韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

韓国オーガニック学校給食現地視察ツアー参加者募集中!

2019-07-29 14:12:52 | 環境問題&有機農業

最近、注目を浴びている韓国のオーガニック(有機栽培、無農薬栽培)学校給食。

2021年からソウル市では小中高学校で無償オーガニック学校給食が実施されると日本でも大きく報道されました。すでに全羅南道や済州島などでは90%以上がオーガニック食材で学校給食が行われていて、全国平均でも55%の食材がオーガニック農産物になっています。

今回、韓国の学校や有機農家、関連施設等を見学し、教師・調理師・行政担当・農家等にインタビューを行って、韓国の学校給食の歩みと仕組み、そして課題を探る現地視察ツアーを行います。

日本の学校給食の現状や子供たちの将来に不安を感じている方、改善のために一歩を踏み出したい方、ぜひ参加をお願いします。5名以上の参加で実施します。見学先との調整がありますので、参加希望の方は8月8日までに連絡をお願いします。 

田中博(日韓環境情報センター)

<実施要項>

実施時期  9月5日(木)~8日(日)  

現地参加費 6万円前後(人数の確定後、お知らせします)

実施人数  5~10名(学校も訪問しますので、少人数で行います)

問い合わせ 日韓環境情報センター(田中博)82-10-6668-9252/ tanaka551119@naver.com

<スケジュル 予定>

9月5日()

午後1時頃、インチョン空港に集合。専用車、または空港鉄道でソウル市内へ。

ソウル市役所学校給食担当部署訪問。夕方、生協を訪問、意見交換。/宿泊:ソウル市内ホテル

9月6日()

午前 ソウル市内学校訪問、学校給食見学

午後 京畿道の中規模自治体へ移動、有機農家見学、市議または市長との懇談、農業高校・伝統市場見学など。/宿泊:当該自治体のホテル

9月7日()

午前 調理師・栄養士などとの交流、調理実習(調整中)
午後 観光など。/宿泊:京畿道またはソウルのホテル

9月8日()

午前 出発まで自由時間
午後 帰国

*参加費に含まれるもの:3泊宿泊代(ツインルーム基準、追加料金でシングルへ変更可能)専用車代、同行通訳代、朝昼食事代

*参加費に含まれないもの:夕食代(現地精算)

*航空券は含まれていません。本人が購入してください。

*参加人数と見学ルートが決定したあと、正確な金額をお知らせします。

*訪問したい施設や機関があればお知らせください。可能な限り調整します。

*現地状況で訪問先などが変更になる場合があります


韓国のオーガニック学校給食のこと2

2019-07-09 14:59:11 | 環境問題&有機農業

先日、学校給食の調理師など非正規労働者のストライキがあり、5万人が光化門広場で集会が行われましたが、このストライキを支持し保護者に理解を求める学校通信を出した校長先生のインタビューが、キムオジュンのニュース工場でありました。校長先生がストライキ支持というのは日本ではなかなか理解できないかと思いますが、つぎの内容を読んでみれば、なぜ校長先生がこのような通信を出したのか、わかると思います。

このインタビューを聞いて、学校給食に関係者がとても誇りに思っている、大切に考えていると感じました。この背景には、たぶんオーガニック学校給食を実現させてきた、関係者の努力があると思います。その点も、ぜひ考えてみてください。

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工場長:(前略)学童保育の先生、給食調理員、教務担当者など五万人余りの学校の非正規職労働者たちが、今ストライキ中です(7/4)。 ところで、このストを支持し、父母の理解を求める家庭通信文を配布した仁川のソフン小学校の校長先生がいらっしゃいます。 キム・ジグク校長先生、こんにちは。

キム校長:はい、こんにちは。キム·ジグクです。

工場長:家庭通信文を見ましたが、私たちの児童は少しの間、給食が出なく不便に思えるのですが、これを不便と思うのでなく、一緒に暮らしている誰かの権利を一緒に守る事であり、これが皆のための仕事であることを考えるきっかけになってほしい、というような家庭通信文を送りました。 このような家庭通信文を最初から送らなければならないと思った理由は何ですか。

キム校長:はい、今までストライキは無条件に否定的に見る見方が多かったでしょう。

 工場長:そうですね。

 キム校長:ところで、今回のストは児童たちの食事に直結する問題だったので、代替給食を準備するしかない状況でした。 ところで単純にそのストで代替給食をするようになったことを知らせるよりは、その理由と背景が何なのか、今私たちの子供の近くで劣悪な環境で働いている労働者の状況はどうなのか、そしてこれが私たち、そして私たちの子供とも無関係ではないということを、このストをきっかけに一緒に考える必要があると思いました。 

