
幕末・明治維新期に、全国に先駆けて測量・開削が行われた近代農業用水だった愛知県豊田市水源町にて矢作川から取水する明治用水頭首工の堰堤が破損し大量の漏水で西三河地方南西部に農業用、工業用の給水が停止し、田植えが出来なくなった。
この用水のお陰で大正時代には中原に位置する安城市が「日本デンマーク」と農業王国となったのだった。従って農林水産省東海農政局が管理運営を担当するのは当然である。
しかし復旧の為のポンプ設置は工業用水を優先させる事に首をかしげるのである。食糧生産の農業用水を後回しにして、自動車生産の工業用水を優先させるのは本末転倒と思うのである。農業官僚は通産官僚に敗北したのだろうか。
「 農は国の本(基)」の農本思想が日本国を強国にした先人の努力があったお陰、その原因を忘れ結果の工業を優先する思想は顛倒夢想だろう。
温故知新は若者の特権だろうが、歴史を忘却する人間は老衰であることを明示用水頭首工の漏水が教えてくれる。