韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

奉先寺(ポンソンサ)のテンプルステイ

2014-06-30 09:45:49 | 韓国のお寺

 8月に行う「癒しの時間~韓国・京畿道を訪ねる」でテンプルステイを行うお寺を紹介しましょう。

 テンプルステイとは、山の中の清涼で静寂なお寺で修行僧の生活を直接体験し、1700年の韓国仏教の歴史と一緒に現代に蘇った美しい伝統文化と精神に出会える時間です。一滴の水、一枚の葉から宇宙を発見する悟りの講話が「本当の私」を目覚めさせてくれます。澄み切った自然の音で朝が始まる山寺。そこに行けば「本当の自分」で出会えます。

 

 一般の立ち入りが制限されているユネスコの生態圏保全区域に指定された光陵(クァンヌン:朝鮮王朝第7代世祖の墓)と国立樹木園の隣に奉先寺(ポンソンサ)があります。奉先寺のテンプルステイでは僧侶の引率でこの森の中に入ることができ、ここだけの瞑想の時間が体験できます。

 奉先寺は、大韓仏教曹渓宗の第25教区の本山です。高麗時代の西暦969年に建立され、当時は雲岳寺(ウナクサ)と呼ばれていました。1592年の豊臣秀吉の文禄慶弔の役、1636年の丙子胡乱(ピョンジャホラン:清の武力侵攻)で焼けた寺を1637年に再建し、また1950年からの朝鮮戦争で本堂など16棟が全焼してしまいました。このような困難な中でも再建の努力を繰り返し、現在の姿となりました。

 奉先寺のテンプルステイはつぎのようなスケジュールで行われます。(季節や参加人数により、変動があります) 

  <1日目>  

  • 14:00 到着
  • 14:30 オリエンテーション(お寺でのマナー&禁止事項、お寺の案内など)
  • 16:45 夕食(夏期は1時間ほど遅くなります)
  • 17:40 四物(サムル)観覧、夕方の読経 *四物とは、太鼓、雲版、木魚、鐘の四つを言い、読経の前に僧侶が叩きます。独特なリズムの四物は、まるで打楽器の演奏を聴いているような、幻想的な雰囲気になります。
  • 18:30 講話「仏教とは何か」
  • 20:00 僧侶との対話
  • 21:30 座禅
  • 20:00 就寝 

  <2日目>

  •  4:00 起床
  •  4:20 朝の読経、108拝(五体投地、頭、両肘、両膝を大地につけて拝むこと)
  •  5:45 朝食
  •  7:10 役務と休息
  •  8:00 森の中での散策と瞑想
  • 11:00 仏教体験(数珠作り)
  • 11:30 昼食
  • 12:15 部屋の片付け&解散

 韓国だけで味わえるテンプルステイ。ぜひ、参加してみませんか? 

 奉先寺の山門

 ここで四物を叩きます

 境内の蓮池


 


ソウルの曹渓寺

2009-01-07 23:25:51 | 韓国のお寺
 久しぶりにお寺の紹介です。

 ソウル市内の曹渓寺。今まで紹介していませんでしたね。てっきり紹介したと思っていました。

 ここは韓国のお寺が韓国社会の中でどんな位置にあるのかいろいろと教えてくれるところです。本堂の中を見ると、毎日熱心にお祈りしている人たちを見かけますし、仏教関係の道具を売るお店があったり、曹渓宗の本部があるのでお坊さんたちが大勢いたり、朝早く地方のお寺へお参りに行く人たちのバスが出発したり、いつも賑やか(?)です。

 ソウル観光のついでに、ぜひ立ち寄ってみてください。


お寺は都心の真ん中にあります。 



本堂の前の置物。こんな石造を良く見かけます。



良く見るとかわいい顔ですね。



お釈迦様の誕生日は色とりどりの提灯できれいです。

江華島の伝燈寺(チョンドンサ)

2008-07-27 02:50:05 | 韓国のお寺
 江華島(カンファド)はソウルから1時間半ぐらいでいける所にある韓国で2番目(たぶんそうです)の島です。島といっても、橋で繋がっていますし、陸地と島の間は漢江(ハンガン)より狭いです。新村(シンチョン)発のバスで行くと、あっという間に橋を越して島に入ります。
 
