風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

ぶつぶつ言うな、経済原則は物々交換 407号

2008年11月29日 13時29分30秒 | 随想
陶器・一升瓶とタッパーウエア・PETボトル。日本文化と西洋科学主義との戦いだった。そして石油文明の産物が世間を凌駕し、西洋の金融経済学の屁理屈が世界をカオスの時代に導いた。

陶芸と手造りのガラス細工の体験工房が繁盛しているようである。機械に頼らず、自分の体で物を造り出す喜び体験。

土を原料とするセラミックスと原油由来のプラスチック。容器としては同じ働きである。セラミックスは役割が終わると土に返るが、プラスチックは原油に戻れない不可逆反応の産物である。

エチレンやプロピレンの炭化水素の付加重合体のタッパーウエアとエチレングリコールとテレフタル酸の脱水縮合のPETボトル。工場で合理的に無駄なく効率的に巨大装置で大量生産され、役割が終わると大量のゴミとして使い捨てられる儚い一生。一升瓶は再利用され何回も世間に奉仕する。

灼熱の高温に耐え、悪戦苦闘の肉体労働の末の不揃いのガラス瓶。土を成形し、釉薬を掛け1000度以上の高温で焼くことで陶器の表面にガラス皮膜を作る陶芸。自然素材を手作業の不確定要素の多い過程は、均質生産が不可能である。完成までに手間を掛け、暇を有意義に過ごすプロセスが最大の付加価値である。その体験が愛着心を育み、愛情に発展するから、末長く大切に扱うのである。

通販で簡単に購入できるタッパーウエア、コンビにて金を出して購入した飲料に付属するPETボトルは、飽きれば買い換えるし、飲み終わったら捨てることになんら感傷は無く事務的に片付ける。

物で栄えると、心は荒むが、心豊かな人は、物を大切にし、時間を浪費して物造りで遊ぶ余裕がある。無駄が多く、手間隙掛かる非条理の活動は楽しい遊びである。

遊んでいたら食料は手に入らない、食料を得る為だけの労働は辛い。趣味と実益の両立。遊びながら食っていける夢の様な仕事があるだろうか。

原始の日本人は得意な分野で食料を調達する遊びに徹し、物々交換で楽しく生活できた。経済の原点は食料の交換だった。対面交渉の人間関係が日本文化の瑞々しい人情話の「ゆりかご」だった。其処には金融経済学の入り込む余地は無く平和だった。

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