風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

未完成の人間だから面白い 330号

2008年08月03日 14時25分31秒 | 随想
野球のお祭り「オールスターゲーム」を愉しませて頂いた。勝負を離れて、個人成績に頓着しないで、野球を愉しんでいる。セリーグの昨年の覇者巨人の原監督が監督、コーチは2007年日本選手権のペナントを獲得した落合監督、2008年セリーグ公式戦を破竹の快進撃中の岡田タイガース監督。和気藹々でゲームを愉しんでいる。ベンチ内は爆笑が渦巻いている。観客も野球を愉しんでいる。

ビールに酔った風来坊の脳裏に、得意とする詭弁が過(よ)ぎるのである。共に酒を飲むとおいらのブログを貶す未完成の人間の、あの野郎にマタマタ馬鹿にされることだろう。それもまた楽しからずやである。

絶対、打たれない完全な投手。絶対、打ち返す完全な打者。此の両者の対決はどうなるのだろうか?

思い出すのは「韓非子」にある矛盾である。「どんな盾も突き抜く矛」と「どんな矛も防ぐ盾」を売っていた楚の男が、客に「その矛でその盾を突いたらどうなる」と問われ答えられない。どうにも説明がつかない。

「どんな盾も突き抜く矛」と「どんな矛も防ぐ盾」の知識が、詐欺師・ペテン師の小道具だったのである。そんなモノは絶対存在しないと思うのが仏の知恵である。

完全な投手・完全な打者は言葉遊びで、人間は本来的に未完成な存在である。未完成の程度の違いのある人間が懸命に野球を興じ、未完成の人間が感動する。基本に忠実な高校野球、そして基本を踏まえた超人的な独創プレーの職業野球。打って打たれて、今日は勝って、昨日は負けて。だから楽しいベースボールなのである。

完成無欠の人間が集まる極楽浄土には、勝負・投打の二元論は存在しないから、矛盾は生じない。戦争や競争が無いから矛も盾もいらない。何も無いから空である。

人間社会の空には雲があり、眺める人間は色々な物を空想・妄想し愉しみ・苦しんでいる。人間は永遠に未完成で、完成したらお釈迦様。

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