風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

除夜の鐘は深夜に響く 433号

2008年12月31日 11時49分27秒 | 随想
旧年を除く夜・除夜の鐘は大晦日深夜二十四時と〇時を跨いで寺院で鳴り響く釣鐘の音である。大晦日と元旦の刹那は瞬時である。野生動物は何等感傷は無く、自然に通過する瞬間だが、人間は着飾り、表情が神々しく変わり厳粛な気分になる。不思議な動物人間。万物の霊長。百八の音声の由来は諸説ある。

眼・耳・鼻・舌・身・意の六根に善・悪・無の十八、浄・穢の二倍で三十六、前世・今世・来世の三倍で百八の人間の煩悩を知らしめる。

「むきやうさみふはなかしし」と覚える睦月・如月・弥生・卯月・皐月・水無月・文月・葉月・長月・神無月・霜月・師走の十二月、立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨・立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑・立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降・立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒の二十四節気、二十四節気をさらに約五日ずつの三つに分けた初候・次候・末候の七十二候を加算すると百八となり一年を表現する。

人生の四苦八苦を除く今夜、生老病死の四苦の三十六、加えて愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦の八苦の七十二を加算すると百八になる。

旧年に百七回を、残りの一回を新年に撞くのが作法である。旧年の喜怒哀楽を忘年し過去を清算し、新年には一から新たな喜怒哀楽を重ねる思いが込められている。

生活苦の過酷な労働の習慣は、休日には昼から酒を痛飲し、肴を腹いっぱい詰め込み、早々に寝込んでしまい、鐘の音声で人生を噛み締める暇が無かった。

人生の黄昏の今年は、除夜の鐘の音声を観て見る心の余裕がある。音は聞くのでなく、観るものである。観音菩薩の主義主張である。


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