韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

韓国の社会的経済について~その1

2014-04-20 15:49:42 | 日韓環境情報センターの活動

 韓国の<社会的経済>について、思いつくままに書いてみます。まず、ハンギョレ新聞に社会的経済のチームがあるので紹介しましょう。

 "限りなくあふれ一瞬で消え去ってしまう情報が世界をおおっています。生活のためにスーパーを回り、インターネットやスマートフォンを駆使して信頼できる製品やサービスに出会うのはなかなか簡単ではありません。環境と生態系を考え、仕事を生み、商店街を守り、そして、子供たちの未来に責任を持つ企業の製品であれば信頼できるでしょう。

ハンギョレ新聞の社会的経済は、 生臭いお金の匂いが出る消費ではなく、爽やかな香りの消費を助けようとします。
決して変わらない価値、 ハンギョレ新聞の社会的経済は、皆さんとともに歩みます。

ハンギョレ社会的経済は、
- 社会的企業、村の企業、協同組合などの商品やサービスをご紹介します。
- 社会的経済に関するニュースやコラムを提供します 。
- 社会的経済のネットワークを作るために努力します。”

 ハンギョレ新聞は、進歩的な新聞として日本でも知られていますが(最近日本語HPができました)、このような新聞が<社会的経済>を積極的に応援するというところに、韓国の<社会的経済>の社会的スタンスというものがわかるのではないかと思います。

 ここで紹介されている<社会的企業>とは利益を経営者や株主に配当するのではなく社会に還元するという目的で作られた企業です。<村の企業>hは農村や漁村などで地域に根ざした企業で、たとえば味噌作りだったり、農村体験の民宿だったりが代表的な事例でしょう。<協同組合>は、最近法律が改正され、5名いれば作れるようになり、消費者共同組合や生産者組合などさまざまな協同組合が作られています。

 このように羅列すると、日本にもあるものばかりでして、それほど珍しくはないと思います。では、このような社会的経済が韓国で注目されているのは、なぜでしょうか?

 80年代から90年代にかけての軍事政権に反対し民主化を求める闘いのなかで、社会正義と公平な社会、そして分かち合うという価値観が多くの人たちに共有されたことが大きい思います。この中で宗教、特にキリスト教の果たす役割は、日本との大きな違いでしょう。同時に韓国の共同体意識が作用していると思います。これについては、明日書きましょう。

 

 


社会的経済フォーラムと日韓交流

2014-04-11 06:29:37 | 日韓環境情報センターの活動

 昨年11月、ソウルで<グローバル社会的経済フォーラム>が行われ宣言文が日本語に翻訳されていますが、これに関して参考になる情報をいくつかまとめてみます。

 まず、ご存知かもしれませんが、現在のパク・ウォンスン(朴元淳)ソウル市長の紹介からしましょう。弁護士であるパク・ウォンスン市長の略歴は次のようになっています。

”1975年ソウル大学に入学したが、民主化運動を行い除籍処分となる。80年に司法試験に合格したあと、83年に壇国大学歴史学科を卒業する。82年にテグ市検察庁で検事となるが、翌年弁護士になり、その後プチョン警察署性的拷問事件、アメリカ文化院占拠事件、ソウル大学助手セクハラ事件などを担当し有名になる。

 91年8月からイギリスとアメリカに留学し、様々な市民参加、市民運動の実例を経験し、帰国後の95年に進歩的な傾向の市民団体「参与連帯」を結成、一株株主運動と総選挙での落選運動などを行い、2002年に「美しい財団」と「美しい店(リサイクル運動の店)」、2006年には「希望製作所」をつくり、各種の市民運動を展開した。「希望製作所」などでは‘組織の創意性を高め、意思疎通を円滑にするために年齢や職位が妨げになってはだめだ’として<常任理事>でなく、<ウォンスンさん>と名前で呼ぶことを望んだといわれている”(ネイバー知識百科)

 このような経歴をもつ弁護士が2011年のソウル市長の再選挙で当選し、それ以前のオ・セフン市長のバカなバブル市政・新自由主義的市政が180度転換して、このような国際会議を行ったわけです。

 パク・ウォンスン市長の略歴でもわかりますが、韓国での新自由主義に対抗する社会的経済運動の背景には80年代からの民主化運動の歴史と体験があります。とくにこの時期に学生だった人たち(60年代~70年代生まれ)にとっては共通体験となり、社会的な人的財産の基盤というか価値観の源泉になっています。「参与連帯」が活動を開始した90年代の半ばには、環境運動連合やグリーンコリアといった環境団体も本格的な活動を始めていますし、生協運動もこのあたりから日本の事例に学びつつ組織化が始まります。有機農業で有名なホンソンで<アイガモ農業>が始まるのが93年ですから、韓国社会での進歩的なさまざまな取り組みは、だいたい90年代の半ばから始まっています。

 90年代の後半から経済的な成長も後押しとなり、韓国では自分たちの努力によって民主的な社会をかちとり、経済成長を成し遂げたという<自信>になっています。この過程で、宗教団体の役割も大きかったのですが、これについては、別の機会に紹介しましょう。