工場長:家庭通信文を見ると「疏外された多くの人々の心を推し量ってみたらと思います。 汗水流して働く人たちへの配慮と支持をお願いします。 すべての労働者が正当な待遇をうけ、尊重される人間らしい人生を生きて行くことができるように願います。」 こんな言葉を家庭通信文に盛り込みました。この家庭通信文を受け取った保護者らの反応はどうでしたか。

 キム校長:父母の反応ですね。パンと飲み物がご飯の給食に代わることはできないでしょう。そして、子どもたちの昼食が手抜きにならないか心配する親の心は当然なものです。 そして、韓国社会のストに対する否定的な見方も少なくないことを知っているので、ある程度は覚悟もしました。 それで、教務部長の先生は家庭通信文に自分の個人番号を書いておいて、問い合わせができるようにしました。。

 工場長:その父兄たちが当然抗議することを予想されたということですね。

 キム校長:はい。 そしたら、予想が外れて…

 工場長:残念ながら。

 キム校長:まだ、不満や抗議の電話がないですね。そして、むしろ私の個人SNSを通じて父母の皆さんは「いい教育をありがとう」と言ってくれた人もいます。ストを見る雰囲気が確かに変わりつつあるようです。

 工場長:校長先生がこうなさっているのも、私は初めて見たが、今回こんな家庭通信文を受け取ったその父兄たちの反応も予想とは全く違いますね?

 キム校長:はい,そうです。

 工場長:もし、子供たちは、この家庭通信文を受け取ってから何と言いますか。

 金ジグク:児童の反応は、私もいちいち会って確認したのではなですが、先生が児童とこれに関する授業もして、また学年のレベルに合わせて説明もして、これによって子供たちの理解と共感もかなり良くなったようです。 それで「心配しないで行って来きて」とこのように支持して応援した雰囲気です。

工場長:これが、実は児童たちが成人になって社会の中の構成員に成長して、自分たちが当然享受すべき権利について学習することでもあるのではないでしょうか?そうでしょう?

キム校長:はい,そうです。

工場長:そんな考えでこの家庭通信文を作ったのでしょう。

キム校長:はい,そうです。 当然です。私たちの児童たちが昼食になれば暖かいご飯、おいしいおかずが出るのを当然のことと思っていました、今まで。 しかし、そこには苦労して働く方々の汗があったことを数日間ですが、ご飯の代わりにパンを食べながら気が付いてほしいという気持ちもありました。 そして、その人たちが受け取る労働の対価が正当なのか、また尊重されているのか、このようなことも調べてから、労働者たちに与えられた権利は何か。 また、どう実行し、目的を実現することができるかを学ぶ機会にもなり得る、そんな考えもありました。

工場長:このような家庭通信文が出て、インチョンのソフン小学校で働く非正規職労働者たちは何と言いましたか。

キム校長:長い対話を交わしたわけではありません。 ストの前日、スト参加の前日に一人ひとりあって、バラを一輪ずつ渡しました。

金オジュン:あ,そうでしたか。

キム校長:はい。 そして「応援しますので、心配しないでください」と、挨拶したんですが, 「実は勇気が足りないし、私が子供達のご飯を気にしながら参加しなければならないのか」と不便な気持ちがあったそうですが、校長の私もちょっと励ましたし、児童達も訪問して応援したので、みんな勇気が出て、とても楽な気持ちで参加することが出来たそうです。(以下略)

写真はストライキを支持する生徒たち


韓国のオーガニック学校給食のこと1

2019-07-09 14:48:01 | 環境問題&有機農業

4月に韓国のオーガニック学校給食のことをフェイスブックに書きましたが、ブログのほうにも記録を残しておきましょう。9月に韓国現地視察をする予定ですので、ご期待ください。

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韓国では学校給食に有機農業の食材を使うところが多いです。今日訪問した清州市では市内小中高約180校、11万人の児童生徒が毎日、有機農業(米は100%、野菜等も50%以上)の食材で作った給食を食べています。その上、清州市の場合は市の条例で無償化も実現させています。ぜひ、多くの日本の関係者の皆さんに知ってもらいたいです、韓国の方が学校給食、遥かかに進んでます。


 

  