 実はこの島、僕が韓国に暮らしだす前、一人旅で訪れたところなんです。当時は韓国語も挨拶と食べ物の注文ぐらい。それで、バスに乗って江華島まで行って、そこのバスターミナルで乗り換えて、伝燈寺(チョンドンサ)まで行ったのでした。正直、20年以上前の話で、お寺の様子はあまり覚えていないんです。ただ、お寺の前の食堂でビビンバを食べたのを、なぜか今でも覚えています。

  伝燈寺の山門

  このお寺には2~3年前に久しぶりに行って、お寺の前の麦ご飯が美味しかったのを覚えています。去年行ったときは、お寺の総務担当の人にも会って、いろいろ施設を見せてもらいました。ここのお寺もテンプルステイと言って、お寺に泊まって修業体験をするプログラムがあります。新しい宿泊棟を造っている最中でした。

 この島の文化観光解説員の中に、日本人の方が2人ほどいます。その方の話によると、最近、ガイドブック便りに江華島観光にくる日本人が増えたそうです。ここは、ソウルから近いし、食べ物は海と山の両方あるし、お寺や昔の遺跡や山や渓谷、渡し舟、海…など、魅力満載です。1日あれば、いろいろ見て回れますので、2泊3日のソウル旅行でも、2日目をここに当てれば、十分観光できますよ。いかがでしょうか? 

  工事中の宿舎棟、伝統的な造りが魅力的です

  供養館(食堂)です。とてもきれいで驚きました。

鳳停寺(ポンジョンサ)

2008-07-10 02:15:30 | 韓国のお寺
 この鳳停寺(ポンジョンサ)はイギリスのエリザベス女王が、1999年に訪問したことで一躍注目を浴びたお寺です。
 
 新羅時代の672年の創建ですので歴史も古く、韓国に現存する木造建築の中で最も古い(高麗時代)建物の一つである極楽殿があることで有名なお寺です。本堂の大雄殿も朝鮮時代の建物がそのまま残っています。
 
 高麗時代の木造建築が残っているお寺には、慶尚北道(キョンサンプクドウ)の栄州(ヨンジュ)浮石寺(プソクサ)と、忠清南道の徳山(トクサン)温泉の近くの修徳寺(スドクサ)があります。修徳寺のみ、1308年に建立したという記録が発見されていますが、この鳳停寺と浮石寺は正確な時期は分かっていません。そのため、どのお寺の建物が一番古いか、お互い気を使っているみたいです。
 
 鳳停寺に行くには、安東(アンドン)から車で行く事になります。安東市内から40~50分ぐらいで到着します。お寺の前は、食堂やお土産物屋もなくとても静かなところ。お寺の規模も小さくてこじんまりとしています。鳳停寺と比べると、浮石寺とか修徳寺は大寺院ということが分かります。
 
 僕が去年の秋行ったときは、境内で唐辛子を乾かしていました。そのそばでお坊さんがいろいろ働いています。普通のお坊さんと思ったら、ここの住職さんでした。とても人懐っこい笑顔で挨拶してくれました。こんな気取らない気持ちの温かさが、韓国寺院の魅力だとここでも感じたのを忘れることが出来ません。

 この鳳停寺、泊まることも出来ますよ。ホテルのような快適な施設はありませんが、山の中のお寺で1泊するのもいいものです。ぜひ、次の機会に泊まってみたいです。また、定期的にテンプルステイというプログラムもしているので、これに参加したら泊まれますし、夕方や明け方のお勤めにも参加できます。通訳の問題がありますが、これから多くの日本の方が参加して、韓国仏教を肌で体験してくれないかなと、いつも思っています。
 
*おまけ*
江華島の伝燈寺(チョンドンサ)で日本人対象のテンプルステイが8月に行われます。詳しくは、江華島で文化観光解説員の方のブログをどうぞ 江華島よりサランヘ
 
