韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

韓国の社会的経済について その3

2014-05-22 07:20:36 | 日韓環境情報センターの活動

 昨年、ソウル市が行った<2013 グローバル社会的経済フォーラム>のホームページのなかに、社会的経済について説明している部分があります。参考までに訳してみましたが、まだまだ、発展途上の概念であり、実践だなと思いました。堅すぎ内容なので、僕などは、あれれ、と思ってしまいましたが、まあ、これが現実であり、ここからはじめるというスタートラインの確認と考えましょう。

 一番のポイントは、コミュニケーション=つながり(と意訳します)とは何かであり、どのようなプロセスでどんな雇用を生み出していくか、という問題のような気がします。

 ホームページはこちらです。

<社会的経済とは?>
 
社会的経済とは、すべての関心の中心に人をおくことだ。重要なのは人であり、資本ではない。
したがって、資本の収益よりも雇用を重視し、仕事を通じて創出する社会的な連携を重視する。
社会的経済は「民主的な意思決定の構造を備え、資本による収益配分を制限する原則に基づいて運営される組織の活動」を意味する。新しい概念のように思われるが、フェアトレード( Fair Trade ) 、地域通貨( LETS ) 、生活協同組合、社会的企業、マウル(村)企業など、一度は聞いてみたことのある活動が社会的経済活動に属する。
 社会的経済は、今日の雇用問題のオルタネイティブな形の雇用を創出し、友愛の原則に基づいた地域社会のネットワークの構築を通じた社会的なセーフティネットをより強固にするだけでなく、このような社会的ネットワークを介して他の社会サービスの消費を促進する機能も持つという点で重要な意味がある。
  

<社会的経済の発生背景>
 「西欧の国々は、すでに今までのような豊かさを享受することができなくており、今のように極端な不平等も経験していなかった。現在、ヨーロッパでは、数千万人の貧困層と疎外階層が存在する。したがって、これらの問題を解決するためには、新たな目標を目指す必要がある。特に、労働と所得に依存している現在の社会的な権利をそこから分離することができる連帯経済という目標を目指すべきだ」 - Jean - Paul Marechal
 今日の私たちの社会は、健全な市場経済体制を持たず、生活の場の全般にわたり貧富の格差の問題が表われているが、解決できずにいる。このような問題の根底には私たちの社会が共有する普遍的価値の弱体化という問題が存在すると考えられる。
 このような観点から、生活の場を中心に<疎通空間=つながる関係?>を拡大することで新たな価値を生み出し、広めることが重要な問題であり、このような<疎通空間>を拡大する対案が「社会的経済」である。

では、具体的にどんな活動が行われているのか探してみて、紹介していきましょう。


韓国の社会的経済について その2

2014-05-05 11:16:11 | 日韓環境情報センターの活動

 6月下旬に韓国の社会的経済の現場を見学し、関係者と交流するツアーを企画しました。詳しくはフェイスブックをご覧ください。ここでは、社会的経済について気になることを、メモしてみます。

1 正義とか公正を求める人たちが多い、あるいは社会的な共通体験になっている =これは、80年代から90年代にかけての民主化運動、あるいは70年代の軍事独裁政権に反対する闘い、もっとさかのぼると日本の植民地支配に反対する抗日運動などの体験が、民族や世代の共通体験になっています。これらの共通体験は、90年代以降本格化する市民運動にも受け継がれ、社会的経済の基礎になっています。このあたり、たぶん、日本との違いが大きいですね。「正義」という言葉も良く使われます。(僕などは、気恥ずかしい、という感情があって、あまり使えません・・・)

2 社会参加への積極性、主体的な参加(寄付もふくめて)=韓国の市民運動と日本の市民運動の違いにひとつに会費の金額の違いがあります。韓国は、だいたい、毎月1000円が基本です。活動家になると、数箇所から10箇所ぐらい参加していますから、一ヶ月の会費の合計が1万円をこえるひとも珍しくないようです。以前一緒に日本へ行ったインチョンの環境団体のメンバー(女性)の場合、夫もインチョン地域の工場で組合活動していますから、一ヶ月に1万5千円ぐらい、会費やカンパでなくなるといっています。(そのうえ、クリスチャンだと教会への献金もあります!)このような積極性は、いわゆる活動家レベルだけの話でなく、たとえばタレントなども積極的にしてますね。災害や事故の被害者への義捐金だけでなく、解雇労働者へのカンパなどもしている歌手や俳優がいます。チャングムに出ていた、漢方医の女医さんをやっていた俳優は労働争議の現場で逮捕されたこともあり有名ですし、イ・ヒョリという歌手(とてもセクシーですが)がサンヨン自動車の争議団へカンパしたことも話題になりました。たぶん、このような積極性、主体性は、社会的経済が成長するための大きなエネルギーになっています。

3 2000年代以降の経済成長とさまざまな矛盾、問題点を解決する方法として意識的、戦略的に提案されたこと。これについては、生協の動きとして、別にまとめてみます。 

4 伝統的な共同体、協働組織などが農村や漁村、とくに干潟周辺の漁村にあったこと、あるいはまだ残っていること =とくに、西海岸から南海岸では、船を使わず、手で貝やタコなどをとる漁法があるのですが、干潟の資源をまもるため、漁業をする区域をきめ、また公平にするため年毎に区域を変える地域があると聞きました。このような伝統は、見習うべきモデルとなっています。

このほかにも、気がついたことがありますので、また、メモします。では、6月、ソウルで会いましょう^^