さて、せっかちな日本人は次のように質問しました。

「 有機農産物に代えてから、肥満が減ったとかアレルギーが減ったとか、変化はありませんか?」

それに対して、チョンジュ市教育庁の担当者はこんなふうに答えました。

「まだはっきりと変化はありません。1、2年の短期間に変わるとは考えていなくて、10年とか20年の長いスパンで考えています」

うん、根本から違うなと、せっかちな日本人は反省しました^^



写真は元農水大臣の山田弁護士と栄養士のキム先生、栄養士と小学校教師の2つの資格があって、いわゆる"食育"の授業も担当しています。食事中は児童達の間を動きながら、子供達に声をかけていました。

 

 

 

 


韓国のエコ農産物(有機・無農薬栽培)学校給食について

2019-06-21 16:32:47 | 環境問題&有機農業

韓国の学校給食でのエコ農産物の使用について、まとめてみました。

9月上旬に韓国現地の視察をしようと考えています。ぜひ、興味のあるかた、メッセージを送ってください。 

 

1.学校給食の一般的な現況

・韓国の小中高および特別支援学校の総数は11,800校、児童・生徒数は575万人(17年)であり、すべての学校で給食を実施、そのうち97.8%が直営で運営。日本のよなセンターでの調理、学校への配達という方式はほとんどなく、学校内での調理を行っている。

・学校給食の予算は5兆9,088億ウォン、教育庁が3兆1,655億ウォン(53.6%)、自治体が1兆925億ウォン(18.5%)、保護者が1兆4,972億ウォン(25.3%)を負担してる。ただし“教育は無償”という憲法の規定を法的根拠にして、各自治体で学校給食の無償化に取り組んでいる。数年のうちには高校まで学校給食の無償化が定着する模様。

・献立は各学校に配置された栄養士(教師兼任)により標準献立から作成、米に雑穀を混ぜたゴハンが主、おかず、お汁、デザートなどの構成。麺類やパンなどもでるが、ゴハンも必ず一緒にでる。日本のような<ゴハンに味噌汁なし、牛乳で代用>といった奇抜?なメニューはない。

・献立ごとにアレルギー食材の番号が振ってあり、児童・生徒も自分でアレルギー食材を避けることができる。(代わりの食事を準備する場合もある)

・ほとんどの学校で調理室と食堂が併設されていて、担任や栄養士教師が見回りながら児童・生徒は食事をする。

 

2.エコ農産物学校給食の現況

 

・2017年度基準、学校給食全体の農産物に対してエコ農産物(有機農業、無農薬)の割合は55.4%であり、チェジュ島は92.8%、全羅南道は91.5%と高い。ソウル市も2~3年後をめどに全品エコ農残物に移行することを決めているなど、今後エコ農産物の割合は増えていく傾向にある。

・エコ農産物は慣行農産物より20~30%ほど価格が高いので、この差額を各自治体が独自に予算を編成して補助をしている。この補助の法的根拠を作るために条例が制定されているが、地域の保護者や生協などが協力して条例制定のための署名運動などを実施したところも多い。(ソウル市トボン区、キョンギ道シフン市、全羅南道スンチョン市など)

・各農産物ごとに営農組合が組織され、食材供給業者と年間契約(価格と生産量)を結んで、生産するケースが一般的。この制度のため、エコ農産物生産農家の経営が安定し、また生産量が拡大した。とくに、稲作については技術的にも無農薬栽培が安定してきており、エコ農産物学校給食の原動力となっている。

 

3.学校給食食材の調達方法

 

・食材の調達方法は2つある。一つは学校単位の個別購入であり、もう一つは地域単位の共同購入である。

・個別購入は、農林水産食品部(日本の農水省に該当)傘下の農産物流通センターが運営している学校給食食材注文サイト( aT サイバー取引所に登録されている中間供給業者へ発注する)に1週間単位で発注、中間供給業者は前処理をした状態で毎朝、配達を行う。食材はその日のうちに使い切り、主食材を保存する冷蔵庫は、学校の調理室にはない。

・地域単位の共同購入は、市町村単位に<学校給食支援センター>が設置され、ここを通して集団購入を行う。注文した食材が毎朝、配達され、その日のうちに使い切る点は個別注文と同一。この支援センターも地域住民の署名活動により条例が制定、その条例に従って設置された自治体も多い。

・中間供給業者は食材ごとに指定されていて、米、野菜、果物、肉類などに分かれていて、大きな自治体の場合はそれぞれに複数の中間供給業者が業務を行っている。

・ただし、その日のうちに使い切るという方法については、納品する農家や中間供給業者からは不満があるのも事実である。

 

4.エコ農産物の学校給食への供給量

 

