国会議員の選挙は予想を裏切って与党側の勝利になりましたが、これについては、また後日お話しすることにして、4月4日から8日までの4泊5日で行われた韓国ツル越冬地訪問ツアーの報告をしましょう。今回のツアーには、ナベヅルの越冬で有名な鹿児島県出水市のツル保護&研究団体のメンバーと山口県周南市で活動しているメンバー、合計8名が参加しました。
4泊5日の短い日程で、全羅南道の順天(スンチョン)湾、漢江(ハンガン)河口、江華島(カンファド)と3箇所の越冬地と中継地を見学しました。スンチョン湾ではスンチョン市役所に勤務しているキム・インチョルさん、ハンガン河口ではおなじみのハン・ドンウックさん、カンファではカンファ市民連帯という団体のリーダーの一人であるキム・スンレ先生が案内をしてくれたおかげで、通常ならば見ることができないものも、いくつか確認できました。このような現地の状況を詳しくチェックしている環境団体や行政担当者のガイドがあると、本当に充実したツアーなりますね。今回も、ほんとうにお世話になりました。
いつものように通訳やガイドをしながらの写真撮影ですので、ところどころありませんが、ご理解を。では、どんどん紹介します。
まず、5日に訪問したスンチョン湾。このブログでも何回か紹介してありますが、年間200万人以上が訪れる韓国内でも有数な観光地になっています。この日も、中学生や高校生の団体が次から次へとやってきて、ぞろぞろとアシ原をあるき、展望台のある龍山へ登って行きます。
僕たちはそんな団体とぶつからないように、西側のアシ原から入り、堤防ぞいに歩いていきます。途中で、休憩所の屋根の吹き替えをしているのにぶつかりました。この材料は湿地に生えているアシ。毎年、4月から5月にかけて切り取り、屋根や目隠しの材料に使います。この作業をしているのが、地元の農家の人で日当をもらって作業をしているそうです。
アシ原が緑でなくても、やっぱりきれいですね。自然が作ったわくわくする景色です。
展望台は満員です。次から次へと修学旅行の生徒たちがやってきます。これだけ団体の利用客も多いので、だんだんオーバーユースになっているのも、よくわかりました。
今回の<ツル見ツアー>参加者です。とても天気がよさそうに見えますが、実は風が強く、鳥を見るのにはあまりよい日ではありませんでした。
翌日は、朝7時にホテルを出発、8時20分の飛行機でソウルに戻るという強行軍。キンポ空港でハン・ドンウックさんたちと合流して、イムジン閣へ向かいます。
ここは、イムジン閣で有名な自由の橋。私たちもそれぞれの願いをリボンに書いて結びました。
判鴎亭(パンクジョン)という朝鮮時代の楼閣からハンガンを眺めますが、今日も風が強く、鳥を見つけるのが大変です。
このあと、イルサン新都市の目の前にあるチャンハン湿地に入りました。ここは民間人統制区域の中にあるため、軍の許可が必要なところ。写真には写っていませんが、担当の軍人が同行しています。ちょうど、クロツラへラサギが遠くに見えたようです。
チャンハン湿地で有名なマングローブ状の柳。いま歩いていますが、満潮になるとあたり一面、川の水で浸かります。この柳の葉は地面に落ちても、1日2回満潮のときに水が来るので腐りません。その代わり、根っこ部分に棲んでいるカニが葉を食べているそうです。今年中には、軍の管轄から外れるので、遊歩道ができたりして接近しやすくなります。ぜひ、一度、訪れてください。
柳の群落からちょっと上がったところに田んぼがあります。ここに、ナベヅルとマナヅルが合計20数羽、休んでいました。みなさん、車の中から写真を撮るだけでしたが、韓国でようやくツルに出会えました。
このあと、イルサンの湖水公園へ行きました。ここには、タンチョウがいるのです!
ほら、本物ですよ。中国からの贈り物だそうです。大きいのでビックリしました。
4日目は江華島。湿地センターのムン事務局長の案内で見学です。ちょうど、地域の子供たちがやってきて湿地について勉強しています。
ここは、スンチョンとは180度反対の、小規模で手作り感いっぱいのセンターです。1年の訪問者が2万人ですから、スンチョンの100分の一ですね。でも、環境境域のいろいろなアイデアがぎっしりつまっていて、とても参考になります。
このイラストも、以前、働いていたスタッフの手によるもの。ここまでくるとプロです。
お決まりの巨大クロツラの前で、記念写真を撮ります。
お昼を食べた後、江華島をどんどん北へ向かいます。左手には北朝鮮が見えるという、こんな場所に4日前にツル(ナベヅルかマナヅルか忘れてしまいました、ごめんなさい)がいた田んぼを確認します。
この貯水池の反対側にツルがやってきたそうです。
ということで、4泊5日の旅を、ぎっしり凝縮して紹介しました。ツルひとつをとっても、日本と韓国で協力することが、たくさんありそうです。まず、今年の冬、同じ日に個体数のチェックをしようということになりました。これは、国際的にきちんと協力すれば、全世界での個体数がわかる訳で、とても大切な活動です。ツルがこれからも安心して暮らせるような環境を作るために、これからもさまざな交流が必要だと、痛感しました。