韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

韓国4大河川日韓市民視察団 報告8

2010-03-16 20:28:24 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 写真が多く、もう一回だけ書き込みます。28日の午後はナクトンガンの中流の工事現場へ行きました。午前中のハフェ村周辺の美しい自然とは対照的に、自然を思いのままにコントロールできるのだという人間の思い上がった考えを感じられました。やはり、根本的に間違っています。これだけの大規模工事をこのような急ピッチで行っていいのでしょうか?通常の法体系を無視している部分がたくさんあるにもかかわらず、工事はどんどん進行しています。いったい韓国はどうなるのか、ほんとうに心配です。
 日本でも韓国の4大河川事業にたいしての関心が高まることを願っています。大型の公共工事による経済成長や自然の破壊という世の中のあり方を変える必要があると思います。ぜひ、みなさんのお考えをお聞かせください。


関連事業で河川の改修を行っています。このようにどこの川を見ても、工事現場だらけです。


ナクトンガンの中での美しさで有名なサンジュのお寺から眺めた景色。ここの中洲でも工事が始まっています。






クミダムの工事現場。現場で働いている人たちはソウルや大都市から来た期間職の労働者。また請け負った企業もソウルに本社のある大企業が分け合っています。地元に落ちるお金はほんのわずかです。


どこの現場にもこんな看板がありました。どれもワンパターンで自然の多様性をまったく無視したダムの景観です。

 

韓国4大河川日韓市民視察団 報告7

2010-03-16 20:13:45 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 この報告も今回ぐらいで終わりにしましょう。ほか参加者の方も感想文などを書いていますので、ブログを別に作って<韓国4大河川事業>をこれからもチェックしていきたいと思います。

 2月28日、ハフェ村からピョンサン書院の間にある湿地がピョンサン湿地。なかなかいいところだったので、写真で紹介しましょう。ダムができて水位が上がれば、この景色を見ることもできなくなってしまいます。





ピョンサン湿地は思ったより規模が大きいです。なぜ保存をしないのか疑問です。



コラニという韓国にいる小型のシカの足跡がたくさん見つけました。



巡礼団の人たちです。



ピョンサン書院の入り口。



ピョンサン書院の中にある建物です。ここから眺められる景色が次の写真です。





書院の前で巡礼団の人たちと別れました。僕たちはナクトンガンを南へ。巡礼団の人たちはナクトンガンの上流の湿地へ向かいます。

韓国4大河川日韓市民視察団 報告 6

2010-03-10 02:04:44 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 視察団が終ってから、10日ほど過ぎました。日にちが経てば経つほど、もっと多くの人にこの事実を知ってもらいたいという気持ちが強くなっています。このまま工事が進んだら、韓国の川はコンクリートのダムでせき止められてできた湖がつながっている形になってしまいます。川は流れるもの、それを人為的にせき止めるのは、いつか破綻が来ると思います。

 さて28日の日曜日は朝早くからの行動です。7時に巡礼団が泊まっている学校に行き、かぼちゃのお粥で簡単に朝ごはんを済ませてから芙蓉台~ナクトンガンの渡し~ハフェ村~ピョンサン湿地~ピョンサン書院と歩いて周りました。ハフェ村からピョンサン湿地へ行く道は散歩道としてはなかなかいいですね。観光客も来ないし、静かに自然を楽しめます。ハフェ村には3回ほど着ましたが、ピョンサン湿地は初めてです。あまり訪れる人もいない静かなところです。ハフェ村の下流にダムが出来ると水位が上がり、またこの湿地もなくなってしまいます。この湿地には、韓国語でコラニという鹿の一種がいます。足跡もたくさん見つけましたし、糞も見つかりました。こんなに素晴らしい湿地を無くしてまでダムを造って水位を上がる方法があるのでしょうか。


