み場もないほどに散らかっているのは同じだが、物の配置が微妙に違うのである。金品は全く無いけれど靴跡もあり気味悪く、警察に来てもらった。鍵がかかりにくい箇所から侵入したらしい。帰る時、きっちり戸締まりしたことは言うまでもない。
   鹿児島市 本山るみ子(54) 20067/1/9 掲載

写真はなっちょんさんからお借りしました、本文とは関係ありません。

孫たちと一緒に

2007-01-08 20:51:16 | はがき随筆
 共働きの娘夫婦。もうすぐ4歳と2歳になる孫娘が通っている保育園では、四季折々の園内行事に祖父母の出番にも配慮がなされ、家族3世代の参加は老いの日々を潤してくれる。
 恒例の冬の行事、年の瀬餅つき大会は園内の一隅に木臼と杵が用意され、大人が交代でつきあげた餅を、仕上げに年長さん数組の園児全員が順番に小ぶりの杵を威勢良く振り上げ、昔ながらの「杵つき餅」を体験学習。
 きなこ餅、しょうゆ餅、のり巻き餅など、つきたての柔らかい餅をみんなでほおばりながら……。どこか懐かしい和みの情景は郷愁を誘う。
   鹿屋市 神田橋弘子(69) 2007/1/8 掲載

秘かな楽しみ

2007-01-07 16:20:29 | はがき随筆
 最近やっとおいしいパンに巡り合えました。このごろは、どこのパン屋さんも原材料にこだわったり、味や形に凝っていておいしそうと思って買っても期待はずれの場合が多いのです。ところが2ヶ月程前、近くのコンビニで何気なく買ったパンを口にした途端、「これだ。私の求めていたのは」と思いました。
 それは極めてシンプルなこしあんのパンなのです。グルメの人は一笑に付されるでしょう。あんの甘さ加減といいパンの歯触りもとても心地よいのです。これから2~3日おきの80円程の秘かな私の楽しみになりました。
   出水市 川頭和子(55) 2007/1/7 掲載