主な15種類の農産物の供給量は137,588トン、このうちエコ農産物の供給量は79,339トン(57.7%)で、金額は2,414億ウォンとなっている。

注=15種類は次の通り。米、もち米、玉ねぎ、ジャガイモ、ニンニク、豆もやし、長ネギ、ニンジン、ズッキーニ、白菜、大根、リンゴ、キュウリ、イチゴ、唐辛子。

このうち、玉ねぎ、ジャガイモ、ンン人、長ネギ、梨は40%以上がエコ農産物。おもなエコ農産物の生産量と学校給食での消費量は次の通りだ。

 

<エコ農産物生産量と学校給食での消費量>

品目

親環境生産量

学校給食需要量

余り(不足量)

114,733トン

74,369トン

40,364トン 

玉ねぎ

14,265トン

10,396トン

3,869トン 

ジャガイモ

9,905トン

8,983トン

922トン 

ニンニク

2,225トン

1,595トン

630トン

ニンジン

4,441トン

2,965トン

1,476トン

イチゴ

3,559トン

1,222トン

2,337トン

長ネギ

4,194トン

2,851トン

1,343トン

大根

10,352トン

8,681トン

1,671トン

ズッキーニ

4,197トン

3,675トン

522トン

きゅうり

3,541トン

2,135トン

1,406トン

プチトマト

1,727トン

1,756トン

-29トン

キャベツ

10,251トン

3,305トン

6,946トン

1,060トン

1,318トン

-258トン

 

 

5.エコ農産物の流通経路の実態

・韓国では1997年に農民団体や消費者団体の働きかけによって<親環境農業推進法>が制定され、有機農業や無農薬栽培に対する法的な根拠ができた。この法律では、農業の環境保全機能を増大させ、農業による環境汚染を減らし、環境に配慮した農業を実践する農家を育成することで、持続可能で環境に配慮した農業を追及することを目的と制定された。

・この目的を実現するために、国は5年ごとの育成計画を、地方自治体は実践計画を策定し施行することが求められている。

・この法律をもとに、エコ農産物の市場拡大と安定経営を実現するために、2000年度ごろから各地で学校給食にエコ農産物を利用するように要請する署名運動が展開され、エコ農産物学校給食が定着することになる。

・この時期は同時に、有機農産物の供給を主な目的として生活協同組合の活動が各地で活発になる時期であった。ハンサルリム、ICOOPに代表される韓国の生協は、組合員数でみると、日本の生協よりはるかに規模が小さいが、有機農業の供給という点でははるかに先駆的な役割を果たした。

・これらのことは、エコ農産物の流通経路の調査によっても明らかになっている。エコ農産物は、 生産地から地域農協(37.6%)、生産者団体(10.8%)、専門流通会社(10.0%)などを経た上で、学校給食(39.0%)、大型流通会社(29.4%)、親環境専門店(9.8%)、生協(19.2%)などを通じて消費者に伝わっている。やはり、学校給食がエコ農産物の消費にとって大きな位置を占めていることがわかる。ちなみに日本の場合は、有機農産物の流通経路や消費状況のデータすら存在しない。この点でも、エコ農産物が韓国社会に定着していることがわかる。

 

 6.まとめ

現在、韓国では全耕作地の5%近くがエコ農産物(有機栽培・無農薬栽培)の農地となっている。また、有機認証も圃場の土壌検査も行っていて、日本の認証制度よりも厳しい検査が行われている。(日本は書類提出&現地チェックで、土壌検査は行っていない)ただし、認証に伴う費用はほとんどの場合、自治体からの補助が行われていて、農家の経済的な負担は少なくなっている。

このように韓国では有機農業をはじめとするエコ農産物の栽培が年々拡大していて、その背景の一つが学校給食でのエコ農産物の使用であろう。

また、自治体はなるべく自分たちの地域でできた農産物を利用することを進めていて、地域経済の活性化にも繋がっている。

このように、学校給食でのエコ農産物の利用は、安全・安心な食材を使うというレベルにとどまらず、農家経営の安定と地域経済の活性化と結びついた政策といえる。


第14回日韓田んぼの生きもの調査交流会のお知らせ

2019-06-05 12:49:37 | 環境問題&有機農業

8月19日から21日の2泊3日、韓国忠清北道、青洲で実施される<第14回日韓田んぼの生きもの調査交流会>の日程が決まりましたので、お知らせします。

日本から参加される方は、8月19日12時にキンポ空港で待ち合わせのあと、専用車で会場の忠北大学へ移動します。
終了は8月21日12時、そのあとキンポ空港&ソウル市内へ専用車を出します。
日本からの航空券は参加される方がご自分で購入することになります。8月19日に韓国にくる場合は、朝8時台の羽田発の便でお願いします。また21日の帰国便も夕方5時以降の便でお願いします。
航空券に関して、詳しいことは個別に問い合わせてください。

