はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

子育て今と昔

2008-09-22 22:30:04 | はがき随筆
 夏休みに入って、大学1年と小学3年の、ちょっと年の離れている兄弟を連れて、長男の嫁がやって来た。
 大学生はすぺてがマイペース。親の立てた予定より、朝食後のシャワーが優先する。小学生は食事中に母に反抗する。それでも母親はしからない。昔なら怒鳴りつけているところだ。
 今の若い親たちが子供をしかりつけないのは、幼少のころ自分のされてきたことに対する反動か。嫁の、孫に対する態度を見ていて、私たちがやってきた時には体罰をくわえたような子育ては間違っていたのか……。
そんなことを考えさせられた。
   西之表市 武田静瞭(72) 2008/9/21 毎日新聞鹿児島版掲載
   写真は武田静瞭さん提供

はてさて?

2008-09-22 22:24:33 | はがき随筆
 60年代最後の誕生日を迎えた。平均寿命まで生きても後10年、だからといって「はい、そうですか」という訳にはいかない。
 「エージシュート」を目指して米寿までゴルフを続ける予定で、その手は着々と打ってある。日々12㌔の散歩、そして500回の腹筋運動とスクワット。声を出して毎日新聞を読めば脳の活性化も保障される。当然、妻も放ってはおかない。豊富なメニューに気配りの味つけ、肥満への配慮も万全である。
 しかし、問題がある。ゴルフの腕が一向に上がる気配がないことである。百まで生きれば何とかなるかしら……?。
   志布志市 若宮庸成(69) 2008/9/20 毎日新聞鹿児島版掲載

ゴルフ日和

2008-09-20 22:39:45 | はがき随筆
 気の合う仲間16人で、松元のゴルフ場に遠征した。
 吹く風は秋色。クリの実もあちこちに。天気も上々。いよいよスポーツの秋と来たもんだ。
 全員のスコアを足すと2000打を超す猛者ぞろい。右へ左へ、OB、バンカー……。チョロでも「アハハ!」。所狭しと走り回り、無事に18番ホールにたどり着く。
 最後のパットを終えて脇に置いていたクラブに近寄ると、夕日を浴びてトンボが羽を休めていた。絵に描いたような光景に、しばしたたずむ。
 今日一日をありがとう。
 健康に感謝、仲間に感謝。
   指宿市 有村好一(60) 2008/9/19 毎日新聞鹿児島版掲載

敬老プレゼント

2008-09-18 20:07:29 | アカショウビンのつぶやき








 鹿屋キリスト教会マリア会(女性の会)では、毎年、日本各地にお住まいの70歳以上の信仰の友に手作りのプレゼントを贈ります。
 今年は可愛いティッシュケースでした。布を買いに行く人、裁断する人、ミシンを掛ける人、刺繍をする人、それぞれが自分の得意の分野を担い、80枚の作品を仕上げました。私は残念ながら奉仕がスタートして間もなく怪我でお手伝いができなくなりご迷惑をかけましたが、皆さんが協力して最後まで頑張り、心を込めて綴ったお便りを添えて発送してくださいました。
 今、次々にお礼状が届きます。皆さん高齢となり、困難な状況のなかに在っても神様を信じて感謝の日々を送っておられる様子にただ感謝あるのみです。
 敬老プレゼントの奉仕が終わると次はクリスマスのプレゼントです。さあ今年はどんなアイデアが出てくるのでしょう。毎年提案される新しいアイデアにはビックリさせられますが、期待しつつ待ちましょう。


台風接近

2008-09-18 19:21:53 | アカショウビンのつぶやき
 予報ではかなり接近してるはずなのに、静かだなあ…このまま行っちゃうのかなと思っていたら、急にビュウビュウ吹き出した。

 「台風銀座」と言われる鹿児島を、最近の台風は不思議に避けていた。なのに台風13号は中国大陸に行くのだろうと思いきや急に角度を変え、やはり鹿児島目指して進んできた。
 独り住まいとなって久しいが、一度も強い台風に見舞われたことがないのは本当に有り難い。でも地球温暖化が原因かと思われる巨大ハリケーンを見ていると、台風も、いつ魔物のようなでっかいのが生まれないとも限らない、心配の先取りはしたくないが、備えだけは万全にと頭の中だけ(>_<)では常に考えている。
 今回の台風13号は幸い暴風圏が消えかかっているので、たいしたことはないが、秋台風はこれからまだまだ続きそう。
 ぱんぱんに膨らんで重い非常用リュックは、いざとなったらほんとに背負えるのか自信がない、自分の体力に合わせて中身を選び直さないといけないなあと考えているアカショウビンです。