セマングム干拓反対運動をしているチュ・ヨンギさんとテレビ局の記者。


ドキュメンタリー映画の製作チームから取材を受けるラムネット事務局の菅波さん。いつも飄々としながら、キツイ一言が魅力です。


ハフェ村の反対側にある芙蓉台。晴れていれば不容台のうえから、ハフェ村がきれいに見えるのですが…。


芙蓉台からハフェ村までは手漕ぎの渡し舟が交通手段。後姿は九州の弁護士の後藤さんです。今回の韓国訪問でとても有名になりました。その訳は…。


全員乗れず、芙蓉台のしたで何人構っています。じつはこのとき、チュ・ヨンギさんはペンノレ(舟歌)という民謡を歌っていましたが、聞こえるでしょうか。




 

映画「의형제(義兄弟)」は楽しめます

2010-03-08 02:14:15 | 僕の韓流~ソング&シネマ
 今日は、4大河川の話はちょっとお休み。その代わりに、映画の話です。

 ソン・ガンホ、カン・ドンウォン主演の「의형제(義兄弟)」を週末に観ましたが、なかなか楽しめる映画でした。いずれ日本でも劇場公開かDVDで発売されるでしょうが、観る前に(観た後でも言いですが)じっくり勉強したら、もっと面白い話です。

 ソン・ガンホは北の間諜(スパイのことですね)を捕まえる国家情報院の職員(まあ、スパイです)。カン・ドンウォンは北から派遣された工作員(これもスパイのこと)。この二人が、ある人物の暗殺を巡ってすれ違います。その後、ソン・ガンホは任務の失敗の責任を取らされ首になり、カン・ドンウォンも北からの指令が来なくなり、見捨てられます。そして、すれ違ってから6年後、二人は偶然出会いますが……。これ以上書くと、ルール違反でしょうから、やめておきますが、「影」と呼ばれる北の大物工作員がかなりです。ホントにこんな雰囲気なんでしょうね。

 今まで北から亡命した人間が何者にか殺されたり、ある大学の教授(それも外国人教授として)が実は北のスパイだったとかいうニュースが報道されたこともあります。
 また、最近は北から亡命した人たちを報道しなくなったために、どんな人たちが何人ぐらい南に来たのかも良く分からなくなりました。このように南に来るためのブローカーがいて、お金さえ渡せば亡命できるという話を聞いたこともあります。このような南北関係の原実を変な先入観なしに知っていれば、もっと楽しめる映画ですよ。

 主演のソン・ガンホは、以前南北のスパイ戦がテーマの「シュリ」にも出ていました。あのときは100%シリアスでメロドラマに仕上がっていましたが、今回はかなり違います。時代が変わったので、国家諜報院の描かれ方もかなり違います。リストラまで出てくるのですから。
 もうひとりの主演、カン・ドンウォンはどんどん上手くなっていって、今赤丸急上昇中の若手俳優です。祖国に見捨てられた工作員という雰囲気で、魅力も迫力もあります。
 というわけで、今日は映画の話でした。



韓国4大河川日韓市民視察団 報告 5

2010-03-06 00:58:45 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 先週の金曜日は視察団に参加される方々が金浦空港や仁川空港に到着した日でした。東京、名古屋、大阪(兵庫と京都)、九州と日本の各地から環境保全の問題に係っている専門家!が11名も集まりました。
 大学教授が3名(現役1名、名誉教授1名、元教授1名)、弁護士が3名、環境運動の専門家が2名、地域の自然保護団体の代表が2名。専門別に見ても、法律、土木、生物と多岐にわたっていました。いやあ、これだけのメンバーが揃うとは、思ってもいませんでした。

 27日の視察は安東泊です。ここで、ナクトンガンの地域で反対運動をしている人たちと合流して、レクチャーを受けました。通訳のしすぎで、どの人が何を言ったのか、ごちゃごちゃになってしまいました。覚えているのは、ナクトンガンの特徴です。