 鳳停寺の入口にある楼閣


 高麗時代の三重の石塔


 本堂の隣にある庵。ここに泊まれますよ。


 

通度寺(トンドサ)

2008-06-19 05:09:22 | 韓国のお寺
 通度寺の入口です。

プサンから1時間ぐらい北に行った梁山(ヤンサン)というところに通度寺(トンドサ)というお寺があります。このお寺は、本堂に仏像が無いことで知られています。仏像がない代わりに、仏舎利(お釈迦様の遺骨)を収めた石塔を拝みます。この石塔は外にあるので、本堂の壁の一部がガラスばりになっていて、石塔を拝むことが出来るようになっています。

 このお寺には、去年の11月ごろ行ってきました。ちょうど紅葉のシーズンで、よかったですね。そのうえ、本堂の中には石塔を拝んでいる人たちがたくさんいたので、こんな風景を見られたのも幸運でした。

 ここは、唐から仏舎利氏を持ち帰って慈蔵律師(チャジャン ユルサ)が646年に建立したお寺です。残念ながら、当時の木造建築物は残っていません。豊臣秀吉の文禄・慶長の役の際に焼かれてしまったそうです。各地のお寺の話を聞くと、同じようなことをよく聞きますが、聞くたびに複雑な気持ちになります。

 秋の行事があり、提灯でいっぱいです。

 ここが本殿、右の奥に石塔があります。


開岩寺(ケアムサ)

2008-06-09 19:30:08 | 韓国のお寺
 開岩寺は、竹から作った塩、竹塩(チュギョム)で有名なお寺です。
 竹塩とは、7~8世紀ごろから開岩寺のある全羅北道の辺山半島(ピョンサンバンド)のお寺で伝わっていた特別な塩のことを言います。ミネラルがたくさん含まれた辺山半島の天日塩を3年以上生長した太い竹に詰め込み、両側を黄土で蓋をして松の木だけを燃料として焼いていきます。高温で焼くことを8回繰り返し、最後の9回目は松の木に松脂をかけて加熱温度をさらに上げるので、塩が溶けて流れ出すそうです。固まったものは結晶になり、民間療法にも使われました。

 1988年、この竹塩の製造方法を開岩寺の住職から伝授してもらった<開岩竹塩>という会社が製造をはじめ、いわゆる竹塩ブームがおきるまで発展したのです。最近では、食用だけでなく、石鹸、食み履き粉、洗顔パックなどにも使われています。
 
 開岩寺の門をくぐって上がっていく大雄殿(デーウンジョン)が見えます。うしろの岩のマッチしていて、なかかなの風景です。この建物は朝鮮時代、16世紀から17世紀ごろの建物だそうです。大雄殿の中の龍の彫り物が立派でした。

 ちょうど、お昼ごろに行ったので、住職さんもお坊さんも食事中。まかないのおばさん(?)に来てもらい、売店で竹塩を買いました。最近は日本人も時々来るそうです。他の観光客もいないので、ゆっくり境内を見学できました。この開岩寺もなかなかいいお寺。この地方に行ったときは、ぜひ立ち寄ってください。

  大雄殿、バックの岩がなかなかいいです
 
 羅漢殿、中には羅漢さんがいっぱいです

 大雄殿の天井の龍

 天井の龍は迫力満点です
 

威鳳寺(ウィボンサ)

2008-05-31 02:09:38 | 韓国のお寺
 全羅南道の完州(ワンジュ)にある威鳳寺も、素晴らしいお寺でした。
 この寺は604年に建立された古刹ですが、その歴史も波乱万丈です。仏教が迫害された朝鮮時代も新しい建物が作られたり、銅鐘が作られたりしました。これは、大変珍しいことです。1912年には韓国の31本山の一つに指定され、全羅北道の50余りの末寺を管轄しました。
 ところが、朝鮮戦争を境に急速に衰え、廃寺寸前まで至ったそうです。それを立て直したのが、今の住職の法中師。1988年に住職として赴任して依頼、20年間で再建を果たしたというのです。
 