祖父母の至福

2008-09-18 18:47:48 | はがき随筆
 今年のお盆は孫たちが大挙して来てくれ、我が家も久しぶりで大にぎわいだった。高校生が1人、他5人は大学生。されはそれは若者たちの語らい、大食欲にじい、ばあは目を細めて大喜び。1泊していった。正月にも来てくれればと楽しみだ。
 日々の移ろいは早いもの。セプテンバー。「重陽の節句」の誕生日が2人いる。電話で「おめでとう。良い日に生まれて良かった。ますます元気で幸せを祈る」と話した。
 今夏は猛暑だったが、孫たちから元気をもらったお陰でどうやら乗り越えられた。感謝感激の盛夏だった。
   大口市 宮園 続(77) 2008/9/18 毎日新聞鹿児島版掲載

親譲り

2008-09-18 18:24:11 | はがき随筆
 にぎやかに五輪の幕が下りた。出場者は無論、観衆に多くの感動や教訓を与えた。一方、研究や検討の課題も残した。
 さて、父が過去の五輪のメダリストで、その背を見て五輪への道を進み、多くの苦難を乗り越えて今大会に出場した若者も多い。もちろん好成績が望まれるが、結果は問わない。スポーツの厳しい道をひたむきに進む強じんな姿が尊い。
 「この親にしてこの子あり」「子は親の鏡」のことわざは、真に子に敬慕される価値ある親たり、それを慕う子たりの関係を物語る親譲り、親子のきずなの神髄だろうか。
   薩摩川内市 下市良幸(79) 2008/9/17 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はYASUYUKI TAKEZAWAさん

よくぞまあ!

2008-09-16 21:54:54 | アカショウビンのつぶやき
 ひょんなことから柄にもなく、ラジオ番組作りのボランティアにはまり、フウフウ言いながら週に1作品を作り続け106作品をコミュニティFMの電波に乗せた。何しろ超アマチュア(?)の作った作品だから稚拙なものばかりだが、よくぞまあ2年も続けてこられたものよ…と我ながら驚いている。こればかりは独りの力で出来るものではなく、編集担当のエンジニア・Oさんに感謝の他はない。

 番組に登場して下さった方々は、90歳の元気なおばあちゃまから、小学一年生まで90人。内容はエッセイ、詩、短歌、俳句、童話、児童の作文などなど多彩。

 「折角だから2周年記念として、全作品をまとめリスナーにプレゼントしたらどうだろう」と編集係のOさんから提案があり、痛い脚を引きずりながら悪戦苦闘。CD13枚にまとめた可愛い作品集のファイルができた。デザインもO氏におまかせ。

 後は番組を聴いて下さった方のなかで、希望者が現れるかどうか…悩ましいところ。
 本当に聴いて下さってる方がおられるのかも、計られそうでちょっと結果が怖い。

中秋の名月

2008-09-15 22:56:12 | アカショウビンのつぶやき






 今日は久々の「ひとりごと」up。

 脚の怪我で随分サボっちゃったけど、何とか回復も近い感じ。今日は思い切って、台風の影響で土砂降りの雨のなかを酔狂にも、お月見の茶会に招かれて友人と出かけた。会場は市民ホール・リナシティのギャラリー。去年までは広々とした武道館に豪華なお供えのセットをしつらえ、控えの間では妙なる雅楽の演奏もあったのに、お供え物はこぢんまりとセットされ、楽しみだった雅楽の演奏も残念ながらなかった。やがておいしい月見団子が振る舞われる。

 お手前が始まった。「ああ、これがお茶のわびさびの世界なんだ」などと、あまりよく分からぬながら、日常性の対局にある静謐な雰囲気を感じる私たちだった。 やがて、お抹茶が運ばれる。きりりと和服に身を包んだ女性たちの、きれいな動きに、思わず姿勢を正してお茶を手に頂く。茶道にうとい私は、おいしいお抹茶をすすり、渋いお茶碗を眺め「まっこれで良いか…」。
 
 お茶席で重要な意味をもつ、掛け軸の文字が読めない。「掬水月在手」とようやく推測する。あとで伺った所では<手で掬った水に月の影が映っている>と言う意味だとか。これが日本人の美的感覚というものだろうなあ…と感心しながらもう一度、掛け軸を眺めた。
 
