小食・粥座は朝食・中食・斎座は昼食・非食・薬石は晩御飯で、寺の食事を頂く修行である。
お釈迦様の故郷のインドは気温が高く、朝の托鉢の食料は夜まで持たない。だから朝・昼の2回の食事だった。坊さんの奉仕活動が増加した現代は、体力を維持する為に、夕食を摂る。食に非らず、医食同源の薬品であるから、非食とか薬石と述べる。
朝食や昼食は作法が厳しく、食前に般若心経など正座の斎食儀が20分ほど続くが、晩御飯は簡単である。
食前観
「われ今幸いに仏祖の加護と衆生の恩恵によってこの清き食を受く、つつしんで食の来由をたづねて味の濃淡を問わず、その功徳を念じて品の多少をえらばじ、いただきます」
音を立てずに頂く食事は、ほとんど噛まずに飲み込む感じである。そして周囲に気遣いがいる。集団生活にはルールが不可欠である。食器に茶を入れタクワンをタワシにしてすべての食器を洗い、廃液を飲み干す。
食後観
「われ今この清き食を終りて心ゆたかに力身に満つ、願わくばこの身心を捧げて己が業にいそしみ、誓って四恩(父母・衆生・国土・仏法僧)に報い奉らん、ごちそうさまでした」
食器を洗い場に運ぶと、食事抜きの所長を筆頭に世話役の僧侶が洗う。己のことは後回しにして、人様に奉仕する伝教大師・最澄さんの「忘己利他は慈悲の極み」の実践である。
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