2014年4月11日 (金)
岩国市 会 員 山下 治子
食生活改善推進協議会は、地域の食育と健康のために活動するボランティアグループだ。略称は、食推という。
退職して、ある日「健康診断を受けよるかね」と食推の方から声を掛けられた。急ぐ用事もなく、暇つぶしに受診すると…。思いがけず、命を拾った。拾った命はおまけの命、これも縁かと食推に加わった。
1日分の野菜350グラムと食品30品目を用意し、調理し、ひと口50回かんで、きっちり食べる堅苦しい人たちなのではと、少し不安だった。だが、平均年齢59歳の60人は、それぞれの得手を提供し合い、よく食べ、よくしやべる笑顔のエプロン軍団だった。
最年長は82歳。その所作は、包丁握りはボケにならぬという説を立証している。また、趣味も生きがいも「食推命」と言い切る会長は、この道32年。先輩方から見習う姿勢と、さりげない心遣いで、食推をまとめている。
3年前、東日本大震災が起き、募金活動に食推全員が奔走した。その半年後、山口国体が行われた。食推は、民泊選手団の食事作りを任された。被災地からの選手もいた。
わが子のような選手たちのため、日の出前から仕込みを始め、朝と晩70人分を作ること10日間。正直きつかった。が、最終日に「ぶちうまかった」と山口弁であいさつされた時は、みんなで涙ぐんだ思い出がある。
この年齢で「やり遂げた」という実感を体得できたうれしさは、食推全員の宝物だ。
真新しいランドセルの新1年生たちは、友達何人できるかな。私は還暦を過ぎてから友達が100人増えた。
(2014.04.10 中国新聞夕刊「でるた」掲載)
岩国エッセイサロンより転載