 帰りも土砂降り、中秋の名月は残念ながら雨雲の上。来月の満月も同じ月。でも 中秋の名月だけは特別なんだけどなあ…。

ポーチュラカ

2008-09-15 22:12:06 | はがき随筆
 25年前、夫が急逝して鶴田から川内に転居した。そこで、近所の60代の奥さんによく声をかけてもらった。
 「この花はね、摘んで挿せば増えるのよ。楽しいから、やってごらんなさい」
 そう言って、ポーチュラカを手折り、数本下さった。
 まねて挿したら、かわいい花が赤、白、黄色と咲き誇り、寂しさが紛れた。
 面白い花で、雨の日や、強い日差しの日は咲かない。気分屋だ。まるで私みたい。
 今年も、コスモスの根元や庭で、元気に育っている。
 花を見るたび奥さんを思う。
   阿久根市 別枝由井(66) 2008/9/15 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はmumboさん

命を絶つ

2008-09-15 21:44:39 | はがき随筆
 1本の朝顔のつるが門柱の傍らの電柱を支える鋼鉄線に絡みつき、たくさんの花をつけ、朝の一時、目を楽しませてくれた。日に数㌢も伸びようか。気づくと電線にまで届く勢いだ。高めの脚立を用意し、途中でつるを引きちぎることにした。つるは案外太く、抵抗は大きく、こん身の力でようやくちぎれた。
 明くる朝、鋼鉄線に絡みついたまま雨に打たれ、垂れ下がったつるを眺めていると、アフガンに豊富な食糧をと奮闘し、アフガン人に殺害された若き伊藤さんが思い浮かんだ。永らえるべき命が理不尽に、無残に絶たれることもあるのだと思った。
   肝付町 吉井三男(66) 2008/9/14 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はmumboさん

幸福

2008-09-13 23:28:49 | はがき随筆
 「死ぬための生き方」という本は作家や実業家、芸能人などが自分の人生を語っていて興味深い。50人近いそれらの半数が既にこの世になく、それだけに味わい深い内容でもある。この中で3人がゲーテを取り上げていた。うち劇作家・田中澄江のが面白い。「全生涯で真に幸福だったのはわずかに4週間に過ぎない」。ゲーテが本当にそう嘆いたのかは分からない。もっと分からないのは4週間の意味。「わがこの胸のほかのいずこに君は住むというのか」と恋人にあてた手紙を書いたのはゲーテ74歳の時。幸せとは何か分からぬままに人生は過ぎる。
   志布志市 武田佐俊(65) 2008/9/13毎日新聞鹿児島版掲載

夕方の始まり

2008-09-13 23:15:12 | はがき随筆
 苗を買って2年目の今年、ユウスゲがつぼみを持った。
 庭のあちこちに植えてある同属のカンゾウ、ヤブカンゾウなどの花は、朝咲いて夕方には閉じてしまう。ユウスゲは、その名の通り夕方に咲くのであろうが、さて夕方の始まりはいつだろうか。首を長くして花の咲くのを待った。
 7月初め、待望の一花が咲きそうだった。油照りの下、日傘を差し時計を見ながら待った。5時20分、膨らんだつぼみの先が三つに割れて咲き出した。まだ暑いと思っていた日差しが、心なしか涼しく感じられた。
 今日の夕方の始まりだ。
   薩摩川内市 森孝子(66) 2008/9/12 毎日新聞鹿児島版掲載
写真は花調べさんより

母の教え

2008-09-13 20:26:37 | はがき随筆
 受験で上京、汽車の中でのこと。満員で立すいの余地もない。おじさんがきつそうなので「しばらく交代しましょう」と。ところがその人、東京駅に着くまで知らぬ顔の半兵衛。憤慨したが後の祭り。母はかねがね「人に後ろ指を指されることをするな」と教えてきた。世の中に悪い人はいないと田舎育ちの私は思っていた。母は東京、満州への進学をあきらめさせた。一人息子を手放したくなかったのだろう。今こうして子供、孫に囲まれて平和に暮らしていけるのは母の愛があってこそと思う。若いときの汽車での出来事は、生き方を教えてくれたと思う。
   薩摩川内市 新開 譲(82) 2008*9/11 毎日新聞鹿児島版掲載

合掌

2008-09-13 16:55:54 | はがき随筆
 華やかな宴のような北京五輪も終わった。9月、1ヶ月前のことがうそのように思われる。
 選手たちのご苦労に一喜一憂した私も熱しやすく冷めやすい。茶の間の応援でしたが、その応援のあり方も考えさせられた。身びいきに過ぎたのは何も中国のサポーターだけではあるまいと感じた。
 目立たないが感動をもらったシーンもあった。女子ソフトボールの決勝戦で、ホームペースを踏んだ選手が手を合わせて拝んだ。皆様のお陰様です、が伝わった。この姿勢は日本人のDNAにあるのかもしれない。
 共感と安堵感をもらった。
   出水市  松尾繁(73) 2008/9/10 毎日新聞鹿児島版掲載