 行って来て、他のお寺とちょっと違う点があるのに気がつきました。お寺全体に、活気があります。禅院(禅の修業場)があるため、お坊さん(比丘尼です)が多いのは事実です。また、各地から見学に来る人が多いと感じました。
 でも、それ以上に、何かの力がお寺全体を包んでいて、あたたかく活気のあるお寺にしていると感じました。たぶんそれは、信仰の力だと思います。それを感じることができただけでも、行ってきた価値はありました。

 <おまけ> 実は、このお寺でお昼を食べてきました。おそばとご飯の両方を食べましたが、おかずも手が込んでいて美味しかったです。お昼の食べ方を知りたい方は、コメントを書き込むか、メールをください。あんまりオープンにすると、お寺に迷惑がかかりそうなので、よろしくお願いします。








定林寺址(チョンリムサジ)・扶余(プヨ)

2008-05-29 04:24:34 | 韓国のお寺
 扶余へ行ったのは、十何年ぶりだろうと思います。最初の一人旅で、市外バスに乗ってきたのは、もう20年以上も昔の話。あの頃は、本当に田舎でした。
 朝早く、焼肉屋に行って食事をしようとして断られた笑い話も、今では懐かしい思い出ですね。
 あの後、大学院に通っているころ、たしか一度来たことがあるのですが、よく覚えていません。たしか、儒城温泉の帰りに寄ったはずですが・・・。
 
 今回行って、驚きました。定林寺址がとても立派になって、展示館までできていました。石仏もこんな大きな建物の中にはありませんでした。

 このように地方の文化財が、きちんと保存され展示されるようになったのは、ほんとうにいいことです。このような文化財をきちっとチェックするだけでも、韓国に来る価値はありますよ。

 今日は、定林寺址の写真をアップしておきます。博物館の紹介は、明日しましょう。なお、4枚目の写真の右端は、扶余の文化観光解説員の方。扶余に住んでいる日本人の方でした。関西弁で解説してもらい、面白かったです。








大鳥寺(扶余)

2008-05-27 19:43:04 | 韓国のお寺
 今回の旅行では、予定外のところもいくつか回ってきました。おかげで、思わぬ収穫がありました。その一つが、扶余の近くにある大鳥寺(デチョサ)の弥勒菩薩立像です。
 観光案内地図に載っていたので、辺山半島(ピョンサンバンド)へ移動する途中何の気なしに立ち寄りました。
 お店が20件ほど立ち並ぶ田舎の商店の間の細い道をどんどん登っていくと、山道に沿って提灯が掛けてあります。先日のお釈迦様の誕生日の名残でしょう。これがなかったら、お寺があるのが分からないぐらい何もない山の中です。
 車から降りて2~3分歩くと、木々の間から何か見えます。かなり大きい石像とすぐ分かります。姿は論山(ノンサン)、灌燭寺(カンチョクサ)の弥勒菩薩にそっくりです。
 境内は誰もいず、私たちだけ。本堂の上の高台に弥勒菩薩は堂々と立っていて、私たちを見下ろしています。こんな素敵な石造があるなんて、想像もしていませんでした。
 撮ってきた写真を全部載せますので、ご覧ください。
 そして、扶余に行ったとき、このお寺にぜひ立ち寄ってみてください。










お寺巡りの魅力

2008-05-25 09:52:22 | 韓国のお寺
 先週、忠清南道と全羅北道のお寺を旅行してきました。<芸術新潮> 2006年8月号に載っていたお寺や史跡を巡るツアーです。
 今回気がついたことは、お寺の址地にある石塔や石の灯篭や石仏などのすばらしさです。今お寺がなくても、かつてはこの場所にお寺があり、僧侶や信者が集まっていたということを想像する面白さを、体感してきました。
 お寺巡りというと、今あるお寺ばかりに目が行きやすいですが、それでは不十分ですね。韓国の仏教文化や寺院の歴史などを本当に勉強したいのなら、本当に見て歩きたいのなら、お寺の址や史跡も大切なポイントだと分かりました。
 写真は、益山(イクサン)にある王宮里五層石塔(ワングンリ オチュンソクタップ)です。塔の周りは発掘作業が進められています。今年中には、立派な展示館がオープンするそうです。