地元紙に岡崎市の観光施設「奥殿陣屋」で酔芙蓉が満開なる報道に接し出掛けた。
朝に白色の花が昼にはピンク、夜には赤くなる様子が、呑兵衛が朝は白面、昼にはほろ酔い気分、夜は酔顔に見立てて命名された。
酔芙蓉を知ったのは高橋治の「風の盆恋歌」なる小説だった。
徳島の「阿波踊り」は陽気な南国の盆踊りであるが、越中八尾の「風の盆」は対照的に物静かな裏日本の盆踊りである。
二百十日の9月初めに〇泊二日のパックツアーで見学した思い出がある。昼に名古屋駅をバス発車、5時頃に越中八尾到着、屋台で夕飯、缶ビールで喉を潤し街を徘徊し、深夜にバスに乗車、仮眠して早朝5時に名古屋駅に到着した。
阿波踊りはハイビスカスが似合うが、越中八尾風の盆は酔芙蓉が似合う。
坂の町越中八尾に引かれ、秋に青春18きっぷで再訪し、柴田理恵の実家の宮田旅館に宿泊した。
家屋が密集し、それぞれの隣家が壁を共有し、町が一つの長屋の様相を呈するから、火の用心をくれぐれもよろしくと要請されたのだった。
悲しい不倫愛の禁断の恋の結末を迎えるには適当な大人の雰囲気のある静寂が支配する街並みだった。