韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

生物多様性地方戦略の日本現地調査~ 長野の事例

2016-10-18 23:33:51 | 日韓環境情報センターの活動
ちょっと遅くなりましたが、韓国の環境政策評価研究院の日本出張の続きをまとめて見ます。
今回の調査は、忠清北道の地域戦略の参考のために行ったのですが、ここは海に面していなく、大きなダム湖が二つ地域なので、長野県が調査対象となりました。また、県立の環境関連の研究所があるのも、興味がありました。

地域戦略の取り組みのなかで、これは面白い!と感じた取り組みが2つあります。ひとつは、セミの脱け殻調査で温暖化の調査を兼ねて行われています。具体的には、今後温暖化が進んでいくと、長野より南で棲息しているセミが長野でも棲息するであろうという予測のもと、市民参加の調査が行われていました。

もう一つが、伝統野菜の保全と栽培推進です。山間部が多い長野では、在来種の野菜、とりわけ漬物などで利用できる大根やカブ、ナスなどに様々な品種が残っています。また、この品種の特徴を生かした調理方法も残っている場合があります。これらを、キチンと登録し、また栽培する農家を組織し、流通も確保する取り組みが行われていました。これなどは、韓国でも活用できる施策だと言えます。


次に訪問した長野県環境保全研究所では、諏訪湖の水質管理の取り組み、そして長野オリンピックのときの環境保全の取り組みとその後の追跡調査について説明してもらいました。諏訪湖はアオコの発生で''有名''だった所で、韓国でも四大河川再生事業のあと、毎年アオコが発生しているので、色々と参考になります。また、冬季オリンピックも2018年にピョンチャンで行われますので、長野の取り組みは細かく分析する必要があると思います。
最後に、一緒に長野を訪問したイ•ヒョヌ博士が学生時代、植物を専攻していたので、研究所の植物標本を見せてもらいました。県レベルの研究所でも規模が大きいので驚きました。でも、防虫剤?の匂いは、ハンパじゃなかったです^^



生物多様性地域戦略の日本現地調査の報告

2016-10-06 13:12:22 | 日韓環境情報センターの活動

 タイトルが少し堅苦しいですが、ガマンして読んでくださると、ありがたいです。先日、9月26日から30日まで、東京と長野県で、タイトルにあるような生物多様性地域戦略に的をしぼった調査を、こちらの研究所の方と行いました。こんなことをしている日本人は、あまりいないと思いますので、きちんと記録しておこうと思います。

 この調査は「韓国環境政策評価研究院」という韓国政府の環境政策のシンクタンクからの依頼で、これで3回目の調査になります。韓国政府のシンクタンクといっても、形態は財団法人になっていて、環境部(日本の環境省に該当します)からは独立した形になっています。これは、90年代末に通貨危機、IMFの時と言いますが、このとき、経済分野の研究機関が、政府や政治力学に流されてしまって、政策提案などができなかったという反省に基づいて、すべての分野の研究機関を担当省庁から独立させて、内閣の下に集めたそうで、この「韓国環境政策評価研究院(KEI)」もその中のひとつの研究機関です。

 ここのイ・ヒョヌ博士(韓国ではこの肩書をよく使うので、ここでも使います。いまは、一つの部門の責任者=本部長です)が、ピョンチャンでのCBDCOP12で発表された韓国の生物多様性国家戦略の編集責任者で、これに基づいて地域戦略の編纂依頼を2、3の地方自治体から依頼を受けて、参考にするために日本の地域戦略を調査することになり、コーディネートと同行通訳を担当することになったわけです。

  1回目が、愛知県、名古屋市、滋賀県、2回目が、環境省と生物多様性センター、日本自然保護協会と日本生態系協会、そして、今回の東京都と長野県、また国連生物多様性の10年日本委員会(事務局は日本自然保護協会)と環境教育フォーラムを訪問しました。 (写真は生物多様性センターを訪問した時)

 今回は特に、生物多様性と環境教育、また生物多様性に関連した農業政策の二つを中心に調査をしたわけですが、まあ、色々なところを訪問して、資料をもらったり、インタビューをするわけなので、この二つのテーマ以外にも、いろいろと興味深い話を聞くことができましたので、訪問した順番に、まとめてみます。(通訳をしているので、あまり写真がありません。もらった資料の写真で勘弁してください^^)

  まず、東京都環境局。ここでは「植栽時における在来種選定ガイドライン~生物多様性に配慮した植栽を目指して」というパンフレットをもらい、説明を聞きました。これは緑の「量」だけでなく「質」に注意した植栽を行うときのガイドラインです。というのも、今まで、管理のしやすさ、病害虫への強さなどから緑化の時、国内外の外来種が多く利用されてきたためです。このパンフレットの後ろに、地域ごとの外来種のリストが載っていますが、大変精密な!リストに、僕だけでなくイ・ヒョヌ博士も驚いていました。この話を聞いた後、ビルの周囲にある緑が気になりましたが、見ただけでは、外来種なのか在来種なのか、分からないですね。もっと、勉強しないと。

  次は、日本自然保護協会(NACS-J)で道家さんと面談。イ・ヒョヌ博士とは、いろいろな国際会議で顔を合わしていて、先日のIUCNのハワイでの会議でも会っているそうです。ここは、以前訪問したことがある場所なので、NACS-Jが行っている「自然調べ」や「自然観察路コンクール」など環境教育に関連した活動の説明を聞き、また、環境教育の特徴や、国連生物多様性の10年日本委員会での環境教育の取り組みについても教えてもらいました。

  そして、今回初めて訪問した「日本環境教育フォーラム」。日本環境教育フォーラムの今までの活動や国際協力活動、また自然学校という名称で行われている環境教育の話など、とても参考になりました。どちらかというと「ホットスポット」といわれる開発と保全のせめぎ合いの現場を回ることが多い僕にとっては、環境保護や環境教育の根っこの部分を確認した時間になりました。

~続く~

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