なお、参加費ですが、韓国2泊3日の滞在費が25,000円、これとは別途、キンポ空港から現地までの専用車代が必要になります(5,000円前後)

ぜひ、多くの皆さんの参加をお願いします。

<第14回日韓田んぼの生きもの調査交流会スケジュール>
8月19日(月)
3時~3時40分 開会式
  ・開催自治体(清州市)あいさつ
  ・歓迎のあいさつ
  ・日韓主催団体のあいさつ
  ・祝辞、その他

4時~6時20分 生物多様性保全のためのセミナー
  ・生物多様性農業の技術と方向(民間稲作研究所、稲葉理事長)
  ・BM水を活用した稲作(日本BM技術協会 伊藤理事長)
  ・生物多様性優秀事例(千葉県いすみ市 手塚先生)
日本人の発表だけ記載してあります。(予定を含む)韓国人を含む全体の内容は6月中旬~末ごろお知らせします。
セミナーの後、夕食

7時30分~8時30 グループ別討論
  ①伝統農法を探す(伝統種子保存の団体が発表して討論)
  ②自足可能な生物多様性農業と田んぼの生き物調査
   (韓国水田湿地ネットワークが発表して討論)
  ③都市農業、生物多様性と稲作(光州の帰農グループが発表して討論)
 (④清州市の親環境農業)
  日本からの参加者は①~③に参加します。④には通訳が入りません。

8月20日(火)
8時~10時 田んぼの生きもの調査(5か所)
  A)慣行栽培の田んぼ
  B)ジャンボタニシ除草の田んぼ
  C)施設栽培から転換した田んぼ
  D)湖の周辺湿地
  E)団地の中の田んぼ

10時~11時半 コウノトリ復元センター、またはヒキガエル生態公園

12時~14時     昼食後、忠北大博物館見学

2時40分~3時20分 生きもの調査の報告
3時30分~6時    テーマ別発表(通訳込10分)
  ①生物多様性を育む稲作
  ・有機二毛作の実例報告
  ②絶滅危機種の復元と生息地確保のための努力
  ・両生類保護
  ・野生復帰と田んぼの生態系
  ③田んぼ生態系の大衆化
  ・いすみ市での取り組み
  ④生き物調査研究と政策
  ・日本の田んぼの生きもの調査
#日本人の発表だけ記載してあります。(予定を含む)韓国人を含む全体の内容は6月中旬~末ごろお知らせします。 

18時30~20時30分  晩餐&文化公演(ソロリ村)

8月21日(水)
10時~  総合討論(後日、討論者を決めます)
11時~  閉会式
  ・日本側代表あいさつ
  ・日本参加者の感想など
12時 解散
*解散後、専用車でキンポ空港&ソウル市内まで移動します。詳しくは事務局までお問い合わせください

以上です。



ローカルフードストアのこと

2018-08-29 23:27:39 | 環境問題&有機農業
これはフェイスブックに載せた文章ですが、ブログでもちょっと書きたして紹介しますね。

昨日、立ち寄ったローカルフードストアー。野菜が安いだろうと思ったんですが、長ネギぐらいかな、安いのは。
レジで会計すると、生産者の顔がモニターに出るのには驚きました^^

ちょっと説明すると、農協の組合員で教育を受けた人だけが、ここに納品できます。袋つめ、価格決定、在庫管理、売れ残りの処分まで全部やるので、とても大変だそうです。
ただ、最近は大規模農家中心で流通が整備され(生協、大手スーパーなども含む)、小さな農家はそのルートから弾かれているようです。それを考えると、小さな農家でも出荷できるのは良いシステムでしょう。
また、朝収穫で、夕方食べられるのも、優れた点でしょう。
日本の道の駅の野菜販売コーナーに似ています。最近は、全国的に拡がっていて、イチョンでは豆腐も作ってました。
なお、建物や備品(冷蔵庫など)に国の補助が出るようです。







最後にクイズを。さて、上の写真は何でしょう?