 地図があれば見てください(僕が地図をアップすれば言いのですが…)
 ナクトンガンの中流に、クミ(亀尾)という都市があります。そのちょっと南はテグです。この2つの都市を過ぎると、ナクトンガンの様子はガラリと変わります。ここより上流は大きな工場地帯がないので河はあまり汚れていないそうです。
 ところが、大きな工場地帯のあるクミとテグを過ぎると河は汚れだすそうです。以前、フェノールという有毒物資が垂れ流しになったことがあるそうです。この中流から下流にかけて堰、といっても高さ10メートル、幅が300~400メートルもあるのですからダムですね、ダムを5つ作ります。そのうえ、捨て場所も確保しないまま、重金属で汚れた川底を浚渫するのですから、怖い話です。まあ、こんなところは覚えています。

 レクチャーが終ったころに、巡礼団の人たちが部屋の中に入ってきました。毎週、土曜日日曜日の1泊2日の日程で、チユルさんという尼さんが中心になって、ナクトンガンの河沿いに歩く人たちです。土曜日の10時にサンジュというところを出発、この日はバスでナクトンガンの美しい景色を目に刻みながらアンドンまでやってきます。次の日曜日は徒歩で、ハフェ村、ピョンサン湿地、ピョンサン書院、マエ湿地などのナクトンガンの史跡や豊かな自然を楽しみます。
 4大河川事業でダムが出来ると水位が上昇し、これらの湿地や中洲はなくなってしまいます。その上水がせき止められるので、水質は悪くなってしまいます。洪水対策という名目もありますが、もともと水を貯めておく堰(ダム)ですから、万が一の大雨のときに、水を臨時に貯める余裕はなく、むしろ堰が決壊したら大災害になってしまいます。本当に何のための工事なのか、全くわけがわかりません。

 話は全くちがいますが、今回の視察旅行、食事は本当にシンプルでしたね。肉を食べたのは初日のサンギョプサルだけ。あとはキムチやナムルのおかずにスープとご飯という庶民的なもの。でも、美味しかったと好評でした。もちろん、夜は宿でマッコリをたくさん飲んで、いろいろ話したのもとてもよかったですね。
 ということで、アンドンで食べた晩御飯の写真です。この後、ビビンバにして食べましたが、ここのテンジャンやナムル、美味しかったですね。
  


韓国4大河川日韓市民視察団 報告 4

2010-03-03 03:39:46 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 ヨジュではヨジュ環境運動連合のイ・ハンジンさんの案内で視察をしました。この日も、クレーンが倒れたり、工事現場にある仮の橋が崩れたりと、事故が相次いでいます。イさんは毎日のように現場をチェックして、問題があるたびにマスコミの知らせているそうです。おかげで最近は脅迫電話も来るようになり、この日も「日本人をなぜ連れてくる」といった脅迫メッセージが届いていたそうです。


説明をするイ・ハンジンさん。ユーモアに満ちた説明は通訳するのに苦労しました。彼のおかげで工事現場の中にある「展望台」に入ることが出来ました。


イ・ハンジンさんの説明を聞く視察団の仲間。工事の進み具合の速さ、工事の規模の大きさに、みんなショックを受けました。


カンチョンダムの建設現場。手にしている写真は去年の夏の様子。河川敷の木や草を伐採して工事を強行しています。一度破壊した自然をどのように回復しようとするのでしょうか?


カンチョンダムの工事現場近くで記念撮影。手にしている横断幕は「命の川と湿地を守れ!」という文字です。ここでは、警察のヘリコプターがうるさく上を旋回していました。

韓国4大河川日韓市民視察団 報告 3

2010-03-03 03:23:11 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 パルダンの次はヨジュ。ここではダムの工事がすでに始まり、コンクリートを流して基礎工事を行っています。こんなに急ピッチで進めるのは、大統領の任期中に何箇所かを仕上げるため。突貫工事のため、まだダムの具体的な設計が終ってなく、模型を使った実験を今やっているという新聞報道がありました。