 さて、ソウル市には<社会的経済支援センター>という組織があり、さまざまな支援活動をしているようです(このあたりも、今後チェックします)。似たような組織や部署が京畿道にもできましたが、まだ内実はともなっていないようで、自治体を含めブームになっているのは確かです。このブームの中心の一つが協同組合で、テレビやネットで様々な協同組合が紹介されるようになりました。ただ、日本に比べ行政に予算的な余裕があるためか、比較的補助金が豊富だなという感じがします。たとえば、社会的企業(利益を社会に還元する目的で作られる企業、法人形態は株式会社、福祉法人、協同組合などいくつか指定されています)を作った場合、社会的企業<候補>の間の3年間、正式にスタートし後の2年間、合計5年間は人件費などの補助金があり、補助金がなくなる5年間の後の経営が問題になっているようです。

 というわけで、日本にいる方々にはなかなか実感がわかない部分もあると思います。韓国にいらして、直接現場を訪れ、関係者にインタビューをしたり、意見交換をするのが一番です。実は、20年近くに経済成長によって、社会的な矛盾や問題点もあちこちにころがっていて、日本が抱えている問題と余り違いがない部分もありますので、討論自体がかみ合う部分もあるはずです。3泊4日(時間がない場合は2泊3日でも可能です)ぐらいで現場を回るツアーを5月以降、行おうと考えています。日程や訪問先については、ブログやフェイスブックで今後紹介しますので、興味のある方は連絡をお願いします。(写真は南楊州でのマウル企業=村企業、野菜や山菜のしょうゆ漬けを作っています)

 


クロツラヘラサギ繁殖地&シファ湖&江華島ツアーのお知らせ

2014-04-04 13:24:18 | 日韓環境情報センターの活動


環境保全活動をされているみなさま
(このメールは転載自由です。周辺の皆様へもお知らせください)
 
お世話になります。韓国在住の田中博(日韓環境情報センター&ラムネットJ韓国事務所)です。
めっきり春めいてきましたが、みなさん、お元気でしょうか?
 
今日は5月に予定しているツアーのお知らせをさせていただきます。
連休のあとの5月の週末(5月9日~12日、または16日~19日)に3泊4日の日程で
クロツラヘラサギ繁殖地観察&韓国の干潟めぐりのツアーを実施します。
旅行日程は次のように行おうと思います。
 
<1日目>
各地の空港(東京、名古屋、大阪、福岡など)から韓国へ(インチョン空港、キンポ空港)
到着時間を12時から1時ごろに調整して、空港から専用車で移動します。
午後~夕方:インチョン・ソンド埋立地でのクロツラヘラサギ繁殖地の見学
(工業団地の調整池の中にある人工島で数年前から繁殖が始まりました。
インチョンの環境団体が毎日モニタリングをしています。)
夕方:シファ湖へ移動、移動しながら水鳥観察
(海水の流通で水質が改善され、南側の水辺は湿地となりラムサール登録を目指しています)
○宿泊=シファ湖周辺のペンション
 
<2日目>
朝:シファ湖周辺での水鳥観察
午前:江華島へ移動(専用車)
昼食後、平和展望台見学
(北朝鮮が見える展望台です。展望台からはクロツラヘラサギ繁殖地のユド(留島)が見えます)
歴史博物館見学(江華島の歴史が一目でわかる施設)
○宿泊=体験農村施設のドレミ村
(韓国では村おこし政策で全国で約3000箇所の村で体験農村施設が作られ、その成功例の一つです)
 
<3日目>
午前:江華島の南側にあるカクシ岩の観察。
(クロツラヘラサギの繁殖地。天候が良ければ漁船で近くまで行きます。上陸はしません)
*なお、潮の関係で午後になる場合もあります。その場合はウェポリ漁港見学が午前中になります。
午後:ウェポリ漁港&フェリー乗り場見学
(キムチに欠かせないアミの塩辛の産地、周辺の干潟は潮力発電所建設の計画があったところ)
夕方、ソウルへ移動。ソウルの市場で夕食
○宿泊=ソウル市内のホテル
 
<4日目>
出発まで自由行動。
ソウル駅から空港鉄道でインチョン空港(キンポ空港)へ移動。
インチョン空港(キンポ空港)から帰国。
 
だいたいこんなスケジュールになると思いますが、細かいところは参加される皆さんと
ご相談のうえ確定したいと思います。
参加費ですが、人数によって違いますが、だいたい4~5万円程度になるかと思います。
(3泊4日、専用車代、宿泊代、食事代、通訳代その他)
*5名~7名:ワンボックスでの移動、8名~15名:マイクロバスでの移動
*航空券は各自、ご自分でお買い求めください。
 
ぜひ、皆様の参加をお待ちしております。4月20日ごろまでには参加者の数を確定したいと
思いますので、ご協力お願いします。
 
なお、いままでクロツラヘラサギ関連のブログ記事がありますので、ご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/kankoku_zakkicho/e/517a6acc659d0c292e196ae6a2ee69af
http://blog.goo.ne.jp/kankoku_zakkicho/e/f2e13409a6168d998ef83d3c709efaa7
 
http://blog.goo.ne.jp/kankoku_zakkicho/e/91b1b153bdc001d6826aa4b0e0f7adfa
 
*このメールは転載自由です。ぜひ周辺の方々へお知らせください。