生物多様性を育む農業国際会議(ICEBA)2018での宣言文

2018-08-02 17:19:33 | 環境問題&有機農業

こんかいの<生物多様性を育む農業国際会議>は、いくつかの点で画期的なとことがあったと評価できます。一言でまとめれば、現場と地域との結びつきを意識した会議だったと思います。具体的には別のところで書こうと思いますが、まず会議の宣言文を紹介します。

第5回生物の多様性を育む農業国際会議(2018年7月20~22日 開催地:日本国千葉県いすみ市)

 

いすみ宣言「里山里海を守る生物の多様性を育む農業」

 

日本、大韓民国、ブータン王国、フィリピン共和国から千葉県いすみ市における第5回生物の多様性を育む農業国際会議(ICEBA)に集った私たちは、この3日間の会議を通して、改めて生物多様性を育む農業(以下、「生物多様性農業」と呼ぶ。)が私たちの世界を持続可能なものにしていくために最も重要な施策の一つであることを確認しました。2010年兵庫県豊岡市で第1回ICEBAが開催された当時、生物多様性農業とは一度野生で絶滅したコウノトリやトキなどを野生復帰させるために必要な農業として理解されていました。今回、里山と里海が有機的に結ばれているいすみ市を体感し、その中で語り合った私たちは、自然と無数の生きものたちを支えていくためには生物多様性農業が重要であることを実感することができました。いすみ生物多様性戦略でも強調されているように、里山里海は資源循環型社会の重要なモデルの一つです。生物多様性農業の普及による里山里海の自然と環境の維持は、持続可能な世界を実現する土台となります。

この生物多様性農業の普及推進を目指す私たちは、生物多様性を基盤とした地域資源循環型の農業技術の確立とその国内および国際的な普及の実現を最終目標として、その達成のために、5つの具体的目標を定めました。

  目標1:持続可能な農業の基盤として生物多様性が果たしているメカニズムの解明

  目標2:近代農業によって姿を消した生きものを復活させる農法への転換

目標3:生物の多様性を育む圃場管理に取り組む農業者の育成

目標4:地域の風土やコミュニティに根差した循環型農業システムの構築

  目標5:生物の多様性を育む農業による安全・安心な農作物の安定供給 

私たちは、この5つの目標を念頭に置きながら、全体会議、分科会を通して具体的な課題について議論を重ねました。その結果を踏まえ、里山里海に恵まれたこの地「いすみ市」を冠した「いすみ宣言」として、以下の通り宣言します。

1 里山里海に生存する多様な生物資源や脱脂大豆などを土着微生物で発酵させて土づくりや肥培管理に活用する技術や「イネ―麦・なたね―大豆」などの有機輪作技術は、収穫量や栄養成分、コストなどで化学肥料に比べより大きな効果を生み出します。特に水田では土着微生物を活性化させる脱脂大豆に低投入・高収量の効果が認められ、これらの技術を駆使して化学肥料と農薬の汚染からアジアの水田農業を守らなければなりません。また、生物の多様性の基盤であるミジンコやユスリカにダメージを与え、生態系を破壊する長期残効型農薬は、カメムシなど耐性害虫の異常発生を促す要因になっている疑いがあり、直ちにその使用を中止し、地域ぐるみの環境創造型農業、さらには有機農業への転換を呼びかけます。

2 ICEBAがめざす生物多様性を基盤とした農業技術がどこまで実現されたのかを解明・評価する手法として田んぼの生きもの調査は必要不可欠です。現在様々な方法で行われている生きもの調査のそれぞれの特性と役割を踏まえつつ、生きもの調査関係者の連携と協力によって、生物多様性の力を最大限活用する農法の可視化に取り組みます。

3 学校給食における地元産有機米の100%使用という画期的成果を挙げたいすみ市のプロセスを共有し、全国の市町村で有機米の導入を可能にしていくためには、各地での経験を活かしつつ、「子どものために」という想いをもった行政・学校・農業者間での負担を分かち合った協働が求められます。学校給食100%地元産有機米化の取り組みをはじめることによって、新規就農者の増加を含めた地域資源循環型社会の発展と地域づくりの展望を開きます。

4 野生で絶滅したコウノトリやトキ、ミヤコタナゴやシギ・チドリ類などの現在絶滅の恐れがある多くの生きものたちの生息保全には、様々な生きものが生息する水路や水田での湿地環境の復元が欠かせません。絶滅危惧種の保全と野生復帰のために、普通種も含めた多くの生きものが住みやすい水田環境の復元活動とその活動を支える法的・社会的な仕組みづくりを推進します。

5 生物多様性農業を普及推進し、農業分野、ひいては社会全体における生物多様性の主流化を実現するためには、農林水産省、環境省及び国土交通省等の政府機関を含め、森里川海の言葉が象徴する、河川上流から下流までの関係する多様な主体による流域のネットワークの形成が鍵となります。広範なネットワーク形成とともに生物多様性農業が市場において経済面で高く評価される取り組みの強化を図ります。

 

2018年7月22日 

第5回生物の多様性を育む農業国際会議参加者一同

 


