韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

威鳳寺(ウィボンサ)

2008-05-31 02:09:38 | 韓国のお寺
 全羅南道の完州(ワンジュ)にある威鳳寺も、素晴らしいお寺でした。
 この寺は604年に建立された古刹ですが、その歴史も波乱万丈です。仏教が迫害された朝鮮時代も新しい建物が作られたり、銅鐘が作られたりしました。これは、大変珍しいことです。1912年には韓国の31本山の一つに指定され、全羅北道の50余りの末寺を管轄しました。
 ところが、朝鮮戦争を境に急速に衰え、廃寺寸前まで至ったそうです。それを立て直したのが、今の住職の法中師。1988年に住職として赴任して依頼、20年間で再建を果たしたというのです。
 
 行って来て、他のお寺とちょっと違う点があるのに気がつきました。お寺全体に、活気があります。禅院(禅の修業場)があるため、お坊さん(比丘尼です)が多いのは事実です。また、各地から見学に来る人が多いと感じました。
 でも、それ以上に、何かの力がお寺全体を包んでいて、あたたかく活気のあるお寺にしていると感じました。たぶんそれは、信仰の力だと思います。それを感じることができただけでも、行ってきた価値はありました。

 <おまけ> 実は、このお寺でお昼を食べてきました。おそばとご飯の両方を食べましたが、おかずも手が込んでいて美味しかったです。お昼の食べ方を知りたい方は、コメントを書き込むか、メールをください。あんまりオープンにすると、お寺に迷惑がかかりそうなので、よろしくお願いします。








定林寺址(チョンリムサジ)・扶余(プヨ)

2008-05-29 04:24:34 | 韓国のお寺
 扶余へ行ったのは、十何年ぶりだろうと思います。最初の一人旅で、市外バスに乗ってきたのは、もう20年以上も昔の話。あの頃は、本当に田舎でした。
 朝早く、焼肉屋に行って食事をしようとして断られた笑い話も、今では懐かしい思い出ですね。
 あの後、大学院に通っているころ、たしか一度来たことがあるのですが、よく覚えていません。たしか、儒城温泉の帰りに寄ったはずですが・・・。
 
 今回行って、驚きました。定林寺址がとても立派になって、展示館までできていました。石仏もこんな大きな建物の中にはありませんでした。

 このように地方の文化財が、きちんと保存され展示されるようになったのは、ほんとうにいいことです。このような文化財をきちっとチェックするだけでも、韓国に来る価値はありますよ。

 今日は、定林寺址の写真をアップしておきます。博物館の紹介は、明日しましょう。なお、4枚目の写真の右端は、扶余の文化観光解説員の方。扶余に住んでいる日本人の方でした。関西弁で解説してもらい、面白かったです。








大鳥寺(扶余)

2008-05-27 19:43:04 | 韓国のお寺
 今回の旅行では、予定外のところもいくつか回ってきました。おかげで、思わぬ収穫がありました。その一つが、扶余の近くにある大鳥寺(デチョサ)の弥勒菩薩立像です。
 観光案内地図に載っていたので、辺山半島(ピョンサンバンド)へ移動する途中何の気なしに立ち寄りました。
 お店が20件ほど立ち並ぶ田舎の商店の間の細い道をどんどん登っていくと、山道に沿って提灯が掛けてあります。先日のお釈迦様の誕生日の名残でしょう。これがなかったら、お寺があるのが分からないぐらい何もない山の中です。
 車から降りて2~3分歩くと、木々の間から何か見えます。かなり大きい石像とすぐ分かります。姿は論山(ノンサン)、灌燭寺(カンチョクサ)の弥勒菩薩にそっくりです。
 境内は誰もいず、私たちだけ。本堂の上の高台に弥勒菩薩は堂々と立っていて、私たちを見下ろしています。こんな素敵な石造があるなんて、想像もしていませんでした。
 撮ってきた写真を全部載せますので、ご覧ください。
 そして、扶余に行ったとき、このお寺にぜひ立ち寄ってみてください。










お寺巡りの魅力

2008-05-25 09:52:22 | 韓国のお寺
 先週、忠清南道と全羅北道のお寺を旅行してきました。<芸術新潮> 2006年8月号に載っていたお寺や史跡を巡るツアーです。
 今回気がついたことは、お寺の址地にある石塔や石の灯篭や石仏などのすばらしさです。今お寺がなくても、かつてはこの場所にお寺があり、僧侶や信者が集まっていたということを想像する面白さを、体感してきました。
 お寺巡りというと、今あるお寺ばかりに目が行きやすいですが、それでは不十分ですね。韓国の仏教文化や寺院の歴史などを本当に勉強したいのなら、本当に見て歩きたいのなら、お寺の址や史跡も大切なポイントだと分かりました。
 写真は、益山(イクサン)にある王宮里五層石塔(ワングンリ オチュンソクタップ)です。塔の周りは発掘作業が進められています。今年中には、立派な展示館がオープンするそうです。

