はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

暮れの失敗談

2007-01-06 10:18:30 | はがき随筆
 郵便局から電話。はて? 「18年度の馬渡さん宛の賀状が22枚まじっていましたのでお返しします」。
 今までは年が明けてから書くとか、電話ですますとか、寒中見舞いにするとか、我ながらあきれるほどいろいろな手を使ってきた。ずぼら+(ぷらす)のんべんだらり人間なのだ。加齢と共にますますひどくなり、もうお手上げ状態に。ふと賀状に印刷された亥を見て発奮。私の干支。年末に賀状を書き終え投函した。「奇特なことをしましたなあ」と冷やかす夫を「失礼なこと言わないでよ!」とすごい剣幕でやり返したのは昨日のことだった。
   鹿児島市 馬渡浩子(59) 2007/1/6 掲載 

野寒菊の彼

2007-01-05 11:54:42 | はがき随筆
 課内旅行で行った南薩摩路では、ススキや野菊の群生に圧倒された。
 カメラを片手に動き回っていると、Iさんが潮風に黒髪をなびかせ、東シナ海に沈み始めた夕日に見入っている。彼は3歳年上の上司だ。
 手折った一輪の花を目の前に差し出すと、目を細めて私をじっと見た。
 マイクロバスに帰る道すがら、「さつま野寒菊か……。早く巡りあっていたらよかったなあ」。
 小さな声だったが、はっきりと耳に残った。
 あれから15年、国道すじでこの花を見るたびに彼のことを思い出す。
   阿久根市 別枝由井(64)2007/1/5 掲載

やじろべえ

2007-01-04 12:24:58 | はがき随筆
 格好良く生きたいと願いながら、いつも格好悪く生きている気がする。「いいなあ」と思うものを伝える事が〝愛〟だと行動した後で「押しつけがましかったかな?」と自分が嫌になる。
 そこで、何も言わない、行動しない慎重居士状態が続くと、自分が冷たい人間に思えてきて、また嫌になる。
 極端から極端へ走る。両極のバランスを見事に保つ「やじろべえ」の仕組みが、まだ私の中には確立していない。
 「だから生きるかいがあるんじゃない?」と歩き始める。この元気、どなたが下さるのだろうか。
   鹿屋市 伊地知咲子(70) 2007/1/4掲載

平和が一番

2007-01-03 12:57:15 | はがき随筆
 庭のモミジが橙色に染めた葉を一枚また一枚と大地に返し始めると、どこからともなく寒さの冬がやって来る。「わぁ、モミジが綺麗だね」。母は庭の手入れと掃除に余年ない。裏の石垣を見ると、水仙が真っ白い花を咲かせている。ついこの間まで、黄緑色の小さな芽がちょこんと顔を出していたのに──。厳しい寒さの中でも真っすぐに伸びて花を咲かせる。さまざまな自然の営みの中で皆生かされている。強さは優しさ。穏やかで平和な日々の何てありがたい事。「平和が一番だね」。万物のそんなつぶやきが聞こえてきた。
   出水市 山岡淳子(48) 2007/1/3 掲載

あいちゃんの年

2007-01-03 12:47:48 | かごんま便り
 私の姿を認めて興奮したのだろう。鼻息が荒くなり屋内から出てきた。太陽の光を浴びてほんの一瞬だが全身が金に見えた。「またー正月だから、めでたく金などと書いて」と思われる読者もいらっしゃると思う。でも日陰から日向に移動した瞬間、本当に輝いたように見えた。
 その正体は霧島市牧園町の和気神社で飼われているイノシシ「あいちゃん」。全身が白い毛で覆われている。誕生は94年8月11日。近くの人が交配させて産ませた中にいたという。翌年の亥年に奉納された。 この神社は和気清麻呂(わけのきよまろ)を祭っている。769年、皇位を狙う野望を阻まれた道鏡の怒りを買い、大隅に流されたことに由来して建立された。清麻呂が宇佐八幡宮に参詣する時には約300頭の猪が現れ、前後を守って約10里の距離を案内したそうだ。このことから明治時代の亥年に発行された10円札には清麻呂と猪が刷ってある。
 昔から人と動物がかかわって伝えられている話は多い。スサノオノミコトのヤマタノオロチ(大蛇)退治などの話もあるが、猪の集団が清麻呂を守って参詣する光景などは想像すると面白い。動物との触れ合いでほほ笑ましいのは空海(弘法大師)と狸の話がある。
 高松市にある84番札所・屋島寺には弘法大師が道に迷った時に道案内をした太三郎狸が祭ってある。さらに、寺の住職が悟りの境地に達すると、屋島に住み着いているタヌキが紅白に別れて源平屋島の合戦の様子を再現して祝ってくれるという。私がこの話を聞いたのが十数年前、住職はまだ見たことがないと話してくれた。その後、紅白戦を見ることが出来たのかは確認していない。
 今年は亥年。よく知られているのが猪突猛進。無鉄砲に敵に突進する人を猪武者と揶揄するような言葉もある。さて、「あいちゃん」はどうだろう。境内に造られた総檜作りの「御殿」で暮らしている。しかも運動場とプール付き。
 「あいちゃん」の名前は、和気神社にちなみ、さらに和気藹々から付けられたそうだ。こちらも、あいちゃんが元気に教えている「わきあいあい」で、この1年を過ごしたいと考えている。
 遅ればせながら、新春のお喜びを申し上げます。今年もよろしくお願いします。
   毎日新聞鹿児島支局長 竹本啓自 2006/1/3掲載

根性石蕗

2007-01-01 12:39:52 | はがき随筆
 門扉の下、コンクリートの隙間から1本の石蕗が芽を出した。
 根性大根とか報道されているが、わが家にも根性石蕗が生まれたと注意して見守ることにした。夏から秋にかけて続いた旱の時も、水をやらず大自然のままにゆだねた。
 夏を越えても元気だ。ただ秋深くなっても蕾が上がってこない。栄養不足なのか、根性が足りないからだろうと、そのまま放っておいた。
 石蕗の花時も過ぎ、寒さが厳しくなってから、ようやく蕾を持ち上げてきた。新春早々、門扉に根性石蕗の花飾りがいただけそうだ。
   鹿児島市 福元啓刀(77) 2007/1/1 掲載

写真はバセさんよりお借りしました。

A Happy New Year !

2007-01-01 09:41:57 | アカショウビンのつぶやき
         






新しい年 2007年


空気も景色も何も変わっていないのに
改まった清々しい気持で目覚めました

生かされている今を感謝し
キリスト教会の早天祈祷会へ

しんと静まった冷たい空気の中に身を置くと
一年間の様々なことが
真っ暗な大空に浮かび上がってきます

そして今から始まる「新しい1頁」に
何が描かれていくのかなぁ…と

去年の元旦からスタートしたこのブログを愛してくださった皆様、心から感謝いたします。今年もよろしくお願いいたします。

やっとこさ、大晦日に書き上げた年賀状、途中でインクが切れたり、ミスったり散々でしたが、今頃どこを飛んでるのでしょう。

昨日、帰省した息子と束の間の団らんの時を過ごします。

皆様も楽しいお正月を!