淡路島を訪問して

2017-06-02 10:28:13 | 環境問題&有機農業
淡路島に初めて行ってきました。有機栽培のたまねぎ/米の二毛作の現場調査の目的で、ある自治体関係者とともに訪問しました。
私は東京出身なので知りませんでしたが、淡路島はたまねぎ栽培でとても有名な所です。生産量も北海道、佐賀県、次だそうです。
有機栽培は五色(五色)オーガニック・ファーマズグループの笹田氏が中心に生産して都市消費者と野菜販売店などと直取引で販売しています。 有機栽培でたまねぎだけでなく、50種類ぐらいの野菜、そしてコメを20年近く栽培している先進的な農家です。
また、この島には関西を中心に帰農・帰村する人も多く、自然農業を試みるグループもあるそうです。
そしてホテルの食事がおいしいですね。日本の温泉ホテル食事は見た目ばかりよくて味はあまりであるところが多いが、淡路島の食材を活用し、一風変わった料理をおいしく食べました。
関西空港から高速バスで3時間くらいですので、夏休みの旅行や、有機栽培やまちづくり関係者の現地調査や研修に適していると思います。
(韓国語のブログの文章を日本語にしました)





加湿器殺菌剤問題について~その1

2016-06-15 22:28:29 | 環境問題&有機農業

先日、環境団体のメンバーと会ったとき、加湿器殺菌剤の問題でとても忙しいと言っていて、これから損害賠償の裁判を行うが弁護団だけでも数十名になるという話でした。日本の新聞にも若干報道されていますが、資料になる記事をひろってみました。

加湿器殺菌剤で95人死亡。韓国で起きた「家の中のセウォル号」事件とは

これは、韓国の救急専門医が書いたブログで、とてもわかりやすいです。ぼくもこの記事を読んでいままでバラバラだった内容がまとまりました。

また、毒物学の権威として知られているソウル大の教授と湖西(ホソ)大学の教授が、製造メーカーから金銭的な便宜を受け、加湿器殺菌剤に毒性がないと製造メーカーの意向に沿った報告書を作成した疑いで、逮捕されています。

韓国「加湿器殺菌剤」事件、大学教授の実験報告書はこうして歪められた

では、加湿器殺菌剤に使用された「ポリヘキサメチレングアニジン(PHMG)」という化学物質は、日本でも使われているのでしょうか?

呼吸器困難を引き起こす化学物質、日本での使用例は

この記事によると、加湿器の殺菌剤には使用されていないが、浴室洗剤などにごく微量使われているそうです。人体に影響はないといいますが、長期間にわたる使用や乳幼児にたいする影響など、今後も注目したようがよさそうです。

いま、韓国では不買運動が行われています。これは朝日新聞でも報道されました。

さて、今後、この問題をどう対処していくか、いくつかのポイントを挙げてみます。

まず、第一に被害者の掘り起こしが大切です。とくに、オキシー製品が回収された2012年以降、続けて販売をしていたロッテマートなどで購入して被害を被った人たちの調査が行われていますが、根気強い調査と証拠確保が大切です。

また、被害者をどのようにサポートしていくか、経済的にも精神的にも支えていく必要があります。今回の事件では、子供の健康を考えた親が加湿器殺菌剤を購入して、その結果、子供が死亡してしまったというケースがかなりあるそうです。こんな親たちが韓国全土にいるわけで、それを支える体制やノウハウが必要でしょう。

そして、被害がなぜこれだけ拡大してしまったか、もっと初めの段階で防ぐことができなかったのかという検証も忘れてはなりません。すでに、ウソの報告書を作成した大学教授が逮捕されていますが、個人レベルだけでなく、機関レベル、具体的には政府内部で、また政府と企業の間でなにがあったのかという検証も必要です。

今後、時間をみて、関連資料や声明などを紹介していこうと考えています。

そこでお願いですが、日弁連の環境委員会や研究者、他の公害事件の被害者団体などで韓国へ現地調査へ来てはいかがでしょうか? 外国の専門家の調査という〝外圧“によって、今まで分からなかったことが分かったり、あるいは被害者や弁護団への励ましになったりと、かなり効果はあると思います。これから、個人的に連絡をするかもしれませんが、そのときはよろしくお願いします。


シファ湖の海水流通と生物多様性(韓国の生物多様性ツアー その2)

2014-12-13 13:57:13 | 環境問題&有機農業

 シファ湖について、ちょっと紹介しましょう。 

 90年代の中ばには<死の湖>とまで言われたシファ湖ですが、現在では防潮堤のゲートから1日に2回、海水が流通してすっかり水質もよくなり、環境改善が図られ、生物多様性も向上しています。南側の工事予定地周辺が湿地となって、渡り鳥の棲息地・越冬地となり、ラムサール登録も進められています。