瑞山磨崖三尊仏像

2008-05-19 04:03:15 | 韓国のお寺
 今まで行こう行こうと思いながら、行っていなかった<瑞山磨崖三尊仏像ソサンマエサンジョンブルサン>に行ってきました。
 感想は、やはりいいです。山の中にこんなに素晴らしい、というかかわいい仏像があるのが、すごいです。忠清南道の瑞山(ソサン)というところにあるのですが、この辺、思ったより山が多いのですよね。昔は中国との交流のルート上にあったそうです。とすると、こんな仏像、まだ発見されずに山の中に埋もれているのじゃないかな、そんな想像もしました。
 さて、磨崖三尊仏像ですが、残念でした。なんと補修工事中で、仏像の周りにパイプがずらり。説明を読むと、異質物を除去した後、崩れないように仏像の岩を固め(コーティングデモするのでしょうか?)、そのあと3Dスキャンをしてデータを集めるそうです。
 おかげで、仏像の写真は頭のところにパイプがあると言う、そんな写真になりました。でも、よかったですよ、この仏様。表情がなんともいえなく、魅力的です。微笑が暖かく、可愛らしいのです。もしかすると、日本人が持っている仏様に対するイメージと、当時の韓国人の持っていたイメージが、かなり違いがあったようなきがします。
 とにかく、この仏像は直接見てください。行きかたが分からなかったら、連絡ください。では、写してきた写真がありますので、ぜんぶアップします。ゆっくり、ご覧ください(でも、パイプが邪魔だな)




普願寺(ポウォンサ)

2008-05-17 03:57:40 | 韓国のお寺
 韓国のお寺は山奥にあるものが多いそうです。
 なぜかと言うと、高麗時代まで国の精神的な支柱であった仏教は、朝鮮時代になると国家から迫害されました。都市の中心にあった寺院は山奥へ追いやられてしまったからです。また、僧侶は強制的に世俗させられたり、ソウルなどの都市には入れなくなりました。
 迫害された結果、おおくの寺院は廃寺となって荒れ果ててしまったのです。
 
 

 
 
 忠清道にはそんな寺院の址が多くあるそうです。この普願寺(ポウォンサ)の址もそんな遺跡の一つです。もっと、寂しいところかと思っていましたが、違いました。
 発掘作業が行われ、調査も進んでいます。また、普願寺を復興するために若い住職が仮の建物で頑張っていました。ちょうど、お釈迦様の誕生日だったので、地域の信者の人が多く訪れ、お寺(といっても普通の民家に毛の生えた程度の仮の建物です)は賑やかでした。
 住職は、私たちに法鼓(太鼓)を叩いてみますかと言ってくれ、ひとりひとり叩かせてくれました。そのうえ、自らデモンストレーションまでしてくれて、驚きました。
 この暖かさというか、情というか、私たち一般人と僧侶の距離の近さに感動しました。こんなところも韓国のお寺のすばらしいところですね。


開心寺(ケシムサ)

2008-05-15 19:15:06 | 韓国のお寺
 お釈迦様の誕生日の4月8日、韓国では旧暦で祝うので今年は5月12日になりました。この日は韓国は国の定めた休日です。

 お寺の入口の一柱門

 この日、忠清南道の瑞山(ソサン)という地方にある開心寺に行ってきました。
このお寺は、「芸術新潮」でも大きく紹介されているので、知っている方もいらっしゃるでしょう。山の中の静かな小さなお寺なんですが、すごい人出でした。鐘を突くのにも列ができ、お釈迦様に甘茶(といっても水でした)をかけるのにも列ができ、お昼を食べるのにも列ができました。
 お昼は食べられませんでしたが、お餅はもらいました。こんなところも、韓国のお寺の魅力のひとつです。

 境内全体が提灯で飾られています。

 お釈迦様に甘茶をかける人たち

修徳寺(スドクサ)

2008-05-14 19:51:41 | 韓国のお寺
 お釈迦様の誕生日と言うことで、忠清南道のお寺に行ってきました。
 まず、最初に行ったのが、修徳寺(スドクサ)という古刹です。百済の末に崇済(スンジェ)というお坊さんが建てたと言う説がありますが、これを裏付ける資料はありません。
 また、海印寺(ヘインサ)・通度寺(トンドサ)・松広寺(ソングァンサ)・白羊寺(ペギャンサ)と並んで五大叢林(オデチョンリム)のひとつになっています。この叢林とは、僧侶の参禅修行の専門道場である<禅院>と経典の教育機関である<講院>、戒律の専門教育機関である<律院>などを揃えた寺院のことです。
 こんなふうに書くと、とても厳かで創元な雰囲気を想像してしまいますが、ぜんぜん違うんですね。
 まず、門前の食堂街から違います。まるで、お寺のテーマパーク(?)に来たような楽しい雰囲気。みんな楽しそうに食事をしたり、お酒を飲んだりしています。薬草や薬酒を売っている店やおみやげ物屋もあります。本当に韓国らしい光景を見ることができます。
 つぎに、お坊さんがフレンドリーなんですよね。見学していると、話しかけてきます。もちろん、お釈迦様の誕生日の前日でしたので、特別な<おもてなし>だったのかも知れません。でも、韓国のお寺には、僧侶と信者の関係に宗教的な信頼関係が、しっかりと根付いている気がしました。
 とにかく、今回、7~8箇所のお寺を見ましたが、本当にいい体験をしました。ひとつずつ紹介していきましょう。