「骨盤前傾」をどこの筋を使って行うべきか。
「股関節重心」ということを行う上で、「骨盤前傾」ということは大事な(チェック)ポイントである。
しかしながら、大抵の人は、これを腰背部や臀部の筋を使ってやってしまう。そうではなくて骨盤内の筋肉(昔の言い方をすれば「丹田」)で、例えば腸腰筋を意識して、との指導を行うものの、ほぼ100%の人が当初は出来ない、かつ(それゆえ?)ほとんどの人が最初のうちは腰痛(腰の筋肉痛)を訴えることとなる。
当初は、これは骨盤内の筋肉、深層筋を通常は意識して使うことが無いから、ととらえていたが、もしかしたら、両者の筋としての違いも、骨盤内の筋を使っての「骨盤前傾」ということを難しくしているのかもしれない、との気づきがあった。
どういうことかといえば、骨盤内の筋肉というものは、深層筋というものは、そもそもが姿勢維持のための筋肉であり、意識的に動かすことがまず無いことである。
それに対して、腰背部や臀部の筋は運動筋であり、生まれてこのかた、しっかりと意識して動かすことで運動してきたという何十年もの過去がある(中年以降ともなれば深層筋=姿勢維持筋は、意識して使われることがない故に、衰え、一層動き難くなっている)ものである。
それゆえ、「骨盤前傾」の姿勢をとるのに、骨盤内の筋を使えない、腰背部や臀部の筋を使ってしまうというのは自然なこと、と。
然は然り乍ら、筋肉の本来のあり方、姿勢維持筋と運動筋との二重性を考えるならば、「骨盤前傾」は、骨盤内の筋でおこなうべきであり、運動筋としての腰背部や臀部の筋は、せいぜいが「骨盤前傾」の形を取るために使うに止めるべき、と。