韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

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第1回韓国草の根塾 フィールドワークで見えてきた事

2020-01-29 14:42:30 | 韓国草の根塾
正義党、緑の党、分かち合い文化、民主労組などを回って見えてきたものをメモします。

まず、政党の組織運営について。今回、日本の立憲民主党の党員が議員だけ、というのを初めて知りまして^^ やっぱり政党の組織運営で日本は立ち遅れているなという感じをしましたね。まず、正義党は党員が5万強、緑の党は8000人ぐらいだそうです。この数は党費を納めている人たちの数で、与党の<共に民主党>は80万人もいます。
韓国の政党は5つ以上の広域自治体(大都市と〇〇道)でそれぞれ1000名以上の党員がいないと、政党として認めらません。
緑の党の場合、2011年の福島原発事故を受けて、環境団体の会員や反核運動のメンバーなどの間で政党が必要だ=議員が必要だ、という結論になり、1年間の準備を経て、ソウル、プサン、キョンギ、大邱、忠清南道で支部を作り、政党と認められました。緑の党が注目されたのは2018年のソウル市長選挙、当時29歳のシン・ジエ(女性)候補が8200余りを獲得、第4位になってからでしょう。このとき、緑の党は環境問題と同時にジェンダー問題を前面に押し出し、若い人たち、特に女性の共感を得たようです。今年4月に行われる国会議員選挙には比例区に6名候補者を立てますが、そのうち4名が女性でほとんど20代、30代です。事務所に行っても若い女性ばかりで、男性は1名、ジェンダー・マイノリティが1名でした。僕の目から見ると、あまりにも若く<政治ごっこ>をしているみたいな悪く言えば軽さ、よく言えば新鮮でしなやかな印象を受けました。たぶん、今回の選挙で国会議員の当選となる3%の票の獲得は難しいでしょうが、次の地方選挙と国会議員選挙では議員が誕生する気がします。
これに比べると正義党は、制度内の既成政党、という感じですね。数人出迎えてくれましたが、全員男性^^ みんな学生時代からの筋金入りの活動家、という感じです。いま国会議員が6名ですが、選挙法が変わったので、今までどおりの投票率で計算すると15名ぐらい当選しそうな感じです。いわゆる進歩政党が最大で議員を獲得したのが民主労働党の時に10議席ですが、それ以上になる展望です。
ただ、地方区は2名ぐらい、それ以外は比例区ですので、どのように人を選ぶのかという話で、ちょっとぎくしゃくしているようです。また、候補が党に寄付する金額も値上がりしたので、お金で議員になるのか、という批判もあります。党内の選挙対策の部署で候補者を選ぶとなっているようですが、実際は党代表や今の国会議員の意見や判断が大きいようです。この問題は、<ともに民主党>の候補者選びの方法と比較をするとよくわかると思います。

正義党の党員が5万人強なのに比べて、共に民主党の党員(議決権のある権利党員)は80万人もいます。やはり正義党は個人商店、共に民主党は総合商社、ぐらいの違いがあります。
韓国の国会は一院制、4年任期で解散はありません。今回の4月の選挙は地域選挙区が253、比例区が47で、昨年末選挙法が改正され、比例連動制度が導入され、3%の得票があれば議席を獲得できます。そのため、民主党と自由韓国党は議席数が減る可能性が高く、その他の小さい政党で議席が増えるだろうと言われています。特に今回会った正義党は15席ぐらい行くんじゃないかと党の内外で期待が高まっています。
一方、<総合商社>の共に民主党はこの2、3年の間に党規約や組織を整備して、大衆的な進歩政党としての民主的な運営が根付いてきたという評価を聞きました。
例えば今回の国会議員の選挙区での候補を決める方法をみると次のようになっています。253の選挙区にそれぞれ2000名から4000名ぐらいの党員がいる地域組織があり、この党員のインターネット投票50%とそれぞれの地域の世論調査50%で決めるそうです。新人や女性、青年などには20~30%票の上乗せをします。
この世論調査も選挙管理委員会に登録されている専門業者が行い、最近は調査期間の間だけ提供される<安心番号>と呼ばれる臨時の携帯電話番号と固定電話の混用、または携帯電話だけで調査をします。この臨時の番号も男女比や年齢比がきちんと全体を反映するように調整された名簿をもとに行うそうです。そして調査の結果は業者のHPだけでなく、選挙管理委員会のHPでも公表されます。
話を共に民主党に戻しますと、党中央が管理する候補者は外部から招く候補者と、戦略地区と呼ばれた重要な地域だけで、他は地域の組織で選ばれます。逆に言うと、党の代表が公認権を握り、それによって党運営をする、というスタイルではないということ。また、いくつかの内部派閥ごとに数の割り振りをして、それに基づて候補者をふるいにかけるという方法とも違います。
そして、党内で候補者選びが民主的に行われたかどうかも選管がチェックすると聞いて、驚きました。
韓国の民主主義を語るとき、キャンドル集会のことや参与連帯などの市民運動の動きを語ってしまいますが、実は政党レベルでも試行錯誤をしながら、民主的な運営ができるように努力したと思います。特に、政権与党の共に民主党の党運営の方法は学ぶ点がかなりありそうです。専門家の方、ぜひ調査・研究、お願いします。(あと1回、続く。次回は市民運動の”分かち合い文化”で感じた事)

写真は緑の党のパンフと2018年ソウル市長選でのシン・ジエ候補(現在、共同代表)のポスター







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