 とにかく、規模の大きさと工事の早さに、参加された視察団の皆さん、かなりのショックを受けていました。


ヨジュに作られる3つのダムの一つ、イポダム。すでにコンクリートを流し込んで、ダムの基礎工事を行っています。 


工事現場の中にある「展望台」の鳥瞰図を見ている視察団の仲間。工事現場の担当者から早く出て行ってくれと、しつこく言われました。


イポダムの隣のヨジュダムの現場。川を半分以上せき止めて工事をしているのが良く分かります。せき止められたため、川の汚染がいっそうひどくなっています。

 
ヨジュダムの建設現場の下流部分。横に伸びているものは、汚染した水をきれいにするためのフィルターですが、端が切れていますね。これで川の水はきれいになるのでしょうか?

韓国4大河川日韓市民視察団の報告 2

2010-03-03 01:39:03 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 視察団の初日の26日はハンガン流域の2箇所を訪ねました。有機農業の農地を潰してサイクリングロードと生態公園や体育施設を作るという4大河川事業の関連事業が強行されようとしているパルダン地域と、すでに堰(実際にはダムです)の建設が始まっているヨジュ地域の2箇所です。

 北ハンガンを挟んで、パルダン生協のあるチョアン面ミョン(南楊州市)の向かい側にトゥムルモリという場所があります。二つ(トゥ)の水(ムル)の端(モリ)という意味で、ここで北ハンガンと南ハンガンが合流するところで、ヤンスリ(両水里)という漢字語の地名も使われています。ここはハンガン流域で有機農業が始まった発祥のところ。いま4大河川事業に反対して、ソウル近郊の神父が交代で泊り込みをしています。


車を降りるとイチゴの体験農場の看板が目に入りました。その日も子供を連れた家族づれが団体で訪れていました。このような農業体験で年間、12万人もの人がパルダン地域を訪れるそうです。



バスを降りて歩いてトゥムルモリへ向かいます。左は韓国の代表的な環境NGO、「環境運動連合」のマ・ヨンウンさん。今回の視察団でも大活躍しました。



泊り込みをしているスウォン教区のチェ・ジェチョル神父。一緒に話をしているのがセマンクム干拓事業に反対しているチュ・ヨンギさん。


毎日、午後3時にはトゥムルモリのここでミサをしています。そんな場所で記念写真を撮りました。

韓国4大河川日韓市民視察団 報告1

2010-03-02 14:49:30 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 2月27日から3月1日にかけて、<韓国4大河川日韓市民視察団>の通訳&コーディネーター&ツアーコンダクターとして、参加してきました。写真をどんどんアップしますので、4大河川整備計画がどんな工事なのか想像してください。

 僕たちが予想していたより、早いピッチで工事が進んでいます。大規模な工事が韓国のあちらこちらで同時に進み、生態系への悪影響が心配です。治水・利水のために、川の中間に大型ダムを何箇所も作る必要があるのでしょうか? 

 ます、初日の27日はハンガン流域のパルダン地区に行き、30年以上も有機農業をしてきた農地を体育施設やサイクリングロードにするという現場に行ってきました。私たちの行く2~3日前には、強制的に測量が行われその過程で11名の農家や生協メンバーが警察に連行されるという事態までおきています。


 
ここがパルダン生協の建物 この周辺が有機農業の農地です。この地域は1973年のパルダンダムの建設で農薬などが使えなくなり、多く農家が土地を離れてしまったそうです。そのため、有機農業を始め、今では韓国有数の有機農業地帯として発展しました。



YMCAの横断幕。パルダンダムの水はソウル・京畿道の水道水に使われています。ソウルなどから市民の応援もたくさんあります。横断幕には「4大河川開発? それはあなたたちの考え、私たちはこのまま暮らすから、ほっておいてくれない」というような内容です。



6代続けてここで農業をしているチョンジョンスさん。パルダン生協の建物の屋上から分かりやすく熱のこもった説明をしてくれました。ここは地下水が暖かくて、その水を使って暖房施設なしで冬でもハウス栽培が出来ます。