 もともと、国の政策として淡水湖として作られた人工湖でしたが、政府自ら淡水化を放棄して海水流通と始めた点は、示唆するところが大きいと思います。また、開発のあり方をめぐって官民協議会が設置されて、社会的な合意をはかるという部分も注目したいと思います。

 この背景には、90年代半ばから本格的になった韓国の環境運動の活動があり、また1998年からの金大中政権の進歩的な政策もありました。このあたりは、ぜひ機会があればまとめてみようと思いますが、今回は、シファ湖の環境問題を中心にした流れを紹介します。

シファ湖の奥にある蘆原湿地公園。

 

<始華(シファ)湖の環境問題のながれ>

  韓国水資源公社が1987年から1994年1月まで、京畿道の海岸にある安山(アンサン)、華城(ファソン)、始興(シフン)に接していた京畿湾とその干潟に潮止め堤防工事と埋め立て工事をして作られた人工湖がシファ湖だ。

 ソウルから西南に約35km離れたところにあり、周辺には仁川(インチョン)、水原(スウォン)、安養(アンヤン)などの都市が隣接している。 行政区域上では京畿道始興市、華城郡(現在は華城市)や安山市にわたっている。

 シファ湖は防潮堤の長さだけで12.6kmに達し、湖の面積が6100ha、水の量が1億8000万トンの巨大な人工湖で、この<始華地区>はシファ湖(1329万坪)や干拓地(3254万坪、防潮堤で陸地化した土地)で構成されている。

 この地域に対する干拓事業は1960年代からその可能性が検討されて、1987年6月から韓国水資源公社によって事業が進められ、1994年1月に潮止め堤防工事が完了した。 当初の計画によると、始華地区には、農耕地や工業団地、そして用水を供給するきれいな淡水湖が造成される予定だった。 しかし、環境基盤施設が整わない状態で1994年1月に防潮堤の工事が完了したため、半月(パンノル)工業団地の廃水などがそのまま流入し、始華湖は“死の湖”に変わった。

 1996年6月にはCOD(化学的酸素要求量)が20.3ppmに上がり、始華湖に対する解決策をめぐって政府と環境団体が対立している中、水資源公社が水質改善のために、汚染したシファ湖の水を無断で放流する事件が起きた。 1997年3月にはCOD(化学的酸素要求量)が最高26ppmまで高まると、政府は淡水化計画を一時中断して、防潮堤の水門を開放して汚染されたシファ湖の水を海水で希釈した。 この結果、西海(ソヘ)沿岸の堆積物には重金属が溜まって赤潮現象が現れるなど、西海が汚染され始めた。

 結局、2001年1月、政府はシファ湖の淡水化計画を完全白紙化し、その後海水湖として管理している。 この海水化によりシファ湖は渡り鳥の飛来地、陸上動植物の棲息地に変貌し、特に2002年にオープンした葦原湿地公園(現在はアンサン市が管理)は、シファ湖の自然が回復するのに大きな役割を果たした。 また、現在、防潮堤の海水流通を活用して世界的規模の潮力発電所が稼動している。

潮力発電所のようす。

 一方、2001年にはシファ湖北側の干拓地に約9.26平方キロメートルに達する環境親和的、先端複合都市を造成するシファマルチテクノバレー(MTV)造成事業計画が告示された。 シファMTV事業はシファ湖の干拓地に2016年まで2兆3940億ウォンを投じて先端産業団地と商業ㆍ業務団地、物流ㆍ流通団地、観光ㆍレジャー団地が調和する複合都市を作る事業だ。 しかし、開発による環境悪化を懸念する市民団体の反対に事業推進は中断、これに政府と環境団体は、すべての論議を原点から再検討することを目的に、2004年、<始華地域持続可能発展協議会>という官民協議体を構成した。

 以後、政府と自治体、事業施行者、地域住民、市民環境団体など、計38人で構成された協議会は3年8ヵ月間、140回あまりにわたった議論の末、ついに環境に配慮した開発案への社会的合意を成し遂げた。 これによって2001年の開発計画の告示の6年後の2007年8月15日、シファMTV開発事業起工式が行われ、工事が進行中である。(ネイバー、知識百科より、分かりにくい部分は若干補足しました)

蘆原湿地公園のチェ・ジョンインさん。<シファ湖守り人>として有名です。

現在、渡り鳥の楽園になっています。