7月29日に韓国の国会議員会館でCBD韓国市民ネットワークのワークショップが開催されました。政府、地方自治体関連機関、専門家、NGOなどからの発表があり、60名ほどが参加しました。ちょっと長いですが、韓国での準備状況や取り組み団体、CBDの中心になる課題などが判ると思いますので、ワークショップの内容を紹介しましょう。
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第12回生物多様性締約国会議ワークショップ
持続可能な開発(発展)のための生物多様性 ~ COP12の内容と準備状況
日時: 2014年7月29日(火)午後2時~6時
場所:国会議員会館 第2セミナー室
主管:CBD韓国市民ネットワーク
主催:イ・イニョン議員室、シム・サンジョン議員室
司会:キム・ギョンチョル(韓国湿地NGOネットワーク/湿地と鳥たちの仲間)
挨拶:ユン・サンギュ環境部長官
イ・イニョン議員(新政治民主連合)
シン・サンジョン議員(正義党)
コ・チョルファン代表(CBD韓国市民ネットワーク)
セッション1(司会:パク・チュンノク/CBD韓国市民ネットワーク)
1 CBD-COP12事前準備会議の主な内容と今後の課題 (カン・ソクウ団長/環境部CBD企画団)
2 UN持続可能な開発目標の議論の状況-生態系と生物多様性分野(ユ・ホ課長/環境部地球環境課)
3 第3次国家生物多様性戦略推進の方向性と今後の計画 (イ・ヒョヌ博士/環境政策評価研究院)
4 SDGs、Aichi Targets、NBSAP そして韓国の生物多様性の課題 (チョン・ギュソク代表幹事/CBD韓国市民ネットワーク・グリーンコリア)
セッション2 (司会:チ・ヨンソン代表/CBD韓国市民ネットワーク)
1 CBD-COP12と地方自治体 (パク・ヨンヒ所長/イクレイ韓国事務所)
2 生物多様性、そして地方アジェンダ21 (シン・ナムギュン運営委員/全国持続可能な発展協議会)
3 NGOの準備状況と議題 (キム・チュニ執行委員長/韓国CBD市民ネットワーク・環境運動連合)
発表者以外に、水田湿地ネットワークのパク・インジャ、イム・ジョムヒャンさん、チュ・ヨンギさん、江華市民連帯のキム・スンレさん、環境と命を守る全国教師の会のナム・ソンジョンさん、ヨンジュダムに反対する地域の住民などが参加しました。それぞれの発表の特徴は次の通りです。
1 カン・ソクウ団長からはCOP12の中心議題として、次の3点が示されました。
①生物多様性目標(2011~2020)履行の中間点検と実施のためのロードマップ(ピョンチャンロードマップ)の採択
②名古屋議定書の履行体系の構築
③国連開発議題(ポスト2015)の討議で生物多様性関連目標を反映させる
2 環境部のユ・ホ課長からは、国連持続可能な開発計画の議論の中で生態系と生物多様性に関連する分野(14海洋資源と保存ならびに持続可能な利用、15生態系と生物多様性)について、COP12の議題③を補足する立場から言及。
3 韓国環境政策評価研究院のイ・ヒョヌ博士からは「第3次生物多様性国家戦略」の内容について説明、とりわけ愛知目標との関連性を重視した強調。また、現在江原道の地方戦略制定に関わっていて、国家戦略がカバーできない部分を地方戦略でカバーしていくと発言。
4 チョン・ギュソク代表幹事(CBD韓国市民ネットワーク/グリーンコリア)からは、生物多様性の現状について、冬季オリンピックのスキー競技場が建設されるカリワン山、ヨンヤンダム、ヨンジュダム(ネソン川)、DMZなどでの現状について報告。
5 イクレイ韓国事務所のパク・ヨンヒ所長からは、持続可能な開発政策と地方自治体の役割、生物多様性と地方自治体の役割について説明。CBD‐COP 12では、10/12から14の3日間会議を行う。
10/12(日)エクスカーション
10/13(月)9:00~18:30 開会式、持続可能な開発目標と都市&生物多様性、科学と政策の連携、生物多様性地方戦略
10/14(火)9:00~15:00 生物多様性の実践:人間と保全、グリーン創造経済、など
6 全国持続可能な開発協議会(全国アジェンダ)のシン・ナムギュン運営委員からは、地方アジェンダの説明、京畿道での生物多様性地方条例の制定、ピョンチャンでは第16回の全国大会を10月6日から8日の2泊3日で行うと説明。大会のテーマは「生物多様性と地方アジェンダ21」、分科会でが次のテーマに別れて、行われます。
テーマ1が「地方アジェンダと実践活動」、
テーマ2が「DMZ、西海岸地帯でのアジェンダの実務的計画樹立のワークショップ」、
テーマ3が「全国生態環境アジェンダ総会」、
テーマ4が「女性と生態」、
テーマ5が「生物多様性と湿地」。
7 最後にCBD韓国市民ネットのキム・チュニ執行委員長から市民ネットの活動計画について説明がされる。今、36団体が加盟(環境、女性、農民、青年)。分科会が、DMZ・保護区域・森林(砂漠化)・湿地・農業・水田湿地・海洋・市民参加と認識増進・エネルギーと資源。
活動内容は、
①報告書発行、
②本会議への介入、
③ホットスポットへの対応(DMZ・カリワン山・ヨンヤンダム・カロリン湾潮力発電)
④ブース運営、
⑤リオ・パビリオン、
⑥エクスカーション。
リオ・パビリオンは本会議場のサイドイベントとは別途に設けられ、生物多様性と持続可能な開発をテーマに、韓国の市民団体は10月8日にパジュの農民の事例をテーマに実施。その他の計画として、CBD Allianceのサイドイベント、日本の市民団体とのサイドイベント(4つ)、先住民会議(10月11日文化的多様性と生物多様性、12日生物多様性における地域住民の役割)、青少年(GYBNの写真展)
以上、盛りだくさんの内容で行われましたが、日本の状況と違う点をいくつか指摘しましょう。
1)COP10が愛知や名古屋のNGOが活発に動いていましたが、今回のCOP12では地元の江原道のNGOがなかなか見えてきません。ソウルに出てくるのが大変なため、参加しなかっただけなのか、江原道のNGOは関心がないのか(まあ、それはないでしょうが)、どちらにしてもこれから地域のNGOがどのように関わってくるかが課題です。
2)地方アジェンダの役割が大きい。日本ではなじみのない<アジェンダ>ですが、韓国では十数年にわたって地道な活動をしています。地域ごとに規模や活動内容は違いが大きいですが、自治体と地域のNGOが同じ立場で協議会を作り活動をしてるのは大きいです。僕の住んでいる南楊州にもあります。
3)NGOの会議に環境部長官や国会議員が来たのはちょっと驚きでした。環境部長官は大学の教授で環境学が専攻、挨拶もきわめて専門的で課題を的確に指摘していました。
泣いても笑っても、あと60日。現地の様子がなかなか伝わっていないのが現状ですが、これからいろいろな情報をお伝えします。参加される方、質問や確認などがありましたら、いつでもお尋ねください。また、現地視察やNGOや地域住民との交流などもセッティングできます。宿泊や移動などの手配も可能です。ピョンチャンのCBD-COP12が成功するように頑張りましょう。