韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

日韓トキシンポジウム(1)

2010-12-16 01:57:46 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 日韓トキシンポジウムが終わって、数日立ちましたが、まだ余韻が残っています。いままで、いろいろなシンポジウムに参加してきましたが、今回のはいろいろな意味で、ヘビー級でしたね。

 まず、写真の紹介からしましょう。

 

 インチョン空港に着いたのが12月8日の12時ごろ。新潟空港からプサンへの直行便がないので、インチョンからキンポ空港へ移動して、そこから国内線に乗ってプサンへという移動にまるまる1日かかるルートです。左から、環境省の笹渕保護官、佐渡市役所の池係長、地元でモニタリングを毎日やっている土谷さん。僕と新潟大学の本間先生は、窓に写っています。

 

 おなじみのインチョン空港の干潟。やっぱり始めてみると衝撃ですね。干満の差が10メートル近くあるというのは、すごいです。窓から見えるのが江華島です。

 

 

 この日、チャンウォンに着いたのが6時近くです。新潟空港が朝9時半の飛行機でしたから、本当にお疲れ様。というわけで晩御飯はこれ、ポッサムキムチ。韓国の食事で疲れも飛んでしまったようです。

 

 

 さて、翌日の9日は現地調査。無事にチャンニョンに行って…といいたいところですが、実はこの写真はコソンという街です。今回、韓国の慶尚北道では口蹄疫、日本の島根のほうでは鳥インフルエンザのダブル・パンチでウポ沼の近くには行けませんでした。
そのため、急遽、ハゲワシの越冬地になっているコソンに行って、見学をすることになりました。

 

 遠いですが、えさの豚の骨を食べているハゲワシです。毎日、400キロほどの量を肉屋から安く分けてもらって、えさとして使っています。もう、10年ぐらいになるそうで、中心のキム・ドクソン先生は僕らの湿地仲間。実際にえさをやっているのをみたのは、僕も初めてです。

 

 日本からのみんなもはじめてで、こんな感じで夢中でシャッターを押しています。ハゲワシは生きている動物は食べませんので、人間と同じですね、肉屋にある肉とか骨は食料になります。以前、60年代までは、韓国でも冬の渡り鳥として非武装地帯などにたくさん来たそうですが、最近は動物の死体がないので、数が減っています。今日のニュースでも10羽ほど死んでいるのが見つかりました。
 で、コソンでやっているのが、いわば人の手によってえさを食べているわけで、これが良いのか悪いのか、難しいところです。自然の環境で、毎日動物の屍骸があるというのは、ほぼ不可能に近いでしょう。このようなえさがなかったら、餓死するのも目に見えています。じゃあ、どうするか。トキの野生復帰でも、同じような問題にぶつかりそうな気がしました。

 

 ハゲワシを観察した後、すぐ脇の田圃をみてトキのえさがあるかどうかをチェックする土谷さん。さすが、モニタリングのベテラン、一つ一つ丁寧に説明してくれて、とても参考になりました。やはり、いっしょに現場を回ると、すぐ分かりますね。

 韓国でのトキの野生復帰にはいくつかの課題があります。
 まず、固体数の増加の問題。中国からは1つがいを貰っただけなので、これ以上増やすのは厳しいです。血統の違うトキを連れてくる必要があります。
 つぎに、国家の保護鳥になっていないという問題。すでに絶滅したため、保護鳥でないのです。そのため、人工飼育や野生復帰のために、国家予算が使えないという問題があります。
 最後に、トキのえさの確保の問題です。韓国で放鳥の対象になっている地域のウポ沼には私有地がたくさんありますが、農耕地の中には二毛作を行っているとことが多いそうです。そのような場合、どのようにして餌場となるビオトープを作るのかという問題。また、湿地保護地域でラムサール条約にも登録されているため、休耕地などを中心に環境部が買い上げた土地もかなりあります。そこを中心にビオトープと作ることになりますが、果たして<上>からのやりかたで、必要な面積を確保できるかという問題も出てくるでしょう。
 このほかにも、トキがほかの場所に移ってしまったらどうするか、寒い冬(水の少ない冬)をどのようにするかなど、問題はたくさんあります。

 では、このような問題はシンポジウムの場で解決できたでしょうか?(続く)

 

 

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